結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年01月01日(火曜日)

謹賀新年の商人舎標語「リスクを冒せ!」と日本のPositioning

2019年-年賀状_決定版
新年、おめでとうございます。

しかし、今年こそ、
めでたさも中くらいなり
でしょうか。
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だから2019年の標語。
リスクを冒せ。

4月末日、今上天皇が退位され、上皇へ。
翌5月1日、徳仁皇太子が天皇に即位し、
新元号が始まる。
新しい時代がやってくる。

この新天皇の即位に伴って、
4月27日から5月6日までが、
10日間の超大型連休になる。
新しい価値観と生活スタイルが生まれる。

6月にはフランスで、
FIFA女子ワールドカップが開催される。
9月20日には日本で、
ラグビーワールドカップが開幕する。

そして10月1日、
消費税率が10%に引き上げられ、
残念ながら軽減税率が導入される。
幼児教育・保育も一部無償化される。

翌2020年7月24日から8月9日まで、
東京オリンピックが開催される。
続いて8月25日から9月6日まで、
パラリンピックが開かれる。

日本社会は大きく変容していく。
消費も商売も、商品も売場も店も大きく変質する。
想像を絶するスピードで変革されていく。
背景に世界的ポピュリズムの進行もある。

時代が大きく変わるときに、
仕事にも経営にも求められるものがある。
それはリスクを恐れないことだ。
リスクを冒すことである。

「経済活動とは、現在の資源を未来に、
すなわち不確実な期待に賭けることである
経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」

このピーター・ドラッカーの言葉は、
大きく変貌を遂げる2019年に、
心と頭と体に自覚させておかねばならぬ。
――リスクを冒せ。
〈結城義晴〉

ピーター・ドラッカーは、
その著『マネジメント』の中の、
第10章「戦略計画」で語ります。
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「経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」

これに以下の文章が続きます。

「ベーム=べバルクの法則によれば、
生産手段が経済的な成果をもたらすのは、
不確実性すなわちリスクの試練を
受けた時だけである」

「たとえリスクを
皆無にすることが不毛であり、
最小にすることが疑問であるとしても、
冒すリスクは冒す価値のあるものに
とどめなければならない」

「実は、計画が成功するということは、
より大きなリスクを
負担できるようになることである」

「より大きなリスクを
負担できるようにすることこそ、
企業家としての成果を向上させる、
唯一の方法である」

「しかしそのためには、
冒そうとしているリスクを、
理解しなければならない」

「いくつかのリスクから
最も合理的なものを
選ばなければならない。
勘と経験に頼ることはできない」

今年1年間の商人舎の提案は、
この意味での「リスクを冒せ」です。

昨年の日経新聞電子版。
「経営者ブログ」で、
二人のブロガーが、
同じような心配事を指摘しています。

伊藤忠元会長の丹羽宇一郎さん。
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「カレンダーを見ると
気になることがあります。
年末年始や成人の日の連休で、
この1カ月は半分近くが
全国一斉に休みになります。
世界が激変するなかで
日本だけが2日に1回も休んでいて
大丈夫でしょうか」

「世界から置いてけぼりに
なるのではないかと心配になります」

5月のゴールデンウィークは、
10日間の大型連休となる。

「休日はマーケットが休みになります。
日本の株式市場や外国為替市場は
海外の投資家の影響が大きくなっています。
日本だけが休んでいると、
そっぽを向かれてしまう恐れがあります。
外国企業と取引をしている企業も、
休んでばかりいると
中国や韓国の企業に
仕事を奪われかねません」

「日本が休んでいても
世界が通常通りに動いたら、
日本は無くてもいいことに
なってしまいます」

もう一人の鈴木幸一さんも、
同様の予測をする。
IIJ会長で日本インターネットのグル。
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「世界の金融・証券市場は動き続けている。
日本だけクローズのままでいるのは、
何かあったらどうなるのだろうかと
心配である」

「オフィスの仕事であれば、
どうしてもという場合は、
休日出勤で対応をすればいいのだが、
日本のマーケットだけが、
長いお休みということの不安は
大きいはずなのだが、
そんな議論もほとんどないようだ」

鈴木さんのIIJも機動的に動く。
現在の商人舎だって、
何かあったらすぐに動く。

「ふとしたきっかけで、日本の休日を
“狙い撃ち”といったことだって、
まったくないわけでもない」

「何事についても、
平和が常態となっている日本では、
心配をすることそのものに
違和感をもたれてしまうようだ」

丹羽さんはライフライン機能についても、
考察を巡らせる。

医師や看護師、患者にも、
本来、休日はない。
警察・消防のライフラインを担う人々にも
一般のような休日はない。

商業も同じだ。

「時間給で働いている人も
休日が増えると十分に
収入を得られなくなります」

「一斉にみんなが休むというのが
問題だと思います。
個人的に適宜休みを取る
といった対応が必要です」

つまり小売業やサービス業のような、
休暇の取り方が日本全体に求められる。

「国際情勢は混沌としており、
主要国のトップもおちおちと、
休んでいられない状況です」

「日本の政治家は年末年始に
外遊やゴルフに出かけますが、
日本だけが悠々と
休んでいて良いのでしょうか」

そのとおり。

「日本は大きな借金を抱えながら、
2019年度の当初予算案で
過去最大の支出を決めました」

一般会計予算の閣議決定は、
初めて100兆円を超えた。

「財政は非常にシリアスな状況です。
外国人労働者の受け入れを拡大する
改正出入国管理法も強行採決されました」

「中国の名目国内総生産はこの30年で
ドルベースで30倍超、
米国も3倍強になりましたが、
日本は1.6倍にとどまります」

「日本経済は米国や中国に規模で劣り、
過去の勢いも感じられません」

鈴木さんは情報通信分野を心配する。
「中国の主要都市で5Gサービスが始まる」

5Gは英語で5th Generation、
第5世代移動通信システム。

「5G対応の通信機器では、
ファーウエイが一歩先に進んでいる」

「国家の情報機密の面から、
中国製機器の使用が難しくなった」

日本企業は欧州メーカーに頼るしかない。
明らかに中国に後れを取る。

ファーウエイは国家の支援のもとで、
10万人を超える研究開発部門を抱える。
日本の民間企業では太刀打ちできない。

丹羽さんの主張。
「19年が新しい時代の夜明けとすれば、
今のままで良いわけがありません。
世界の中の日本の立ち位置を自覚して、
真剣に日本の将来を
考える時ではないでしょうか」

全面的に賛成だ。
この立ち位置こそ、
「ポジショニング」である。

そしてそのためにこそ、
国も企業も個人も、
「リスクを冒せ!」である。

〈若き日のドラッカー〉
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だからこそ、
「冒そうとしているリスクを、
理解しなければならない」

「いくつかのリスクから
最も合理的なものを
選ばなければならない」

「勘と経験に頼ることはできない」

元旦から、やや力こぶを入れて、
2019年の毎日更新を宣言する。

よろしく。

〈結城義晴〉


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