秋分の日の慰問ラウンドと野中郁次郎「SECIモデル」
Everybody! Good Monday!
[2019vol38]
2019年第39週。9月第4週。
先週の第3月曜日は敬老の日で、
今日の月曜日は秋分の日。
そして今日は秋の彼岸の中日。
彼岸の入りが先週金曜日の20日で、
今週木曜日の26日が彼岸の明け。
その彼岸の真っ最中に、
台風17号は九州に被害を及ぼし、
日本海を北東に進んで、
温帯低気圧に変わった。
しかし広範な暴風域はそのままで、
日本海側ではフェーン現象。
「フェーン」はドイツ語の「南風」。
アルプス山脈を越えて、
反対側に吹く乾いた暖かい風のこと。
米国のロッキー山脈地方では「チヌーク」、
日本では「風炎」(ふうえん)という。
気象学者・岡田武松の見事な訳だ。
風炎や関東ローム駆け抜ける
〈須賀敏子「あを」より〉
首都圏にも強い風が吹いた。
私は千葉県のホームコースへ。
9月9日の台風15号襲来で被災し、
ずっとクローズしていた。
停電が解消されたのが20日。
コース内の倒木などを片付けて、
ラウンドできるようになって、
再開が今日。
慰問の気持ちを兼ねて、訪れた。
強風に煽られて、急激に雲が動く。
遠くまで見通せる。
しかしコースのあちこちで、
木々が倒れている。
南からの風がなぎ倒した木々。
すごい音がしたに違いない。
根から掘り起こされている。
それを切り出して、集めている。
トラックを入れて撤収するのだろう。
今日はブルーチップ㈱のお二人。
社長の宮本洋一さん(中)と、
常務の土橋和人さん(右)。
土橋さんが2連続バーディーを取って、
絶好調。
しかし最後は宮本さんがグロストップ、
私は4打負けた。
商人舎GMの亀谷しづえも参加。
最後にキャディーの石屋さんと写真。
いつもありがとう。
さて、日経新聞「私の履歴書」。
今月は野中郁次郎先生。
一橋大学名誉教授。
今日は、その最も重要な回の一つ。
「SECI」
「世界では数多くの学者が日々、
研究に取り組み、論文を書いている」
オリジナルな論文だと思っていても、
世界のどこかに必ず、
同じようなアイデアを持つ人がいる。
平気で真似る人もいないわけではない。
「見知らぬライバルとの競争に勝ち、
権威ある学術誌に論文を掲載できるか」
「まさに出合いであり、運にも左右される。
その点では私は幸運に恵まれていた」
「オーガニゼーション・サイエンス誌」は、
経営学のトップクラスの専門誌だ。
1994年にこのメディアに論文を発表。
「組織的知識創造の動態理論」。
“A Dynamic Theory of Organizational Knowledge Creation”
ハーバード・ビジネス・レビュー誌は、
ビジネス界に大きな影響力を持つ。
しかし学界で評価されるのは、
「オーガニゼーション・サイエンス誌」。
続いて95年に発刊したのが、
“The Knowledge‐Creating Company”
オックスフォード・ユニバーシティ・プレス刊。
これは全米出版社協会で、
ベストオブザイヤーに選ばれた。
日本語版は『知識創造企業』
この本の第2章では、
哲学を中心にしたレビューが展開された。
つまり先行理論の再整理。
プラトン、アリストテレスから、
デカルト、カント、ヘーゲル、
西田幾多郎らの認識論までレビューし、
激論の末にたどり着いたのが、
マイケル・ポランニーの「暗黙知」の概念。
ここで野中理論は一定の完成を見る。
組織理論に哲学を持ってくる。
独自性をつくる。
「形式知」は数値や文字で表せるknowledge。
「暗黙知」は個人の行動、価値観、情念に、
深く根ざしたKnowledge。
この本は、
「暗黙知と形式知との相互作用の中から、
組織的に知識を生み出していくプロセスを
論理的に明らかにした」
ここから「SECIモデル」が生まれる。
SECIは「セキ」と発音する。
暗黙知を共感する「共同化」、
暗黙知を概念に変換する「表出化」、
形式知を理論モデル・物語にする「連結化」、
形式知を行動・具現化する「内面化」。
これらが組織活動の中で循環しながら、
成果を上げていく。
それがSECIモデルである。
簿記3級や珠算3級で落第した野中郁次郎。
その人が世界に誇るKnowledge理論をつくった。
60歳のときだった。
感慨は深い。
もっともっと学び、
考えねばならない。
つくづくと思う。
では、みなさん、今週も、
考えて、考えて、考えよう。
Good Monday!
〈結城義晴〉