ASKUL岩田彰一郎「できる男は疎まれる」と万代知識商人大学合宿
「できる男は疎(うと)まれる」
これ、結城義晴の言葉。
岩田彰一郎アスクル㈱CEO。
アスクルとヤフー㈱の件、
岩田さんが都内で記者会見を開いた。
「日経ビジネス」でも、
緊急インタビューに答えた。
「ソフトバンク子会社化でヤフー変質」
「支配株主であるヤフー社と締結した
業務資本提携契約の実効性が
損なわれようとしている」
私は言い続けている。
頑張れ、岩田。
負けるな、アスクル。
そこでヤフーもコメントを発した。
「当社から社長を派遣するつもりはない」
保有するアスクル株も、
「譲渡する予定はない」
そしてLOHACOに関しては、
前言を翻して、
「アスクルのもとで運営していくことが
最良だと判断している」
ヤフーが求めているのは結局、
岩田彰一郎CEOの退任だけ、
ということになる。
それにプラス㈱社長の今泉公二さんも、
賛同している。
今泉さんは、
岩田さんの慶應義塾大学の先輩だ。
今泉さんから誘われて、
岩田さんはライオンを辞めた。
そしてプラスに身を投じて、
アスクルを興した。
私は思う。
「できる男は疎まれる」
朝日新聞「折々のことば」
第1525回。
いやいやながらでも
座席をずらして
シェアすることが、
ぼくたちのもともとの
経済のすがた
なんじゃないかな。
(辻信一対話録『「雑」の思想』から)
「経済は取りあいだけでなく、
分けあいでもある」
「満員のバスに
また一人乗り込んできたら、
みな”しょうがねぇな”と
舌打ちしつつも少しずつ詰める。
この譲りあいや再分配と
市場交換のバランスが経済なのだ」
英語の「share」には、
「占有率」や「占拠率」と、
「分有」(ひとつのものを分けること)の、
ふたつの意味がある。
LOHACOは分有すべきだろう。
どっちが支配するのしないのと、
争っている時ではない。
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一昨日から、大阪の北港。
ロッジ舞洲。
万代知識商人大学第4期。
「マーケティングマネジメント」の講義。
この講座だけ2日間の合宿。
朝一番で、2人のスピーチ。
前回の講義から学んだこと。
東本明さん。
ドライグロサリー部SVリーダー。
先月の講義から学んで、
スーパーバイジングの仕事を改善した。
そのことを報告してくれた。
もう一人は、玉田智也さん。
畜産部SV。
彩都センターができて、
畜産のオペレーションも変わった。
そのオペレーションシステム改革を、
ていねいに報告した。
この企業内大学の成果が、
すぐにも出ている。
しかし大学の本当の意味は、
「すぐに役立たないこと」にある。
報告のあとは結城義晴。
マーケティングマネジメントに関して、
いちばん大事なこと。
昨日の講義を復習しながら、
強調した。
「マーケティングは
一日あれば学べる。
しかし、使いこなすには
一生かかる」
(フィリップ・コトラー)
万代大学では2日かけて学ぶ。
しかし使いこなすには一生かかる。
そして今日は万代の取締役が、
それぞれの領域で、
マーケティングを披露する。
まず芝純専務取締役。
万代の商品部と店舗運営部を統括する。
つまり営業本部長の役割を担う。
本年度のテーマは、
「不易流行」
営業方針はマーケティング方針である。
万代の今年の商売の考え方を、
具体的な事例を交えて、
実にわかりやすく語ってくれた。
そのあとで、生鮮食品と惣菜の、
マーケティングについて、
これも事例を交えた講義。
いつもながらいい講義でした。
ありがとう。
芝さんのあとは、
中筋浩二さん。
取締役ドライデイリー担当。
この万代大学では、
万代の役員が講義する。
企業内大学はこれでなければいけない。
そしてこの取締役の講義が、
とてもいい。
中筋さんは、
マーケティング視点の商品政策を、
詳細なスライドを使って、
緻密に解説してくれた。
それらを余すことなく吸収しようと、
皆、必死にメモを取る。
中筋さんは10年ほど、
デーモンワールドワイドに所属して、
プライベートブランド開発を、
自ら体験した。
その背景があるものだから、
マーケティングの本質をついていて、
優れた講義だった。
最後は古谷潔さん。
取締役店舗運営部門担当。
一人ひとりに質問をしながら、
講義を進める。
店舗運営にも、
もちろんマーケティングは必須である。
顧客への対応、地域への対応、
「売り手良し、買い手良し、世間良し」
この「三方良し」を実現させねばならないからだ。
芝さん、中筋さん、古谷さんの講義は、
それぞれに熱が入って1時間ほど押した。
それだけ充実した内容だった。
午後の講義は、再び、
結城義晴。
今回のマーケティングマネジメントで、
全プログラムの半分を終える。
今日の講義終了後には、
受講生一人2分のスピーチタイムがある。
そこで、午後いちばんで、
まずスピーチの方法論を解説。
スピーチは「説得」だ。
そこでアリストテレスの「レトリック」。
修辞学・弁論術。
これが欧米の常識。
欠かせない要素は3つある。
ロゴス、エトス、パトス。
ロゴスは論理。
エトスは倫理。
そしてパトスは感情。
この3つを聞き手にどう伝えるか。
スピーチの極意はここにある。
スピーチについての講義も、
話し始めたら止まらない。
「わかりやすさ」が第一。
そのために論理的であること。
序論・本論・結論の構成になること、
起承転結でもよろしい。
何よりも熱意を込めて、
相手の目を見て話すこと。
その後、最後の講義は、
サービスマーケティング。
関西ダントツを目指すには、
売上高シェアがダントツというだけではいけない。
サービスレベルも断トツを実現させよ。
サービスの本質、
企業が提供する4つの要素、
さらに顧客ロイヤルティを
高めるための仕組みづくり、
間接部門のサービス、
ホッケースティックの法則など、
必須の項目を90分ほど講義した。
最後の講義のあとは、
いよいよ全員の2分間スピーチ。
2分を過ぎると、時計の音が鳴り、
事務局が手を挙げて合図する。
次々に前に出てスピーチする。
自分の現場の問題点を、
カレッジで学んだ手法で解決する。
部下やパートナー社員との接し方に、
ヒューマンリソースの講義が役立った。
全員のスピーチを終えて、
最後に津田睦人事部マネジャーと、
結城義晴が講評。
4期生はおとなしい。
それがこれまでの評価だった。
しかし一人ひとりがスピーチすると、
しっかりしている。
全員が将来の幹部候補生だ。
あとは第4期生のチームワークが必要だ。
個人を磨くとともに、
チームで立ち向かうこと。
それを求めた。
さらに最後に、
ソシオテクニカルシステム論。
故杉山昭次郎先生の持論。
商人舎最高顧問。
企業体には社会的組織的システムと、
技術的システムがある。
組織をソシオシステムといい、
技術をテクニカルシステムという。
Human Resource Managementによって
ソシオシステムに変化が起こると、
それはテクニカルシステムを変容させる。
Marketing Managementによって、
技術システムに改善がもたらされると、
社会システムがまた変容する。
ヒューマンリソースマネジメントと、
マーケティングマネジメントは、
このソシオシステムの密接な関係にある。
2日間の合宿講義。
17時半にすべて終了。
ありがとうございました。
「できる男は疎まれる」
しかし、だからこそ、
その、できる男、
できる女になれ。
〈結城義晴〉