東日本大震災から9年の今日の「パンデミック」と迅速性・実行力
3・11。
東日本大震災から9年。
今日は東京・横浜も、
21度を超える暖かさ。
しかし9年前の今日、
午後2時46分。
仙台ゆりあげの浜。
この海から津波がやってきた。
そのゆりあげ浜に残る「鈴木邸」。
ながい長い防潮堤。
震災直後の石巻市街中心部交差点。
打ち上げられた漁船。
漁港の街のシンボル「巨大クジラ缶タンク」。
倒壊して道路を閉鎖していた。
ヨークベニマル湊鹿妻店は津波の海に孤立した。
福島原子力発電所。
いわき市では㈱マルトが店を開け続け、
市民生活を守る砦となった。
岩手県陸前高田。奇跡の一本松。
海べりの気仙中学校校舎。
ガランドウで残った。
㈱マイヤは、津波に8 店舗をさらわれた。
しかし1年半で6店舗を再建。
「奇跡の再創業」と「第二の誕生」を成し遂げた。
安波山頂から臨む宮城県気仙沼市街。
会社兼自宅は津波にすべてさらわれた。
その前で、熊谷光良さんは語った。
「商売は人と技術と信用で
やるもんでねぇか。
何か失くしたか?!
だったら、商売やっぺ!
明日の気仙沼を皆でつくろうぜ」
「負げねえぞ 気仙沼」。
死者および行方不明者は、
1万8428人となった。
亡くなられた人々の魂に、
心より哀悼の意を表したい。
あれから9年。
今度は、
新型コロナウィルス。
世界保健機関(WHO)は、
「パンデミックに相当する」と認定した。
「パンデミック」は、
「世界的な感染の流行」のこと。
感染は世界の約120カ国・地域に拡大。
感染者は12万人を超え、増え続ける。
死者の数は4300人に達した。
ドイツのメルケル首相は語る。
「このまま治療法が見つからなければ、
全人口の6、7割が感染する恐れがある」
WHOのパンデミック認定は、
2009年以来11年ぶりのことだ。
2009年春頃から2010年3月頃にかけて、
豚インフルエンザが世界的に流行した。
A(H1N1)pdm09型インフルエンザ。
タミフルによる治療法が効果を発揮して、
日本では今回ほどの騒動にはならなかった。
アルベール・カミュの第2作『ペスト』。
カミュはフランスのノーベル文学賞作家。
宮崎嶺雄訳の小説の中で、
ペストは突然、退潮していく。
カミュは、主人公に最後に語らせる。
「ペスト菌は決して死ぬことも
消滅することもないものであり、
(中略)おそらくはいつか、
人間に不幸と教訓をもたらすために、
ペストがふたたび
その鼠どもを呼びさまし、
どこかの幸福な都市に
彼らを死なせに差向ける日が
来るであろうということを。」
ペストという名ではなく、
新型インフルエンザの名でやってきたし、
今、新型コロナという名でやってきた。
カミュはパンデミックだけでなく、
数々の戦争やテロを含めて、
「人災」の到来を予言している。
今、新型コロナは世界経済に打撃を与え、
さらに生活や産業にも影響する。
国際通貨基金(IMF)はこれまた、
11年ぶりの金融危機を予測する。
小売流通業でも不思議な現象が起こる。
商人舎流通SuperNews。
PPIHnews|
2月既存店ドン・キホーテ1.2%増でユニー8.7%大幅増
2月の既存店実績が発表され、
(株)ドン・キホーテは売上高101.2%。
一方、ユニー(株)は103.4%、
閏⽇(29⽇)を加えると108.7%。
ドン・キホーテがユニーを吸収したが、
この新型コロナの影響で、
両者の売上げ伸び率は逆転した。
ドンキはインバウンド購買比率が高い。
それもこの現象の原因の一つだが、
両社ともに「巣ごもり消費」が顕著だった。
一方の海外ニュース。
ウォルマートnews|
米国内で4つの新型コロナウイルス対策を策定し発表
なんとウォルマートはもう早速、
新型コロナウイルス対策を発表。
この迅速性と実行力が、
ウォルマートの真骨頂でもある。
⑴店舗を清潔に保ち、
健康的な環境を維持する。
これは当たり前だが、
真っ先に言うべきことだ。
⑵店舗の在庫と価格を、
公平に保つように努力する。
マスクや紙製品、消毒用品などを、
最も必要としている地域に優先的に配荷する。
また、店長の在庫管理権限を強化して、
販売数量を制限する裁量権を与える。
オンラインでは第三者が転売して、
高売りすることなどを許さない態勢をとる。
⑶国内最大の雇用主として、
従業員の健康対策を講じる。
⑷Walmart.comやピックアップなど、
ウォルマートの便利性を強調する。
考えてみると、
パンデミック以上に、
金融危機などは、
人間が起こした「人災」だ。
その人災に立ち向かうためには、
「リスクマネジメント」とともに、
迅速性と実行力が求められる。
〈結城義晴〉