2019・3・20/「イチロー最後の(?!)雄姿」東京ドーム観戦記
春分の日を明日に控えた3月20日。
快晴の芝大神宮。
朝から㈱True Dataの取締役会。
さまざまな企業から、
ビッグデータ分析を求められる。
勘と経験で仕事していた。
それをデータで検証する。
マーケティングする。
オペレートする。
そうすると成果が上がる。
ランチミーティングをして、
急ぎ、横浜商人舎オフィスに戻る。
裏の遊歩道では、
桜が開花。
今日、長崎で開花宣言。
東京は標本木の開花が一輪足りなくて、
開花宣言が持ち越された。
それでも春がやってきた。
春が来たといえば、
「球春」という言葉。
少し早めに会社を出て、
家に戻って着替え。
それから夕暮れの東京ドームへ。
メジャーリーグ開幕戦の観戦。
プレミア指定席Sには特典引き換えがある。
続々と観客がやってくる。
その特典グッズを持って22ゲートの前。
帽子はイチローキャップ。
スタジャンはマリナーズ仕様。
10年以上も前、まだイチローが、
マリナーズで大活躍していたころ、
何度もシアトルに通って応援した。
そのとき、スタジアムショップで購入。
私は俄(にわ)かファンではない。
ゲートの入り口では、
持ち物チェック。
これはアメリカと同じ。
このころになると、
胸がドキドキしてくる。
早くフィールドを見たい。
選手がウォーミングアップしている。
イチローもレフト側の外野で、
入念にストレッチを繰り返す。
そのあと、内野席と外野席の間の、
エキサイトシートの観客に、
丁寧にサインをしている。
イチローはファンを大切にする。
18時30分、場内が暗転。
マーチングバンドが登場して、
演奏を披露。
シアトルマリナーズと、
オークランドアスレチックス。
7年ぶりに大リーグ開幕戦を日本で開催。
一応、アウェイのマリナーズから、
コーチや控え選手の紹介。
アスレチックスも同じように紹介。
このチームはサンフランシスコ湾の対岸、
オークランドをフランチャイズとする。
小説が映画になった「マネーボール」。
その舞台がアスレチックスだった。
データ野球で、
大リーグに革命を起こした。
控え選手の紹介が終わると、
スターティングメンバ―が、
一人ひとり名前を呼ばれて登場。
そしてイチロー。
ナインとハイタッチをしながら、
自分の位置に着く。
今日は9番ライト。
イチローは45歳149日で開幕戦スタメン。
これは野手として史上2番目の記録。
外野手としては最年長記録。
そんな記録よりも意味があるのは、
イチローの姿を肉眼で見られることだ。
そしてどういうわけか、
ミュージカル俳優の山崎育三郎が両国国歌独唱。
君が代とThe Star-Spangled Banner。
立派な歌唱だった。
独唱が終わると、
轟とともに花火。
それから始球式。
ピッチャーは大魔神・佐々木主浩、
キャッチャーは城島健司。
ともにマリナーズOBの大リーガー。
バッターはリッキー・ヘンダーソン。
アスレチックスに属して野球球殿堂入り。
1406盗塁はメジャー記録。
佐々木は見事なストライク。
ヘンダーソンも見事な空振り。
三人は握手して記念写真。
そしていよいよプレイボール。
1回表マリナーズは0点。
その裏、イチローがライトに入る。
投手は軟投派の左腕マルコ・ゴンザレス。
アスレチックスが1回裏、2回裏に、
1点ずつ入れて、3回表、
9番のイチローに打順が回ってきた。
待ちに待った開幕第一打席。
いつものルーティーン。
このキリリとした顔がいい。
闘争心は健在だ。
ちょっと筋肉が落ちて痩せた印象。
しかし構えは変わらない。
ピッチャーはマイク・ファイヤーズ。
2球目の速球を振りに行った。
素晴らしいスウィング。
しかしほんの一瞬、
差し込まれた。
そしてセカンドフライ。
残念。
私は3塁マリナーズ側、
28通路38列101番の席。
まずビールとホットドック。
メジャーリーグ観戦はこれです。
それからハイボール。
最高です。
イチローの第2打席は4回表、
ノーアウト一塁のチャンス。
アスレチックス投手は、
右腕リアム・ヘンドリックス。
オーストラリア人。
第2打席は粘った。
1塁線に強烈なファウルを打ったりして、
それでもフルカウントから、
フォアボールを選んで、「Walk」。
この回、マリナーズは、
5番ドミンゴ・サンタナが、
逆方向の右翼へ満塁本塁打を打って、
6対4と逆転。
打撃戦となってきた。
そして4回裏。
イチローは一度、ライト守備につくが、
突然、守備位置から戻ってきて、
途中交代。
ピッチャーや内野手とハグ。
最後にキャッチャーと、
アスレチックスベンチに指さして、
ベンチに戻る。
ベンチでも次々にハグ。
イチローはこのまま、
引退してしまうのかと感じた。
その後、両軍、ピッチャーを、
次々に変えて、
打撃戦と必死の守備。
鳴り物のないベースボール。
ピッチャーが投げたボールの音、
キャッチャーのミットに球が収まった音。
バッターの打撃の音。
それらを堪能した。
マリナーズはイチローが退いた後も、
5回には8番ベッカムの2点本塁打などで
3点を入れてリード。
5回表を終わって9対4。
グランドでは両軍マスコットが、
コミカルなパフォーマンス。
それにしてもアスレチックスの変則守備。
右の強打者には左翼側に内野手が3人。
ピッチャーはインコースを攻めて、
狙い通りに打ち取る。
アスレチックスのデータ野球。
マリナーズも同じように、
大胆な変則守備を採用して、
作戦通りに打ち取る。
5回が終わったら、
グランドキーパーのパフォーマンス。
そしてまたまたデータ重視の変則守備。
最終回表が終わって、
9対7とマリナーズがリード。
そして9回裏、クローザーが登板。
ハンター・ストリックランドが、
快速球を投げ込んで、
三者凡退に抑えて快勝。
ゲームセットになると、
ベンチからイチローが、
軽やかに走り出てきた。
走る姿はまだまだ若い。
やれそうな感じもするが、
あのほんの一瞬のスウィングの遅れ。
イチロー自身が一番よくわかっている。
今日で引退か。
明日で引退か。
どちらかだろうと思う。
しかしイチローの最後の現役姿を見た。
それは満足した。
グランドでは表彰。
当然、満塁本塁打のサンタナ。
私はGo! Go! ポーズで、
喜びと感謝の気持ちを表して、
東京ドームを後にした。
ナイトイルミネーションが美しかった。
ありがとう、
イチロー。
あなたの仕事は、
私たちを感動させた。
ほんとうにありがとう。
それにしても、
データベースボールと、
変則守備体系。
True Dataの仕事も、
どんどん広がっていくに違いない。
〈結城義晴〉