ラスベガス初日の米国業態別トップ企業群のポジショニング競争
連休明けにも関わらず、
45名の参加者が集まってくれて、
2019年商人舎Basicコースが始まった。
東京成田国際空港を飛び立って、
7時間余りで北米大陸に到着。
そしてサンフランシスコのベイエリア。
サンマテオ・ブリッジが見えてきた。
サンフランシスコ国際空港到着。
ラスベガス直行便はない。
ここで乗り換えて、ネバダ州へ。
山肌が露出している。
山地を抜けると、
1時間半でラスベガス渓谷。
ネバダ州の中心がこのラスベガス市。
そのラスベガスの中枢部が、
「ストリップ」と呼ばれる大繁華街。
出迎えてくれたのは、
キューティ上松。
JTB現地スタッフ。
ラスベガスは、
ギャンブリングの街であり、
エンターテインメントの街だが、
人口増に伴って、
小売業の革新が進んでいる。
コンパクトな街だが、
主だったフォーマットが網羅されている。
アメリカに来て最初に訪問するのは
必ずウォルマート。
世界最大の小売業で、
世界最大の企業。
2019年1月期の決算で、
年商は5144億0500万ドル。
100円換算で51兆4405億円。
その売上げをけん引しているのが、
最強フォーマットのスーパーセンター。
店舗面積は最大7000坪で、
フード&ドラッグとディスカウントストアを
コンバインしたフルラインの店だ。
入口はプロモーションコーナー。
ロープライスリーダーを謳う。
店舗左側がマーケット。
青果は品質もプレゼンテーションも、
格段に良くなった。
5月は二つのプロモーションがある。
一つは第2日曜日のマザーズデー。
もう一つは最終月曜日のメモリアルデー。
この二つのプロモーションを
売場の各所で展開している。
ウォルマートは、
そのオペレーションやマネジメントが、
売場にくっきりと表れてくる。
売場の一番奥に設けられた
ピックアップヒアーのコーナー。
ネット注文品をここでお客に手渡す。
レジ前のプロモーションコーナー。
母の日のギフト商材が並ぶ。
アパレルは夏物商材を全面展開。
一番売り込んでいるのが水着だ。
メンズもレディスもキッズも、
一番目立つ場所で、
水着を展開する。
ウォルマートのカート。
突然、このエリアで、
カートの車輪が動かなくなった。
何かと思ったら、
店の圏内からカートを持ち出せないよう、
仕掛けがされている。
コストコそっくりの売場づくりに変えて、
お客の支持が上がっている。
フレッシュミートとシーフードは、
新たに突き出しの対面コーナーを設けた。
コストコとの差別化作戦だ。
天井に届くほどのラック陳列。
アイテムを絞り込んでパレットで販売する。
レジはセルフレジが増えた。
キャッシュレス化も進んでいる。
これもライバル・コストコとの違いを出すためだ。
ウォルマートの反対側にある
ベストバイ。
家電チェーン米国ナンバー1。
広大なパワーセンターの敷地のなかで、
もう一つの核店舗がホームデポ。
全米ナンバー1、世界ナンバー1の
ホームセンター。
9700坪ほどのメガホームセンターは、
DIYの一般客だけでなく、
プロユースにも対応する。
入口の横には、
プロ向けのサービスコーナー。
さらに専門店チェーンも揃う。
ベッド・バス&ビヨンド。
全米唯一となってしまった、
ホームファッション・チェーン。
壁面にびっしりと天井まで商品を並べ、
キッチン、寝具、バスなど、
生活シーン別に商品を揃える。
カラフルなカバリング商品も、
天井近くまでプレゼンテーション。
オフプライスストアのマーシャルズ。
T.J.マックスが展開するバナー。
年商は389億7300万ドル、3兆8973億円。
伸び率は8.7%で4兆円規模も視野に入ってきた。
百貨店やステータスブランド専門店で、
シーズンが終わって売れ残った商品を、
集荷してきてディスカウント販売する。
商品はフック陳列が主体。
ブランドやサイズは関係なく、
メンズ、レディス、キッズを、
トップスやボトムスに分けて展開する。
時間に余裕のあるお客が、
宝探しのような感覚で商品を探して選ぶ。
同じ業態のロス・ドレス・フォーレス。
さらに専門店チェーンが配置される。
ティリーズはアパレル専門店。
広大な敷地、広大な駐車場。
ウォルマート・スーパーセンターをはじめ、
強力なディスカウント業態を揃えた
アローヨ地区のパワーセンター。
しかも名だたる4桁チェーンが、
ずらりと顔を揃える。
次に向かったのが
クローガー傘下のスミス。
入口で出迎えてくれるのが、
カラフルな花売場。
日本のスーパーマーケットでも、
カジュアルフラワーを
もっと強化してもいい。
そして青果売場。
腰高の什器で、
旬のフルーツと野菜を並べる。
ニューヨークのチーズ専門店「マレーズ」。
クローガーが買収して、
専属のショップとなった。
デリの対面販売売場。
デリカテッセンの「ボアーズヘッド」が、
その中核コーナー。
セルフ売場のビーフや鶏肉などのカテゴリーでも、
PB「シンプルトゥルース」が中核。
オーガニック&ナチュラルのブランドだ。
レジは通常レジとエクスプレスレジ、
そして完全セルフレジの3種類。
団員もセルフレジを体験。
初日は全米ナンバー1のウォルマートと、
ナンバー2のクローガーを視察。
クローガーはスーパーマーケット首位。
ホームデポもベストバイも、
マーシャルズのTJXも、
ベッド・バス&ビヨンドも、
それぞれの業態でのトップ企業だ。
午後7時を回って、
夕食懇親会の会場へ。
恒例のロウリーズ。
最上級のプライムリブを提供するレストラン。
乾杯の発声は、
㈱ロピアの相川博史さん。
取締役営業本部長。
日本からラスベガスまでの、
長い初日を終えて、
ビールで乾杯。
ロウリーズ名物は、
サラダのデモンストレーション。
このおいしそうな仕上がり。
それをカッティングして提供してくれる。
ローストビーフと、
パイ、マッシュポテト。
大満足のディナーで、
長い長い1日を終了した。
二つのショッピングセンターを回れば、
全米の小売業の業態別トップ企業を学べる。
しかもそれぞれが確実に、
自分の立ち位置を構築している。
すみ分けつつ競合する。
まさにポジショニング競争である。
(つづきます)
〈結城義晴〉