新日本スーパーマーケット同盟の「むずかしいことをおもしろく」
Christmas。
いまや、イブのほうが人気があって、
本番のクリスマスは、
売れ残ったケーキのようだ。
クリスマスは正しくは、
イエス・キリストの生誕を祝う日である。
その誕生日ではない。
新約聖書には、残念ながら、
ナザレのイエスの誕生日を特定する表記はない。
世界の様々なキリスト教宗派でも、
「Nativity」(降誕)という言葉を使う。
その降誕祭は、本来、
日没から始まって、日没に終わる。
クリスマスは、24日の日没から始まって、
25日の日没に終わる。
クリスマス・イブのEveは、
EveningのEve、
つまり日没時間のことだ。
その2018年のクリスマスは、
月刊商人舎1月号の責了日。
おわりました。
今年最後の雑誌づくり。
みなさん、ありがとう。
いい雑誌ができました。
朝日新聞「折々のことば」
昨日の第1324回。
作文の秘訣を一言でいえば、
自分にしか書けないことを、
だれにでもわかる文章で書く
ということだけなんですね。
(作家・井上ひさし)
『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室より。
素晴らしい。
さすが井上ひさし。
「自分がいちばん大事に思っていること、
辛いこと、嬉しいことを書く。
一人ひとり少しずつ違う、
“その違うところ”を平明に書く。
いい文章はそのことで人の心を動かす」
雑誌の記事も論文も、
この心構えで書きましょう。
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことを
あくまでゆかいに
これが井上さんの座右の銘。
以て自戒とすべし。
さて、今日の特報。
商人舎流通スーパーニュース。
アークスnews|
バロー・リテールパートナーズと「新日本SM同盟」の資本提携
㈱アークス(横山清社長)
㈱バローホールディングス(田代正美会長兼社長)
㈱リテールパートナーズ(田中康男社長)
3社が突然、資本業務提携を結ぶと発表。
ネーミングは横山清作。
「新日本スーパーマーケット同盟」
2017年度の3社の年商。
アークスが5140億円、
バローホールディングスが5440億円、
リテールパートナーズは2230億円。
単純合算で1兆2810億円。
イオン、セブン&アイ・ホールディングス、
そしてファミマ&ドンキに次ぐ、
第4極となる。
ただし緩やかな資本業務提携である。
これまでのボランタリーチェーンや、
コーペラティブチェーンから、
もう一歩、同盟の内容を強めて、
資本の持ち合いをする。
アークスは、北海道・東北で、
スーパーマーケット主要8社が統合。
グループ店舗数は336店舗。
バローホールディングスは、
東海・北陸中心にスーパーマーケットと、
ドラッグストア、ホームセンター等を、
840店舗展開する。
リテールパートナーズは、
中国・九州地方の3社による共同持株会社。
店舗数は231店。
バローの参加には驚かされた。
【結城義晴の述懐】を書いておいた。
リージョナルチェーン3社による、
資本業務提携。
2019年1月17日までに、
第三者割当による新株式の発行、
および自己株式の処分を行うことで、
互いに株式を持ち合う。
アークスとバローはそれぞれ、
他の2社に株式の2.3%ずつを、
約30億円で割り当てる。
リテールパートナーズも、
アークスとバローに約30億円で、
6.7%ずつを割り当てる。
それぞれが約60億円ずつ、
他の2社に割り当てて、
ぐるりと回る勘定になる。
3社が経営統合して、
新たな持株会社をつくる構想は、
いまのところ、ないだろう。
「この指とまれ」で、
ほかのグループや企業に、
どんどん声をかけていく。
しかしその時、資本の持ち合いは、
どうするのだろう。
株の持ち合いになるとしたら、
ちょっと複雑な話になる。
第4極といっても今回の「新同盟」は、
多分にイオンを意識している。
月刊商人舎11月号特集は、
「Retail同盟」三極三占!!
イオン・フジ/セブン&アイ/
ユニー・ファミマ&ドンキ「M&Aの真実」を追う
この特集でも報告したが、
イオンは全国6地域で経営統合をする。
①北海道(イオン北海道、マックスバリュ北海道)
②東北(マックスバリュ東北、イオンリテール東北カンパニー)
③東海・中部(マックスバリュ東海、マックスバリュ中部)
④近畿(ダイエー、光洋)
⑤中四国(マックスバリュ西日本、マルナカ、山陽マルナカ)
ここにフジが加わる。
⑥九州(イオン九州、マックスバリュ九州、イオンストア九州)
それぞれの企業の実績。
アークスは北海道・東北でイオンと激突、
バローは東海・中部で真っ向勝負。
リテールパートナーズは九州と中四国で、
イオンの2つの新会社と対峙する。
その闘いにおいて、
互いに励ましあい、
互いに戦力を補い合い、
共同して事に当たろう。
それが今回の考え方だろう。
一方、イオン岡田元也長は、
10月10日の記者会見で挑発した。
「統合する目的は今後、地域でもっとも
成長ができる企業になるためである。
成長できなければまったく意味がない。
成長するためには、新しい成長の形を
見せなければならない」
「しかし、この問いに対して
“これだ”という答えを持っている企業は、
今のところ、日本の中で、
どの地域を見渡してもない」
イオンのスーパーマーケット事業は、
“これだ”を目指す。
「それぞれの統合会社が大量に出店して、
そうでない企業やスーパーマーケットを
置き換えていく」
「旧式のコンベンショナルな企業、
コンベンショナルなフォーマットの店に
打ち勝って、それによって成長していく。
それが可能になっていくと考えている」
岡田社長の視野には、
これからの激しい競争が入っている。
「なぜなら日本にはものすごい数の
スーパーマーケットがあるが、
その大半がお客さまのニーズに
応えられなくなりつつある。
そうした店舗をわれわれで
置き換えていくことが大事になる」
私は書いた。
「この記者会見は、
イオンと岡田元也の、
日本中のスーパーマーケットに
対する挑戦状であった」
「平成最後の小売業再編劇は、
次の元号の時代の激しい競争を
予見させるものだった」
「平成最後の再編劇」と書いたが、
そのあとにも今回の資本業務提携が、
待っていた。
「新日本スーパーマーケット同盟」
しかし経営統合や同盟も、
井上ひさし流にやってほしいものだ。
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことを
あくまでゆかいに
そうしなければ、
「この指止まれ」にはならないし、
成功はおぼつかない。
〈結城義晴〉