NYCのテーマ・フェスティバルセンターの「イータリー化現象」
月刊商人舎7月号、発刊しました。
このところ、雑誌を責了しては、
海外出張のパターンです。
だから刷り上がりを手にするのは、
いつも帰国してから。
今月号の特集は、
「アスクル&とくし丸」
先々月号に続いて、
「ラストワンマイル」がテーマです。
[Cover Message]は表紙の言葉。
ラストワンマイルはサプライチェーンの鎖の中で、最後の1マイルを担当する。1マイルは1.6kmだが、象徴的に言われているに過ぎない。ラストワンマイルとは、主にインターネットビジネスにおけるサプライチェーンの最後の一行程だ。そして、この最後の行程の王者は米国のアマゾンであり、中国のアリババであって、そのラストワンマイルの先に消費マーケットという大海がある。その大海を牛耳る者が、勝者となって市場を総取りする。ただし 「勝者総取り」とは言うものの、ここにもマーケットリーダーがいるし、マーケットチャレンジャーがいる。実は勝者独占ではないのである。そしてここにも多様なカテゴリーがあり、多彩なチャネルがある。アマゾンは書籍から始まったラストワンマイルである。日本のアスクルはオフィスサプライのラストワンマイルである。とくし丸は移動スーパーという決定的なラストワンマイルである。そのラストワンマイルの勝者総取りは、スピーディだ。足し算ではなく、掛け算でもなく、累乗の加速でマーケットを制圧する。アスクル&とくし丸は、そのうえで日本的な「三方良し」を実現する。この「日本的」という意味において、アマゾンやアリババとは決定的に異なり、それが日本市場では優位に立つ力となるはずだ。日本型ラストワンマイルの世界を探求しよう。
さてイオンリテール㈱の米国研修。
ニューヨーク2日目の後半。
ウォルストリートへ。
マンハッタンに来たら、
誰もがやってくる観光地で、
世界の金融の中心地。
ジョージ・ワシントン像。
ここで合衆国の第1回議会が開催された。
そのワシントンの足元で、
全員写真。
この通りの「ザ・トランプ」ビル。
2階に未来型ドラッグストア。
デュアンリード。
10年ほど前から一世を風靡して、
この店の見学者は後を絶たない。
アップマーケットと呼ばれるコンビニ。
インストアで寿司まで作って販売する。
調剤薬局はウォルグリーンが担当。
クリニックも入っているし、
HBCはセルフ売場となっている。
それ以外にもビューティー売場は、
ウォルストリートの女性たちが、
化粧品を購入するに十分な品揃え。
店を出てきて、
向かいのティファニーの営業マンと写真。
六本木のティファニーに6年勤務して、
日本語堪能の商売人。
ウォルストリートから歩いて、
かつてのグランドゼロへ。
そして9・11の鎮魂のプール。
今日が誕生日だった人の名前には、
バラの花が添えられている。
星条旗とバラ。
プールの横に、
ウェストフィールド
ワールドトレードセンター。
3階までのエスカレーターを上ると、
イータリーNYC2号店。
入口を入ると八百屋。
イタリアの肉屋もある。
魚屋もある。
チーズショップもある。
そして料理教室もある。
むろんイタリア料理のレストランもある。
市場であり、
食堂であり、
学校である。
それがイータリーだ。
そしてこのイータリーの考え方が、
大げさな言い方だが。
「燎原の火」のように広がっている。
それを称して、
「地球イータリー化現象」
結城義晴の命名。
マンハッタン、ニューヨークから、
世界に広がっている。
ブルックフィールドプレース。
グランドゼロの隣の敷地。
そこに登場したショッピングセンター。
分類すれば、
テーマフェスティバルセンター。
もとはニューヨーク世界金融センター。
メリルリンチ、アメリカン・エキスプレス、
ダウ・ジョーンズの本社があるし、
ウォールストリート・ジャーナルもある。
その1階にル・ディストリクト。
フランス料理のイータリー。
ここでもフランスの街の八百屋。
肉屋にはレストランが併設されている。
この肉をミディアムで焼いてください。
そう頼めば、それが出てくる。
魚屋もあるし、
その魚屋も同じだ。
人気があるのはコーヒーショップ。
農産、水産、畜産、乳製品、
加工食品、菓子、ドリンク、酒。
小売業と飲食業が融合している。
ル・ディストリクトも、
少しずつ顧客をつかんできて、
イータリーより好きだという人も多い。
このセンターの2階に、
Amazon Goがオープン。
本拠地のシアトルに4店、シカゴに4店、
サンフランシスコに3店、
そしてニューヨークに2店。
この6月現在で13店。
もちろんレジのないコンビニ。
カメラ、センサー、マイクなどが、
店内に張り巡らされて、
その情報をもとにAIで分析して、
店内の顧客行動を追跡する。
そしてどの顧客がどの商品を買ったかを、
完ぺきに把握して、
自動精算システムで勘定する。
「Just Walk Out Technology」
しかしクレジットカードを持たない者を、
差別し排除するとして批判を受けている。
そこでこの店では初めて、
現金利用可能な仕組みが入った。
この店は30坪弱の小型店。
アメリカン・エクスプレス本社の、
入口の横にある。
うまい出店だ。
しかし店に入ってみると、
右多段ケースの商品が欠品だらけ。
Amazon Goではよくあることだ。
シアトルの1号店も初めは、
これと同じ状態だった。
しかしこれは今、
売れすぎていることの証でもある。
ワンワールドセンター地区を後に、
ソーホーへ。
その真ん中に、
ディーン&デルーカ。
ニューヨーク・デリの老舗。
デリショップと言っても、
惣菜だけではない。
もちろんデリカテッセンが中心だが、
青果も鮮魚も精肉もある。
そのディーン&デルーカ本店、
一番奥には寿司売場があって、
その前にイートインコーナー。
隣にコンバース。
バスケットシューズのコンバース。
その専門店。
ドキドキワクワクする店。
ソーホーではすべての店に、
それがなくてはいけない。
そしてユニクロ。
ソーホー店がマンハッタン1号店。
苦労に苦労を重ねて、
ここで闘うことで、
ユニクロも洗練されてきた。
その尖がりにユニクロらしさがある。
アウトスタンティングなポジショニング。
UTをアピールする。
ユニクロのTシャツ。
アメリカ人顧客にも、
いまやギャップより人気が高い。
その並びに、
ルルレモン。
場所を移動して、
ユニクロの並びに入った。
ヨガのファッションとグッズの店。
アパレルでは専門性が必須だ。
しかし専門性といっても狭すぎると、
アンダーポジショニングとなる。
ルルレモンは伸びるマーケットで、
この専門性のポジションを獲得した。
そしてナイキ。
時間がなくて1階だけちょっとのぞいた。
驚いたのがこのプレゼンテーション。
躍動感があって、美しい。
空を飛ぶようなシューズ。
元ネタはサモトラケのニケ。
ルーブル美術館の入り口にある。
それをコンセプトにした演出だ。
そして2日目に最後は、
チェルシーマーケットへ。
隣に
スターバックス・リザーブ・ロースタリー。
1号店はシアトルにできた。
それが上海にも、ミラノにも、
そしてニューヨークが5号店。
日本では中目黒に6号店がある。
バリスタコーヒーをはじめ、
アルコールバーもある。
超高級なスターバックスだ。
店舗の一番奥にコーヒー工場がある。
それがスタバの核だからである。
チェルシーマーケットは、
ナビスコの工場跡にできた、
テーマフェスティバルセンター。
飲食店がどんどん増えてきた。
その核となるのが、
ロブスター・プレース。
これこそ魚屋のイータリー版だ。
魚の素材を売る小売業。
魚を食べさせる飲食店でもある。
ロブスターや牡蠣はどこよりも新鮮で旨い。
一番奥のロブスターは、
鮮度も抜群で身がしまっていて、
大ぶりのサイズ。
テイクアウトもできるし、
イートインもできる。
イオンリテール㈱のメンバーも、
存分にロブスターを楽しんだ。
こちらもロブスター三昧。
ニューヨーク2日目の夕食は、
ロブスターや寿司で打ち止め。
地球イータリー化現象は、
究極のラストワンマイルである。
(つづきます)
〈結城義晴〉