夢に出てきた鈴木敏文さんの「厳しさと真面目さ」
夢を見た。
何時のことかはわからない。
鈴木敏文さんに、
単独インタビューをした。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
一対一のインタビュー。
ずいぶん緊張もしていたが、
長いながい話だった。
込み入った内容の質問にも、
率直に淡々と答えてくださった。
しかし終わってから、
鈴木さんと別れて、
テープの録音も、
カメラの写真撮影も、
全然していないことに気づいた。
パソコンも開かず、
ノートにメモだけしていた。
夢でよかった。
2016年4月7日。
鈴木さんは自ら辞任を表明した。
「不徳の致すところだった」
最後の言葉だ。
鈴木さんの動向を見直すには、
このブログの[検索]欄に、
「鈴木敏文」と打ち込むといい。
この画面が出てくる。
159件、書いている。
そのなかの2016年4月14日のブログ。
翌15日に新体制を固めるために、
指名・報酬委員会が開催され、
19日の取締役会で、
鈴木さんは退任した。
あれからもう、
4年が経過しようとしている。
私はこの鈴木敏文退任事件を受けて、
2016年の月刊商人舎6月号で、
記事を書いた。
伊藤雅俊と鈴木敏文の
「店は客のためにある」
「お客様のお蔭」vs「お客の立場」を分析する
伊藤雅俊さんの「お客様のお陰」を、
私は「顧客満足」であると規定した。
そして鈴木さんの「お客の立場」を、
「顧客創造」であると考えた。
この記事の一番最後のフレーズ――。
セブン&アイ・ホールディングスにはイトーヨーカ堂以来続く社是がある。
「基本の徹底と変化への対応」
伊藤雅俊も鈴木敏文も、これには異論がない。
この社是と「店は客のためにある」の産業DNAとしての哲学がセブン&アイという巨大企業を覆い尽くしている。
〈中略〉
問題は二つの巨星の「お客様のお蔭」の顧客満足と「お客の立場」の顧客創造に象徴されたコンセプトの融合であると、私は考える。
鈴木敏文が伊藤雅俊の了解と庇護のもとで敏腕をふるう体制は、
その意味で最高のバランスを保持していた。
それが崩れた。
しかしこのグループには「お客様のお蔭」と「お客の立場」のバランスが不可欠である。いや、それこそがこの大組織のDNAとなっている。
鈴木敏文が去った後、このバランスはそう簡単に戻っては来ない――。
しかし鈴木さんが退任した翌年のブログ。
2017年06月15日(木曜日)。
大高善興「交遊抄」の「伊藤雅俊&鈴木敏文」と苦歴・艱難・練達
日経新聞最終面「交遊抄」に、
大高善興さんが登場。
もちろんヨークベニマル会長。
タイトルは「2人の師匠」
2人の師匠とは、
伊藤雅俊さんと鈴木敏文さん。
「伊藤雅俊さんと鈴木敏文さんに
出会っていなければ、
今日の私はない」
この直前に私は、
大高さんにインタビューした。
これは夢ではない。
大高さんが二人に学んだもの。
「伊藤さんからは感謝と信用の大切さ、
鈴木さんからは本質を追究する姿勢」
1973年に、イトーヨーカ堂と資本提携。
この際、創業者の大高善雄さんは、
息子たち大高4兄弟に語った。
「伊藤さんにかけてみなさい。
30年後に結論が出る」
東日本大震災のときには、
伊藤さんは翌日から、
「毎夕欠かさず電話をくれた」
伊藤さんは、実は電話魔である。
「お客さまへの感謝の気持ちで
一生懸命やれば、必ず道は開ける。
困っていることは言ってくれ」
伊藤さんは本当に情に熱く、
感謝を信用を旨(むね)とする。
一方の鈴木敏文さん。
大高さんは言う。
「私の経営観を大きく変えた」
その鈴木さんの口癖は、
「改善ではなく改革」
「未来を想像し潜在的なニーズをつかむ」
セブン-イレブンもセブン銀行も、
鈴木さんが生み出した。
「周囲が不可能と思うことをやり抜いたのは
天才としか言いようがない」
その鈴木さんは、
「あまり感謝を口にしない」
大高さん自身、
「褒められたのは
グループのPB商品が成功したときの
一度だけ」
「逆に、挑んだ結果の失敗は責めない。
根底には相手を成長させるための愛がある」
鈴木さんに対して、
「愛」という言葉を使えるのは、
大高さんだけだと思う。
お二人の共通点は、
「厳しさと真面目さ」
結城義晴。
「これこそセブン&アイの本質だし、
ヨークベニマルにも貫かれるものだ」
このブログで言いたかったのは、
この「厳しさと真面目さ」。
夢の中に出てきた鈴木さんにも、
それが貫かれていた。
しかし録音と写真を忘れた。
夢でよかった。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
鈴木敏文さんは、不滅です。
新川秀幸さん
同感です。
伊藤雅俊さんも。