糸井重里の「一世一代のカード」と井上誠一のゴルフの精神
糸井重里「今日のダーリン」
「一世一代」を考察する。
「一世一代の大勝負とか、
一世一代の大一番とか、
とにかく、”一世一代”というのは、
すごいものです」
糸井さんは問いかける。
「さて、皆さま、アンド俺よ、
“一世一代のなにやら”を
経験したことがありますか?」
ちょっとドキッとした。
「とんちみたいなことは、だめよ」
「若いときから、そのときそのときには、
並々ならぬ決意だとか、
生きるか死ぬかの賭けだとか、
思っていたような気もする…けれど、
それが意識的に
“一世一代”の勝負だったかと言えば、
そうじゃなかったような気もする」
納得。
「負けても逃げ場があったり、
断られても別の考えようがあったり、
すかっと空振りしても、
次の打席があったりね。
あんがい、命まではとられないで
生きてきたわけです」
そうですね。
「”喉元過ぎれば熱さを忘れる”というから、
そのときどきには
熱かったのかもしれないけれど、
まだまだ余裕が残っていた
とも言えるんですよね」
「皆さまのほうは、
年齢も性別もいろいろだから、
なんとも言えませんが、
ぼく自身は、
多少の元気もあるにしても、
生物としてね、
この先50年生きるということは
ちょっと考えられない」
これは糸井重里の述懐。
「だとしたら、と思うわけ。
“一世一代”というカードを
切らないまま死ぬのか?」
糸井さんは結構、そのカードを、
切ってきたと思うけどなあ。
私の「一世一代」は、
あの時だろうかとも思うが、
それは自分から仕掛けた勝負ではなかった。
そのあと、
「一世一代」の勝負に出たから、
今がある。
「身の丈に合わせたことばかりでなく、
その身の丈なりに、
跳躍はできるんじゃないのか」
「そんなことを、
こんな鬱陶しい時期にこそ
考えるのです」
そうそう、新型コロナに侵される今、
「一世一代」のカードを切る。
必要だと思う。
「”夢に手足を”の、
手足はもちろん動かしますが、
夢のほうも遠慮せずに
“一世一代”で行こうよ、と」
「しかも
“やさしく、つよく、おもしろく”
のままでね」
賛成だ。
「笑われたりバカにされたり、
もっとしようと思うんだよね」
同感。
さて、三連休は、
栃木県那須烏山(からすやま)市、
中津武氏邸。
農家を買い取って、改築した。
自宅は世田谷にあるから、
別荘のようなもの。
裏庭にはこの施設。
30ヤードのアプローチグリーン。
逆目の芝も張ってある。
バンカーもつくった。
グリーンにはカップが2つ。
人工芝。
古民家の1階には、
ゴルフ・シミュレーションシステム。
㈱True Dataの取締役が4人参集して、
ゴルフ合宿。
シミュレーションで、
ゴルフスウィングをチェック。
庭のグリーンで、
アプローチやバンカーショットを、
丹念に練習。
それから風呂に入って、
夜はバーベキュー。
この家の主が肉や野菜を焼いてくれた。
バーベキューを楽しんで、
世界の情勢、コロナウィルスのこと、
日本の経済や流通業界のことなど、
ディスカッション。
夜は早くから寝て、
たっぷりと休養を取る。
朝食はこれも主の手料理。
そして中津邸から車で5分のゴルフコース。
烏山城カントリークラブ。
名匠・井上誠一が手掛けた27ホール。
井上誠一さんは、
1908年(明治41年)~1981年(昭和56年)。
日本随一のゴルフコース設計家。
チャールズ・ヒュー・アリソンに影響を受けた。
アリソンはイギリスの名設計家で、
川奈ホテルゴルフコースを手掛けた。
井上さんは、
その土地の自然を活かした設計が特徴。
有名な言葉。
「自然の声に耳をかたむける」
ミスショットをしたら、
必ず罰が与えられるし、
ナイスショットには、
的確に報いてくれる。
東京オリンピックの会場となる、
霞ヶ関カンツリー倶楽部。
武蔵カントリークラブ。
東京ではよみうりゴルフ倶楽部、
神奈川では戸塚カントリー倶楽部、
湘南カントリークラブ、
川崎国際カントリー倶楽部。
千葉では浜野ゴルフクラブ、
鶴舞カントリー倶楽部、
鷹之台カンツリー倶楽部。
茨城では大洗ゴルフ倶楽部、
龍ケ崎カントリー倶楽部。
名門ばかり。
静岡の葛城ゴルフ倶楽部、
愛知の春日井カントリークラブ、
大阪の茨木カンツリー倶楽部、
兵庫の西宮カントリー倶楽部。
九州では佐賀カントリー倶楽部、
くまもと阿蘇カントリークラブ、
いぶすきゴルフクラブ開聞コース。
そして栃木の烏山城カントリークラブ。
来年の9月30日から10月3日まで、
日本女子オープンゴルフ選手権が開催される。
True Data取締役CSOの中津武さん(左)、
㈱プラネット会長の玉生弘昌さん、
True Data取締役の川崎清さん。
玉生さんと私は、
True Data社外取締役。
ゴルフの世界にも、
一世一代の勝負はあるだろう。
しかしショットに関しては、
絶対に「一世一代」を狙ってはいけない。
井上誠一はそんなプレーを、
決して許さない。
〈結城義晴〉