結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年11月27日(水曜日)

セブン-イレブン「無断発注問題」の「損得より善悪を」

横浜も急に寒くなった。
先週末までは妙に暖かかった。

みなとみらいの高層ビル群。
手前がランドマークタワー。

雨模様にもかかわらず、
空気がきりりと澄んで、
ビルの灯りが美しい。DSCN92819

大観覧車。DSCN92809

そして帆船日本丸。DSCN92859

イルミネーションに浮かび上がる。DSCN92879

みなとみらいのランドマークプラザ。
1階中央に巨大なクリスマスツリー。DSCN92909

プラザを抜けると、
クイーンズスクエア広場には、
巨大なモニュメント。DSCN92929

「モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー」
彫刻家・最上壽之の作品。
17mのステンレス製。
風の通り道をイメージして、
「たなびく雲」を表現した。DSCN92999

その横に広場。
DSCN92989

石造の旧横浜船渠(せんきょ)2号ドック。
民間最古の石造ドック。DSCN92949

巨大な船がここで製造された。DSCN92959

美しいイルミネーション。DSCN92969

横浜に育って、
横浜で暮らす。

なかなか、いいもんです。

さて、セブン-イレブン・ジャパン。
本部社員の無断発注が問題化。 sebunn2

商人舎流通スーパーニュース。
セブン-イレブンnews|
本部社員の無断発注問題、通報窓口設置し全店調査へ

日経新聞をはじめ、
朝日や読売、毎日から地方紙まで、
全国的に取り上げられた。

共同通信が発信元となったようだ。

「本部社員」といっても今回は、
オペレーションフィールドカウンセラー。
つまり有名な「セブンのOFC」、
役割はスーパーバイジング。

おでんの具材などのアイテムを、
加盟店に無断で発注してしまった。

2人の無断発注が発覚し、
この2人には懲戒処分が下された。

OFCは1人が8店ほどを受け持って、
加盟店の経営指導や運営支援をする。

だから現在のOFCは、
2600人を超えているだろう。

商売において、
一番重要な仕事が発注である。
セルフサービスの商売では、
発注して、陳列して、勘定を受け取る。
これが三大要素だ。

その重要な発注に関してもOFCは、
POSデータやコーザルデータを駆使して、
加盟店主やそのスタッフを支援する。

それがフランチャイズシステムである。

sebun1

しかしあくまでも指導や支援である。
加盟店主は独立した事業者であって、
商売の本質たる発注権は加盟店にある。

セブン-イレブン本部の社内規則でも、
加盟店に無断で行う発注は禁じられ、
厳正な処分が行われる。

おでんや弁当、惣菜は、
発注量が増えれば、
本部の売上げは即、増える。

OFCにしてみれば、
自分の担当の店の売上げが増え、
成績が上がる。

しかし、その発注増によって、
ロスが発生し、廃棄されると、
その分は加盟店が負担する。

加盟店がロスを負担するのは、
加盟店に発注の責任があるからだ。

したがって無断発注は、
発注権という商売の大原則を、
侵害することである。

売上げが上がるという功績は、
おのれがいただいて、
ロスという損失の部分は、
加盟店に押し付ける。

無断発注は、
それが売れれば表面化しにくい。
しかし売れ残ったら、
問題は顕著になる。

実際にセブン-イレブンでは、
この無断発注問題が起こっていた。

そこでトップマネジメントはまず、
電話通報窓口を設置することを決めた。
この電話通報窓口は11月27日から、
約1カ月間設けられる。

全国の加盟店オーナーから、
過去の無断発注について、
通報が受け付けられる。

同様のケースがなかったかどうか、
全店の、すべての商品を対象に、
徹底的な調査が行われる。

さらにこの対応は、
外部機関に委託される。
通報があれば調査を進め、
不正が確認されれば、
処分を含めた対応がなされる。

これら第一の処置は、
過去の問題の摘発である。

第二は、本部社員が発注できないような、
システムの構築を急ぐという。
これは今後の予防である。

しかし予防システムには、
いつか抜け道が考え出される。

いたちごっことしか言いようがない。

そこで第三に、
社員教育を徹底していくという。

しかし、摘発したり、処分したり、
取り締まったり、予防したりでは、
本来のフランチャイズチェーンではない。

社員教育の徹底も、
いまさらながらとしか、
言いようがない。

私の友人にも、
セブン-イレブンのOFC出身者は多い。

ここで商売の基本を徹底して学んで、
著名なコンサルタントになったり、
大学教授になったりしている。

最も親しかった故小森勝さんは、
セブン-イレブンで身に着けたことを、
一生の誇りにしていた。

今回の「無断発注」事件は、
その誇りが崩壊しかけていることを、
図らずも示してしまった。

処分された2人のOFCの問題か――
それだけではない。
その上司たちのマネジメントの問題か――
それだけでもない。

セブン-イレブン全体の、
商売哲学と組織風土に、
深刻な皹(ひび)が入っている。

大げさではなく、私はそう思う。

まったくの推測だが、ことは、
「無断発注」だけではないに違いない。

損得より先に善悪を考えよう。
倉本長治の「商売十訓」第一訓。

セブン&アイ・ホールディングスの祖業、
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん。
セブン-イレブン創業者の鈴木敏文さん。

このお二人には、
揺るぎない理念があった。

それが崩れ始めている。

セブン‐イレブンという、
超一流小売企業だからこそ、
あえて言っておこう。

極めて深刻な現状だと受け止め、
一から出直すくらいの決意がなければ、
歯止めはかからない。

〈結城義晴〉


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