ポピュリズムの「思考停止」とロピアNYC研修第1班の修了
「ポピュリズムの勢いが止まらない」
日経新聞の「大機小機」は、
「2つのポピュリズム」を論じる。
「大衆迎合主義」
パリでは黄色いベストの民衆が、
デモを繰り返す。
ドイツにイタリア、
ハンガリーにデンマーク……。
欧州の国々で極右政党が台頭している。
トランプ大統領の一般教書演説。
移民政策の熱弁に米国民の7割が賛成した。
「ポピュリズムという妖怪が、
徘徊し始めている」
マクロン仏大統領も警告する。
「古い悪魔がよみがえりつつある」
その本質と問題点。
コラムニストの横ヤリさんの分析。
ポピュリズムには2種類ある。
⑴アイデンティティー追求型
人々が一体感を確認しようとする。
⑵「短期経済利益追求型」
目先の利益を求めるタイプ。
⑴は欧州極右政党の台頭。
反グローバリズムや反EUを掲げる。
移民・難民やイスラム文化の流入。
人々の不安と内向きのマインド。
⑵は左派ポピュリズムに多い。
メキシコの年金倍増、
ベネズエラ・マドゥロ政権の補助金ばらまき。
目先、人々を喜ばせることを第一にする。
トランプ政権やイタリア連立政権、
ブラジルの右派政権は、
⑴と⑵の混在型。
アイデンティティー追求型は、
「人を酔わせ多面的な視点を忘れさせる」
「排外的になる」
「言論の自由や法の支配も否定する」
「暴力性を帯びる危険すらある」
短期利益追求型には、
「財政破綻や経済的混乱の芽が潜む」
この2つのポピュリズムに、
警告するものがある。
「冷徹な市場である」
米国の株式市場は昨年秋から揺れている。
イタリアの長期金利も跳ね上がった。
ベネズエラのインフレ率は268万%。
日本ではいずれも、
「対岸の火事」のようにとらえられている。
だが、いつまで無縁でいられるか。
⑴と⑵のポピュリズムに共通するのは、
「自律意識を欠いた思考停止である」
同感だ。
月刊商人舎1月号。
特集は、
商売の「品格」
サブタイトルは、
“ポピュリズム時代”の
崇高なポジショニング戦略
崇高なポジショニング戦略とは、
「自律意識を欠いた思考停止」を、
真っ向から否定するものだ。
物真似優先主義の悪いところは、
この自立意識を欠いた思考停止に、
陥りがちだからである。
さて、
㈱ロピアのNYC研修会。
隔年開催で今年は第3回。
その第1班も最終日。
マンハッタンにも、
朝から雪が降り始めて、
氷点下の寒さ。
帰国直前の視察は
3つの商業施設。
まず、ウェストフィールド。
グランドゼロの跡地にできた、
ショッピングセンター。
3万4000㎡のマンハッタン最大施設。
3階にあるのが、
イータリー。
EATALY。
イタリアのスローフードを、
外食と内食を融合させて提供する。
市塲であり、食堂であり、
学校であるような店。
そのマンハッタン2号店だ。
雪のせいでお客も少なく、
いつもの賑わいに欠けるが、
視察するには絶好。
導入部のワインバー。
入り口を入ってすぐ右手に、
青果のマーケット。
「より良く食べ、
より良く飲むには、
人生は短すぎる」
だからよりよく食べよう、
よりよく飲もう。
店内のPOPには、
イータリーの思想が
あふれている。
「素早く買って、ゆっくり食べよう」
スローフードの精神だ。
プリペアードフードのコーナー。
店内で焼成するベーカリー。
イタリアから酵母を持ち込んだ。
ガラス張りの作業場。
シーフードからミート、
チーズまでの対面売場。
白と青のタイル張りで美しい。
豊富な品揃えのシーフードの貝類。
イタリアンメニューに欠かせない。
イタリアンメニューの惣菜ショップ。
対面ショップ形式で展開するのが、
イータリーの特長。
ミート売場はイタリア風カット方式。
チーズ売場の商品も、
イタリア産だけだが、
それでも充実した品揃えを誇る。
手づくりの生パスタメニューを提供する、
パスタ・バー。
イタリアンスイーツのショップ。
フード教室が開かれる体験コーナー。
イータリーは学校でもある。
最近、スペースを大きく広げた。
逆に言えば、
加工食品などの物販スペースが
オープン当初と比べると、
若干、絞られたことになる。
オート三輪車によるディスプレー。
奥のレストランゾーンとを仕切っている。
ピザのレストランにある金色のピザ窯2基。
これから本格的なピザを販売するには、
窯が必須になる。
これだけの大きさならば、
デモンストレーションにもなる。
バレンタイン・プロモーション。
スナックやコーヒー、
ジェラードなどのショップを集積した、
イートインコーナー。
セルフチェックアウトも導入。
お客自身が商品バーコードをスキャンして
カードで支払う。
「素早く買って、ゆっくり食べる」
セルフチェックアウトは、
客数の多いイータリーに必須だ。
1 Scan
2 Pay
3 Enjoy The DAY
イータリーらしい。
ワンウェイで誘導された売場の最後に、
チェックアウトゾーン。
さすがに雪の日の午前中はガラガラだ。
ウェストフィールドから連続して、
オキュラス。
建築家サンティアゴ・カラトラバの設計。
地下鉄の駅もあり、新名所となった。
厳粛な気持ちで、
全員での記念写真。
白の美しい造形物のオキュラス。
その先にワンワールドトレードセンター。
雪もだいぶ積もってきた。
除雪車がフル稼働。
羽を伸ばした形のオキュラス。
そびえるワンワールドトレードセンター。
そして9.11で崩壊した、
ツインタワー跡地につくられた、
鎮魂のプール。
亡くなった人の名前が彫られ、
誕生日には白いバラが飾られる。
ワンワールドトレードセンターの隣に、
ブルックフィールドプレース。
高級ブランドショップばかり集積する。
ここで、今度は、
拳骨を突き上げて写真。
このショッピングセンターの核が、
ル・ディストリクト。
フランス版のイータリー。
入り口の導入部には
テイクアウトのコーヒーショップ。
周辺のビジネスマンのためには、
必須の機能。
スイーツのショップ。
宝石のようにセンス良く商品を並べる。
菓子売り場のトップには、
マカロンのコーナー。
中央には円形の肉のレストラン。
館内は黒を基調とした、
シックな空間演出。
シェフのデリカテッセン。
シーフードのコーナーは、
ケース内に、氷を敷き詰め
商品を並べる。
ワインバー。
お客が歩き回る店では、
腰高の椅子が必須。
青果売場。
かご盛りで果物を展開。
バナナはフック陳列。
空間の狭さを縦列することで補う。
バレンタインのプロモーション。
加工食品売場。
エンドが円形の什器。
商品は絞り込んである。
トッピングをよりどりで選ぶ、
ニューヨークサラダのショップ。
そのバックヤードが見える。
2階にはフードコート、
ハドソンイーツ。
有名なレストランや外食産業が、
ファストフードで入って、
ランチタイムには大人気。
地中海料理の「オリーブス」。
ニューヨーク一番のメキシコ料理、
「ドス・トロス」。
大人気の寿司バー。
ブルーリボン寿司バー。
ソーホーの隠れた高級寿司屋が出店。
職人が目の前で握ってくれる。
バーベキュー専門カジュアルレストラン、
「Mighty Quinn’s(マイティ・クインズ)」
チキンサンドとサラダの「フク」。
カリっとしたチキンサンドイッチは、
ニューヨークにブームを起こした。
「タルティネリー」は、
フランス風オープンサンドの専門店。
ヌードルと丼の北老虎。
ノーザンタイガーとして人気。
私はチキンヌードルを買って食べた。
イートインスペースは広いけれど、
ランチ時は座れないほどだ。
グランドゼロの跡地は、
アメリカの誇りをかけて甦った。
こここそ、グロサラントのメッカである。
すべての研修が終わって、
最後は雪の中を、
バッテリーパークへ。
自由の女神が見えるはずだが、
今日はあいにくの寒風と雪。
自由の女神の方向をバックに、
皆で最後の記念写真。
すべての視察を終えて、
JFケネディ空港。
1人ひとりと握手をして
送り出す。
商売のポピュリズムは、
大衆主義である。
しかしそこでも、
自律意識を欠いた思考停止はいけない。
(つづきます)
〈結城義晴〉