「レジ袋有料化の義務化」と「ひとつ拾えばひとつだけきれいになる」
レジ袋有料化が義務付けられる。
時期は来2020年4月1日から。
世耕弘成経済産業大臣が、
G20エネルギー・環境閣僚会合で発言した。
「東京五輪・パラリンピックに間に合う、
20年4月にできるようにしたい」
政府として、
時期を明言したのは、
初めてのことだ。
各紙が報じた。
G20の主要テーマの一つが、
海洋プラスチックごみ対策だ。
いわゆる「廃プラ」問題。
今回のG20大阪サミットの開催は、
来週の6月28日(金)29日(土)の2日間。
大阪国際見本市会場(インテックス大阪)。
それに先立って、今日明日と軽井沢で、
エネルギー・環境閣僚会合が行われた。
この2日間の会合を通じて、
国際的な廃プラ対策の合意を目指す。
国内のレジ袋は、
年間20万トン程度排出される。
廃プラ全体の約2%。
プラスティック製品のレジ袋問題は、
それを提供する小売業の責任でもあるが、
政府は「レジ袋の有料化」によって、
使い捨てプラスティックに対する、
国民意識の変化を促す。
有料化するレジ袋の素材や範囲は、
今後具体的に検討される。
レジ袋有料化は、今年5月、
政府が策定した「プラスチック削減戦略」に
すでに盛り込まれた。
プラスティックごみに関しては、
第1に石油資源の浪費や焼却処理による、
CO2の排出という問題がある。
第2に大量の「廃プラ」が、
川や海に流れ込んで汚染し、
環境に深刻な影響を及ぼす問題がある。
人体への影響すら懸念される事態だ。
そこでプラスティックごみを回収し、
処理し、リサイクルする必要が生じる。
国際的にみると1980年代以来、
中国が各国から廃棄物を輸入してきた。
それによって中国内の業者が利益を得た。
さらに廃棄物の中から金属類などを、
工業製品の原料として再利用した。
つまり2017年まで中国は、
世界中のプラスティックごみの処理を、
ほぼ一手に引き受けていた。
その中国が、2017年12月、
輸入停止に踏み切った。
自国の環境汚染問題が表面化したからだ。
そこでアメリカや日本、香港など、
多くの先進国で大量の「廃プラ」が、
行き場を失ってしまった。
そのリサイクルに関しては、
日本は世界の優等生だと思われてきた。
しかしここに数字のマジックもあった。
日本におけるリサイクル率は84%とされ、
これは世界トップクラスとされる。
リサイクル率は、
「廃プラ」の資源有効利用率のことだ。
しかしその日本の内訳は、
「サーマル・リサイクル」が57%を占める。
これは焼却時に発生した熱を回収し、
発電や熱供給などを行うこと。
このサーマル・リサイクルは、
「和製英語」で「熱回収」という。
英語では”Energy Recovery”と表現され、
逆にCO₂の増加要因となるとされる。
そこでパリ協定では、
「リサイクル」とは評価されない。
日本のリサイクル率は、
実はそんなに高くはないのだ。
OECD(経済協力開発機構)加盟各国の、
「都市ごみ」の処理手法を比べても、
日本は突出して焼却処理が多い。
さらに昨2018年6月、
カナダで開催されたG7サミットで、
日本と米国が「海洋プラスチック憲章」に、
署名しなかった。
昨年10月末にはインドネシアで、
海洋環境保全の国際会議が開催された。
「New Plastics Economy Global Commitment」
世界の290の企業と団体が、
プラごみ削減の共同宣言を発表。
残念ながら日本企業の名前はなかった。
使い捨てプラスティックに関して、
国民1人あたり換算で使用量を試算すると、
世界で一番多いのがアメリカ、
二番目が日本である。
そんななかでのG20を控えた、
エネルギー・環境閣僚会合での、
世耕大臣のレジ袋有料化のコメント。
昨年、スターバックスとマクドナルドが、
使い捨てプラスティックストロー非使用を発表。
すかいらーくグループも同じ動きを示す。
西友は2012年7月から、
全店でプラスティックレジ袋を有料化。
イオンも2012年9月1日に、
エコプロジェクトを発表。
レジ袋の有料化を進めてきた。
多くのセルフサービス企業で、
同様の動きを推進してきた。
しかし産業挙げてという印象はない。
それぞれの企業がやっている印象。
自治体もプラスチックごみ削減に向けて、
取り組みを表明している。
神奈川県「かながわプラごみゼロ宣言」は、
2018年9月。
「かまくらプラごみゼロ宣言」は、
2018年10月。
京都府亀岡市では、
「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をし、
2018年12月に国内で初めて、
プラスチックレジ袋使用禁止を条例化した。
朝日新聞の記事。
「小売業界は対応を迫られる」
「大手スーパーなどはすでに
有料化を進めているが、
コンビニではレジ袋を希望する客が多く、
レジ袋の辞退率は2~3割程度と低い」
そこで大手コンビニの広報担当者。
「スーパーと違い、コンビニは、
ふらっと立ち寄る場所。
エコバッグを常に持っている客は少ない」
「セブン-イレブンは2030年をめどに、
レジ袋使用をゼロにし、
紙袋などに変える方針を打ち出している」
対応が急がれる。
この問題は小売りサービス産業を挙げて、
真剣に取り組みたい。
生団連などこのテーマに、
率先して取り組むだろう。
考え方の基本は、
鍵山秀三郎さん。
「ひとつ拾えば
ひとつだけきれいになる」
「ゴミを捨てる人は捨てる一方。
まず、拾うことはしない」
「反対に、拾う人は
無神経に捨てることもしません」
「この差は年月がたてばたつほど
大きな差となって表れてきます」
プラスティックレジ袋の使用も同じ。
「人生はすべて
こうしたことの積み重ねです」
鍵山さんの持論は「凡事徹底」
「ともすると人間は、
平凡なことはバカにしたり、
軽くあしらいがちです。
難しくて特別なことをしなければ、
成果が上がらないように
思い込んでいる人が多くいます。
そんなことは決してありません」
「世の中のことは、
平凡の積み重ねが
非凡を招くようになっています」
ただし世耕経済産業相が、
鍵山さんの言葉を使ってはいけない。
「それを言っちゃあ、おしまいよ」
長らく中国に、
廃棄ごみを売っていたことを、
我々も忘れてはいけない。
〈結城義晴〉