経済4団体トップ発言と兼好法師の「財多ければ」
経済団体の新年祝賀会。
昨日の7日、都内で開催。
日経新聞がその発言をダイジェスト。
ここでは、
経済三団体トップの発言を、
さらにダイジェストしよう。
経団連の中西宏明会長。
経団連は一般社団法人日本経済団体連合。
中西会長は㈱日立製作所会長。
構造変化に対応するために、
「働き方のコンセプトやルールを
変えていかなければいけない」
経済同友会の桜田謙悟代表幹事。
SOMPOホールディングス㈱社長兼CEO。
「雇用制度は経済成長に資する
という視点が欠けてはいけない」
労働や雇用がさらに問題化される1年。
一方、
日本商工会議所の三村明夫会頭。
日本商工会議所は、
中小企業など約125万社が参加するが、
三村会頭は日本製鉄㈱社友名誉会長。
雇用など従来の慣行を見直すうえで、
「全体の利点と欠点を
よく対比してから実行する」こと。
巨大企業団体も中小企業の連合も、
働き方、雇用の問題点を指摘した。
一方、自動車工業団体では、
ホンダの八郷隆弘社長。
世界経済の先行きを、
「明るいとは見ていない」
当然だ。
スズキの鈴木俊宏社長も、
「景気動向は全く見通しが立たず
不透明感が増している」
正月明けの1月3日から、
米国トランプ大統領が、
イランのガセム・ソレイマニ司令官を、
無人機攻撃によってイラクで殺害。
ソレイマニ司令官はイランの英雄。
紛争拡大は必至だ。
今年の日本国内の景気は、
東京五輪・パラリンピックによって、
押し上げ効果が期待される。
しかし問題はその五輪後で、
どこまで落ち込むかと懸念される。
東芝の車谷暢昭会長兼CEO。
「前回の東京五輪関係の支出は、
国内総生産(GDP)の約3%だったが、
今回は約0.5%」
だから「大きな反動減はなく、
『晴れのち晴れ』だ」
不正会計で苦境に陥った東芝。
自分の会社がそれを脱しつつあるから、
楽観的なのだと思う。
「晴れのち晴れ」などではなく、
「不透明」が本当のところだ。
いずれの発言も、
いまや創業者がいなくなって、
二世や専門経営者ばかり。
どこか軽い気がするが。
これに対して、
商人舎流通スーパーニュースから。
生団連news|
小川賢太郎会長の2020年年頭所感
「生団連」は「経団連」の向こうを張る、
「国民生活産業・消費者団体連合会」。
経済三団体と並ぶ、
もう一つの団体と言っていい。
さらにもう一つ、
一般社団法人新経済連盟もある。
こちらはIT企業連盟で、
楽天㈱三木谷浩史社長が立ち上げた。
生団連の小川さんの所感。
「国民生活を大きく
左右するような政策においてさえ、
その多くは国民不在で議論されてきた」
「政策の立案においても、
現場で起こっている個別の事実や
前提条件そのものに対する
十分な検証も行われないまま、
固定観念に基づいた議論に
終始している感があります」
消費増税や軽減税率、
ポイント還元だけではない。
「こうした国民不在の議論に対し、
私たち日本国民が主権者として
その責任を果たしているかといえば、
そこは大いに反省すべきところでしょう。
わが国では国民からの発信としての
ロビーイングはなお未熟です」
国民主権を謳う。
消費者団体でもあるからだ。
「それゆえ、実効性のある
活動を推進する国民団体として、
大きな使命を担う生団連が、
事実に基づいた現状認識と課題設定により
議論を深め、より強い発信力をもって
政・官にその影響力を
行使していく必要があります」
私の持論は、
「ポリティカル・マーチャントたれ」
小川さんはそれを実践している。
今日の朝日新聞「折々のことば」
第1692回。
財多ければ、
身を守るに惑ふ
(兼好法師)
『新版徒然草』(小川剛生訳注)第三八段から
「財が多いとそれに囚(とら)われ、
身を保つのが難しくなる」
編著の鷲田清一さん。
「財産の多寡が
人生の幸不幸を決すると思い込むと、
財が目減りしだすだけで
ひどく不安になる」
大企業でも並みのトップならば、
会社の財が目減りするだけで、
不安になる。
「人の評判ばかり気にしていると、
何がほんとうに大事なものかも
見えなくなる」
これは政治家ではない方の、
政治屋に多い。
「財に恵まれない人のほうが
かえって隣人に気前がいいのは、
日頃よく目にすること」
もともと小さな会社から始まったと、
いつも自覚していなくてはいけない。
そこからこそ、
より良い働き方の改革が生まれてくる。
今日も、思う。
「世のため、人のため。
それから最後に、
己のため。」
兼好法師は書いている。
「第一の事を案じ定めて、
その外(ほか)は思ひ捨てて、
一事(いちじ)を励むべし」
第一に大事だと思うことを決めて、
それ以外は捨てて、
そのひとつのことに励め。
これは「選択と集中」である。
吉田兼好は、
ピーター・ドラッカーと、
同じことを言っている。
その第一の事が、
「世のため、人のため。」である。
〈結城義晴〉