「裏をみせ表をみせて散るもみじ」と食品スーパー好業績の理由
11月もあと3日。
しかし東京・横浜は寒くない。
暖冬を予感させる。
朝日新聞DIGITALの記事。
「所有しない人生を選んだ希林さん」
9月15日に亡くなった樹木希林さん。
私はニューヨークへ向かうJALの機内で、
映画「万引家族」をしみじみと観た。
朝日デジタルの記事の中に、
希林さんが好きだった、
良寛の辞世の句が出てくる。
裏をみせ表をみせて散るもみじ
希林さん。
「裏から始まるところがすごい。
年や経験を重ねても、
人間は表裏を持ち続けているという
本質を見抜いた人の句ね。
こうありたい」
同感。
希林さんは良寛のもう一句も好んだ。
散る桜残る桜も散る桜
死はだれにも等しく訪れる。
人は一喜一憂する。
終わりが決まらないのに、
そこに至る生き方が定まるわけがない。
「そう考えると、心強いわね。
でも、死ぬことは誰かの心の中で
生き続けることなんじゃないかしら」
これにも同感して、合掌。
さて今日は朝から東京・芝。
芝大神宮。
鳥居の前を通るだけで、
気分は引き締まる。
そして(株)True Dataの役員会。
最後に取締役、監査役のみなさんで写真。
右から壱岐浩一さん、田窪伸郎さん、
結城義晴、伊藤久美さん、
玉生弘昌さん、松本俊男さん、
米倉裕之さん、川崎清さん、
そして竹久健さん。
米倉さんが代表取締役社長。
松本さん、田窪さん、
そして伊藤さんと私が社外取締役。
玉生さんが相談役で、
壱岐さん、川崎さんは監査役。
今年もあと1カ月です。
ところで伊藤久美取締役は、
プロのジャズシンガーだ。
ランチミーティングのとき、
そのことに全員が驚き、喜んだ。
それから横浜商人舎オフィスに戻る。
すると當仲寛哲さん、来社。
私が最も信頼する知識商人の牽引者。
そのうえITの天才。
USP研究所所長。
「ユニケージ開発手法」によって、
多くのイノベーション実績を持つ。
その當仲さんと対談。
当初のテーマをはるかに超越して、
日本の商業の強みについて語り合った。
日経新聞「投資情報」欄。
「食品スーパーの8割 増益」
食品スーパーマーケット上場20社。
2月・3月期決算の企業の2018年度見込み。
日経新聞が集計した。
投資欄が投資家たちに、
スーパーマーケット株を推奨している。
「8割にあたる16社が、
前年度比で営業増益を見込む」
20社中8割以上の企業の増益は、
2015年度以来、3年ぶり。
20社トータルの営業利益は、
1332億円で前期比3%増。
2期ぶりに最高。
スーパーマーケット上位企業は、
最高の利益を出す。
売上高にあたる営業収益は、
5兆7401億円で2%増える見通しだ。
増収要因は主に、
「新規出店と客単価の上昇」
その代わりに既存店売上高は、
上半期分を開示している大手10社のうち、
プラスが3社で、マイナスは7社だった。
2019年2・3月決算期の営業利益見込み。
日経が示す営業利益ベスト10。
⑴ヤオコー173億円/前年比2%増
⑵バローHD148億円/10%増
⑶USMH147億円/4%増
⑶アークス147億円/2%増
⑸ライフコーポレーション108億円/10%減
⑹ベルク98億円/3%増
⑺アクシアルリテイリング91億円/微増
⑻リテールパートナーズ57億円/2%増
⑼マックスバリュ西日本55億円/17%増
⑽マックスバリュ東海54億円/3%増
その売上高と収益性改善の理由を示す。
第1は、新店開発。
全社が積極的な新店開発を進めた。
日経は指摘していないが、
私は既存店改装効果が大きかったと見る。
第2は、惣菜の強化。
ヤオコーは上期の惣菜販売額242億円。
前年同期比6%増。
自社の「デリカ・生鮮センター」からは、
4~9月に前年同期比4割増の出荷。
これはもう必須の課題だ。
第3は、プライベートブランド開発。
エコノミー(競争価格)ブランドとともに、
クォリティ(品質志向)ブランドの、
開発と売り込みが顕著だ。
ライフのPBは全体の1割に達した。
マックスバリュ各社も、
イオンのトップバリュが威力を発揮した。
USMHは上期の売上総利益率を、
前年同期比0.4ポイント上昇させた。
第4は、店内作業の改善による人件費抑制。
ベルクの売上高販管費率は21.5%。
20社の平均の25.6%をはるかに下回る。
オークワは今年に入って、
AIの自動発注システムを採用。
これは実態を調べてみたいところだ。
マックスバリュ九州の販管費率も、
前年同期比0.15ポイント改善。
セミセルフレジの効用。
そこで再び投資欄の推奨。
「食品スーパー20社の株価は
今年に入り7割の14社が値上がり」
日経の業態評価。
「世界的な景気後退リスクが意識される中、
業績の変動幅が少ないことで
資金が入っている」
その通り。
スーパーマーケットは、
業績変動幅が少ない。
それが特長といえる業態だ。
これこそ、
スーパーマーケットの社会的機能を、
よく示している。
私は景気後退の中でも、
収益が安定していることこそ、
この業態の長所だと言っている。
社会のインフラだからである。
景気が悪い時にも減りは少ない
景気がいい時にも伸びは少ない
裏をみせ表をみせて散るもみじ
〈結城義晴〉