NYC2日目はピックアップタワーとブロードウェイの「競争と共生」
ニューヨーク2日目は、
怒涛の視察研修。
その前に朝一番で、
セミナー。
まず吉田元(はじめ)さんが、
ここまでの中間総括。
イオンリテール㈱人事部教育担当部長。
そしてイオンの行動憲章唱和。
その後、結城義晴の講義。
2回目の講義内容は、
現代チェーンストア戦略論。
その第1はフォーマット論。
それからポジショニング戦略。
テキサス州のダラスで学んだこと、
昨日のニュージャージーで見たこと、
それらのケースを混ぜながら、
21世紀のチェーンストアに必須の戦略を、
力を込めて語った。
もちろん、今回はベテラン揃いで、
それぞれの顔を見ながら話すと、
脱線ばかりしてしまう。
それでもみんなよく理解してくれた。
講義が終わったら、
ウォルマートへ。
店舗の右サイドに、
「Pickup」のオレンジ色のマーク。
その下で子供用自転車を販売。
入口を入ると、
バック・トゥ・スクール販促の島陳列。
7月4日の独立記念日を過ぎると、
長い長い夏休みに入る。
9月第1月曜日のレイバーデーまで、
2カ月間の夏休み。
そして9月から新学期が始まる。
その新年度の新学期に向けて、
「早仕掛け」。
それがこのバック・トゥ・スクール販促。
やはりウォルマートだ。
素早い転換は世界一。
まずは入口主通路沿い。
アクションアレーで展開する。
青果部門は広大で単品量販。
ミート部門のグレードが上がった。
牛乳は1ガロン3ドル25セント。
ダラスと比べると2ドル近く高いが、
ニューヨーク周辺では安い。
そしてプライスマッチング政策。
わが社より低価格の店があったら、
教えてください。
価格を「マッチ・イット」します。
合わせます、値引きます。
ノンフード売場の女性下着コーナーは、
什器が変わった。
在庫が少なくて、商品面がよく見える。
そしてレジの後ろに、
ピックアップタワー。
ウォルマート・コムで購買して、
このタワーから自動的に受け取る。
この店はAとBの2つのタワーがある。
前日に購入しておくと、
ここに名前が表示される。
国松さんにお願いして、
前日に購入し、登録しておいてもらった。
ニューヨーク在住のコーディネーター。
1個は出てきたが、
もう1個が出てこないので、
結局、係の人に出してもらった。
無人を謳うが有人となる。
ウォルマートはいつも進化している。
満足し、買物して、バスへ。
ニュージャージーから、
リンカーントンネルをくぐって、
マンハッタンに入る。
そしてブロードウェイの、
ゼイバーズへ。
小雨がちらついたが、
ここから徒歩で4店舗を巡る。
ゼイバーズはたった1店だが、
マンハッタン中に顧客がいる。
1店だからネットでもよく売れる。
売上高の4分1がネット販売。
左側の入口を入ると、
圧巻のチーズ売場。
こんなに種類があるのかと思うほど、
さまざまな種類のチーズ。
1品ごとに顧客がついている。
そしてスモークフィッシュのコーナー。
創業のときからの売り物。
惣菜もおいしくて、
1品ごとに顧客がついている。
ベーカリーはインストアで焼成しない。
しかし近隣で焼いてすぐに店に届ける。
青果部門は狭いけれど、
鮮度がよい。
最後は有名なコーヒー売場。
私は日本でも日常的に、
ゼイバーズのコーヒーを愛飲している。
ゼイバーズが元気であることは、
何よりうれしい。
そんな店だ。
歩いて7分くらいで、
フェアウェイマーケット。
典型的なManhattanスーパーマーケット。
特に農産品の鮮度と安さ、
そのボリューム陳列は有名だ。
美しくて迫力のある、
最高のプレゼンテーションには、
いつも見入ってしまう。
惣菜もフェアウェイの味だ。
ここでも固定客がついている。
コーヒーは樽で販売する。
手前がピクルスやオリーブ、
奥がチーズ。
グロサリーも青果と同様に、
什器にびっしりとボリューム陳列。
精肉の中心は対面販売コーナー。
そして氷を敷き詰めた鮮魚対面売場。
フェアウェイマーケットは、
生鮮食品が安くて鮮度がいい。
スーパーマーケットの原点を、
教えてくれる。
その2階にオーガニックだけの売場。
青果部門はこれが全部有機食品。
年間3割ずつ伸びている。
そこで1階の青果部門を改装して、
若干、在庫量を調整した。
2階のハードウェア売場をつぶして、
レジスペースにした。
そしてレストランを明るくして、
席数を増やした。
さらに調理教室のスペースをつくった。
もちろん1階にはバルク売場と、
ヘルス&ビューティ売場がある。
フェアウェイは一度、株式公開して、
郊外に連続出店したが、
その投資を回収できずに倒産。
立ち直って原点回帰している。
フェアウェイマーケットの隣に、
シタレラがある。
惣菜専門店で人気がある。
こちらも固定客がついている。
1階の奥にはシーフードと青果。
珍しい組み合わせの売場だ。
隣接して競争しているようで、
互いに共生している。
フェアウェイとシタレラ。
それが面白い。
そしてまた5分ほど歩くと、
トレーダー・ジョー。
地下1階と地下2階の2層の店だ。
ベーカリー、乳製品から入って、
青果へと続く。
2層の店をワンウェイコントロールで、
顧客を次へ次へと引っ張り、
レジに向かわせる。
顧客は買い忘れしない。
地下2階はエンドがずらりと並んで、
グロサリーと冷凍食品の売場となる。
オールプライベートブランド。
冷凍食品は生鮮素材から、
洋・中・和まである調理済食品、
そしてデザートもそろっている。
地下1階に戻ると、
もうすごい行列。
しかしその行列も、
驚くほどの速さで、
一番前に来て、勘定が終わる。
トレーダー・ジョーはどこでも、
いつでも最強の店だ。
その1階と2階が、
デュアンリード。
マンハッタンのドラッグストア。
300店弱。
地上2階がHBC売場と、
化粧品のビューティー売場。
調剤薬局はウォルグリーン。
デュアンリードはウォルグリーン傘下。
エスカレーターで1階に降りてくると、
こちらは完全にコンビニ。
マンハッタンでは、
ドラッグストアがコンビニ機能を担う。
デュアンリードとウォルグリーン、
そしてCVSファーマシー。
ブロードウェイをぶらぶら歩きながら、
競争と共生のことを考えた。
しかしこの競争の中で、
ウェストサイドマーケットがつぶれた。
ゼイバーズとフェアウェイの間で、
ずいぶん長いこと営業していたが、
とうとう閉店してしまった。
一番特徴のない者が、
フィールドから去っていった。
それがアメリカの競争だ。
(つづきます)
〈結城義晴〉