セブン‐イレブン東大阪南上小阪店の「あべこべの常識」
竹垣吉彦さんはfacebook友だち。
イオン北海道㈱常務執行役員。
その竹垣さんから書き込み。
「2月号、遅まきながら出張時に
機中で読ませて頂きました。
そろそろ残り時間の乏しくなった
私のようなロートルの管理者にとって、
ドラッカー、ミンツバーグ、ポーターの
豪華リレーによる集中講義は
本当に勉強になりました」
ありがとうございます。
月刊商人舎2月号は、
幸せの「時間管理」
ドラッカー「時間から入る」
ミンツバーグ「マネジャーの時間管理」
ポーター「CEOの時間管理」
その竹垣さんの地元・北海道で、
一昨日の2月21日夜、
再び大きな地震。
北海道新聞の巻頭コラム「卓上四季」
今日のタイトルは「手をつなごう」
福島の詩人・和合亮一さんの作品を紹介。
たった一人では本当にか弱い
この世界はあまりにも広すぎる
だから手をつなぎませんか
そうして生きていきませんか
「福島から北海道のみなさまへ」と題して、
昨年9月の胆振東部地震のあとに、
4編の詩が送られた。
コラムニスト。
「被害を受けた道民を励まし、
大きな勇気を与えてくれた」
胆振東部地震の一連の活動とみられる。
気象庁「強い揺れは当分続く可能性がある」
和合さんの詩はつづく。
あなたと同じなのです
分かち合いませんか
大地よ 静まれ
どうか 祈りを涙を
分かり合いませんか
コラムニスト。
「全道、全国の人たちが、
被災地を案じている。
手をつなごう。分かち合おう」
お見舞いしつつ、
分かち合い、
手をつなぎたい。
一方、大阪のコンビニ。
19時間営業事件。
セブン-イレブン東大阪南上小阪店。
もちろんフランチャイズ加盟店。
24時間営業をめぐって、
本部と対立している。
日経新聞や時事通信が報道した。
同店では2018年6月から2月までの間に、
13人の従業員が辞めた。
オーナーの松本実敏さん(57歳)。
「1人で28時間働いたこともあった。
24時間営業が基本というが、
(人手不足の)現状を見てほしい」
これは日経の取材。
そこで今月1日から、
午前1~6時の5時間、
店を閉めて営業休止中。
「同様の悩みを抱える
多くのオーナーから激励された」
「店の事情に応じた
時短営業が認められるまで、
深夜営業は再開しない」
時事通信の取材では、
「本部とは継続的に協議しているが、
時短営業を続ければ契約を解除し、
約1700万円の違約金を請求すると
警告された」
セブン‐イレブン本部は、
「適切な意思疎通を取れていなかった。
24時間営業を継続できるよう
本部としてサポートする」
もちろん、
応援店員の一時派遣なども、
申し入れている。
それにしても、
担当スーパーバイザーだとか、
地区マネジャーは大変だろうな。
中日新聞の巻頭コラム
「中日春秋」
「便利さを追求し、拡大、成長してきた
コンビニエンスストアである。
その常識に逆行する動きだろう」
「原因は、解決困難で、
この先も厳しくなるであろう
人手不足である」
「本部には売り上げや効率の点からも、
受け入れるのが難しいことのようだ」
「が、ひとごとでないと
同業者や他業界からも
声が上がっている」
「それが世の中に広く共通の
難問であるからに違いない」
そこで中日新聞の主張。
「小さく成長する」
「難しそうではあるが、
あべこべの常識を真剣に考える時代が、
近づいているようだ」
「あべこべの常識」
これはオクシモロンの問題でもある。
〈「オクシモロン」とはギリシャ語でパラドックス(逆説)の一形態。oxy〈鋭い、賢い〉とmoron〈鈍い、愚かだ〉の合成語〉
結城義晴著『Message』
あちらを立てて、
こちらも立てる
あちらを立てれば、こちらが立たず。
こちらを立てれば、あちらが立たず。
ならば、あちらを捨てましょう。
あるいは、こちらを切りましょう。
それが二〇世紀だった。
いわば「トレードオフ」、
すなわち「二律背反」に象徴された時代。
もちろん商品開発における
「トレードオフ」は、
強力な手段であることに
変わりはない。
しかし、この時代をとらえて
「全体最適」を実現させるには、
「トレードオフ」では
問題解決にならない。
二律背反の事象が溶け合う
糸口のポイントを見つけていく。
正反対の主義主張に
優先順位をつけながら、
一本にまとめていく。
対立する考え方に
「最適化」の網をかぶせていく。
実現不可能に見える問題を、
実現可能に変えていく。
環境問題も、安全安心問題も。
少子高齢化問題も、健康問題も。
あちらを立てて、こちらも立てる。
こちらを立てて、あちらも立てる。
二一世紀の百年間に、
私たちは丹念に、
至難の仕事に
挑まねばならない――。
そしてこのあべこべの常識問題には、
和合亮一さんの言葉で対応するしかない。
手をつなごう。
分かち合おう。
〈結城義晴〉