結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年08月16日(金曜日)

高崎のイオンとヤオコー&ベルクと「夏盛り本日閉店左様なら」

終戦の日から盆の明けへ。
夏が過ぎてゆく。

長いながい梅雨。
そして台風と酷暑。

真夏の時期は短かった。

ざんぶりと一雨浴(あび)て蝉の声
〈小林一茶〉

高崎市は、
群馬県最大の人口を誇る。
36万8846人(2019年6月1日)。

群馬県の県庁所在地は前橋市だが、
こちらは33万3586人。

互いに競い合っている。

昔々のTBSラジオ深夜放送番組、
パックインミュージック。

野沢那智と白石冬美がパーソナリティで、
「ナチチャコ」と呼ばれていた。

この番組で、
「前高・高高」合戦があった。

前橋高校と高崎高校が、
互いにけなしあうという趣向。
懐かしい。

その高崎駅前に、
高崎OPA(オーパ)。
IMG_99029

商人舎流通スーパーニュース。

一昨年の2017年9月11日の報道。

イオンnews|
ビブレ跡地に「高崎OPA」10/13グランドオープン

2年前の10月13日にグランドオープン。
旧高崎ビブレ。

商業施設の敷地面積は約7400㎡(約2240坪)。
建物構造は地上8階建ての、
関東有数のショッピングビル。

2階から5階はファッション、
6階は家具や文具などの専門店街、
7・8階はフードコートと飲食店ゾーン。
それにエンターテインメント。

1階フロア全面に、
イオンスタイル高崎駅前
IMG_99089

イオンリテール㈱のスーパーマーケット。IMG_99099

2年前のオープンとはいえ、
もうイオンフードスタイルは、
完成の域に近づいていた。IMG_99039

インストアベーカリーとグロサリー。IMG_99069

店舗の奥には、
ドラッグストアと酒ショップ。
グランビューティークとイオンリカー。
そしてイートインコーナー。IMG_99079

ヤオコー高崎高関店。IMG_99429

埼玉県が本拠地のヤオコーも、
この高崎駅周辺に3店を展開。

高崎飯塚店、高崎井野店と、
このマーケットプレース高崎高関店。
IMG_99409
商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
第1Q営業収益5.2%増・営業利益0.5%減/消耗戦開始!?

ヤオコーの第1四半期は増収営業減益。
私は「消耗戦開始!?」と位置づけた。

この店は右手入り口に青果部門と、
インストアベーカリー&惣菜部門。IMG_99399

ヤオコーの店には主に2つのタイプがある。
巨匠・鈴木哲男の見事な命名。
「こってり型とあっさり型」

こってり型は、入口に、
青果と惣菜・ベーカリーを寄せる。
あっさり型は、コの字型レイアウトの、
両サイドに青果部門と惣菜部門を分ける。

この高崎高関店はこってり型。

青果・惣菜から鮮魚につながり、
奥壁面沿いは精肉や日配。

左コーナーにワインとチーズ。IMG_99349
そして最後が冷凍食品売場。
こってり型はこのゴールのところが、
ちょっと弱い。

しかしお盆商戦のこの高崎高関店は、
まんべんなく顧客が入っていて、
ずいぶん売れていた。

なぜヤオコー高崎高関店が、
こってり型の店になっているのか。

それはほんの目と鼻の先に、
この店があって、競合しているからだ。

ベルク江木店。IMG_99599

ベルクは現在、112店舗のスケールだが、
この高崎地区に5店舗を集中出店。
ドミナントを形成している。
高崎大八木店、フォルテ高崎店、
高崎日光店、 飯塚店、
そしてこの江木店。IMG_99589

商人舎流通スーパーニュース。
ベルクnews|
第1Q5.5%増・センター設備改修で経常利益3.5%減

ロジスティックスを充実させて、
好調を維持している。

入口の青果部門には「お盆」の垂れ幕。
「土着」をイメージさせる。IMG_99469

冷凍食品部門は、
「毎日安っ!」のオンパレード。IMG_99489

「メガ盛」も盛大に展開。IMG_99499

そして低価格の惣菜売場。IMG_99559
ローコストオペレーションに徹して、
ヤオコーとは異なるポジショニングだ。

ヤオコーとベルク。
きれいに棲み分けている。

もちろん周辺にはベイシアや、
とりせん、フレッセイが競合して、
群馬県第一の商都高崎は、
スーパーマーケット激戦区だ。

お盆商戦らしい激闘が、
静かに展開されている。

東京新聞巻頭コラム「筆洗」

「夏盛り本日閉店左様なら」

「閉ざされたシャッターに
こんな張り紙があった。
東京・阿佐谷」

作家・ねじめ正一の「ねじめ民芸店」が、
8月7日に店仕舞いした。
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阿佐谷に店を開いたのが1972年。
昔懐かしい玩具や季節の品々を売る。

阿佐谷パールセンター商店街の顔だった。
この商店街は「七夕まつり」で有名だ。

コラムの展開は、
ねじめ民芸店閉鎖から、
商店街の衰退へ、
そしてその商店街への、
ドラッグストアの進出へ。

さらにココカラファインとマツキヨの、
経営統合の話へ。

「えっ、ココカラと一緒になるのは
スギ薬局じゃなかったか。
土壇場でマツキヨが
ココカラの心を奪い返したらしい。
なかなか壮絶な展開である」

しかし商店街に関しては、
初めは一番外側の外れに、
スーパーマーケットがあった。

その後、コンビニに席巻され、
最近はドラッグストア。

商店街も業態の盛衰とともにある。

「店舗過多に人口減。
将来を考えれば、今は好調な業界も、
“薬九層倍”の楽な商売ではなく、
生き残りをかけて、競い合う」

「薬九層倍」は「くすり-くそうばい」と読む。
「暴利をむさぼることのたとえ」で、
あまりいい言葉ではない。

三省堂新明解四字熟語辞典では、
「薬の売値は原価よりはるかに高く、
儲けが大きいこと。
薬は売値が非常に高く、
原価の九倍もするという意から」

この辞典の用例に、
丸谷才一「笹まくら」からの引用がある。
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「薬九層倍というのは、
あれは製薬会社と医者のことで、
薬の小売店じゃ
そうはゆかねえんだそうだな」

その通り。

競争は時代とともに、
地域ごとに変わってゆく。

主役の座がスーパーマーケットから、
コンビニエンスストアへ、
そしてドラッグストアへ。

しかし古い業態が全滅して、
新しい業態がすべてを、
塗り替えてしまうわけではない。

〈結城義晴〉


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