結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年03月28日(土曜日)

新型コロナのPCR検査と「由らしむべし・知らしむべからず」

新型コロナウイルス感染者。
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東京都は土曜日の今日、
新たに63人を確認。
1日あたりとしてはこれまでで最多。
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不気味な感染者の増加だ。
都内の感染者は300人を超えた。小池030300

ニューヨーク州の感染者は、
28日午後の段階で約5万2000人、
死者は728人。
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東京はまだまだ少ない。

日本全体では、
感染者1680人、死者55人。
アメリカは、
感染者約12万人、死者1989人。

甘く見ていた「つけ」がでている。

安倍晋三首相が記者会見し、
質問に答えた。
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コロナ感染の有無を調べるのが、
「PCR検査」
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安倍首相は会見の中で、
国内の実施は「確かに少ない」と認めた。

PCRは「Polymerase Chain Reaction」、
(ポリメラーゼ連鎖反応)。

PCR法はDNA配列上の特定の領域を、
耐熱性DNAポリメラーゼを用いて、
増幅させる方法。

これによって、
未知のDNA断片の分子量が推定できる。

その未知の分子量の推定によって、
「陽性」「陰性」を判定する。

食品の検査でも使われる。
たとえば遺伝子組換え食品混入の検査、
アレルギー物質を含む食品の検査、
ノロウイルス検査など。

新型コロナウィルスの検査も、
PCR法によって行われる。

日本ではPCR検査数が少ないために、
感染者数も死者数もデータが少なく出る、
との見方がある。

安倍首相は否定した。
「果たして日本は
それを隠しているのかという
議論がありますよね。
これは私は違うと思います」

「肺炎で死去した人で
新型コロナの感染が疑われる場合は、
その後にPCR検査を実施している」

それでも日本はドイツなどに比べると、
圧倒的にPCR検査の数が少ない。

PCR検査数が少なくとも、
死者数データは変わらないかもしれない。

しかし感染者の判定は、
検査数と関係する。

ドイツ政府の発表では、
1週間に約50万件のPCR検査を行っている。
ドイツの死者は周辺国より大幅に少ない。

膨大な検査で感染者を早期に特定する。
この考え方が抑制につながっている。

ドイツの感染者は3万7000人を超す。
しかし死者は約200人にとどまる。

ドイツの感染者の死亡率は0.54%。
一方、スペインは7.3%。

さらにドイツには、
重症者の治療に使われる、
人工呼吸器を備えた集中治療用病床が、
約2万5000床、用意されている。

安倍首相会見でもうひとつ重要なこと。
「アビガン」
〈富士フイルム富山化学㈱資料より〉
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新型インフルエンザ治療薬「アビガン」が、
新型コロナ感染患者に臨床研究として、
使われ始めている。

このアビガンの「薬事承認」を目指す。

安倍首相。
「正式に承認するに当たって、
必要となる治験プロセスも開始する考えだ」

これは良い。
希望が持てる。

アビガンは、
新型インフルエンザ治療薬として、
備蓄されている。

中国では報告されている。
アビガンにおいて、
新型コロナの治療効果が確認された。

ただし、アビガンは、
妊婦が服用すると、
胎児に副作用が出るおそれがあると、
指摘されている。

新型インフルエンザ薬としても、
従来の治療薬では効果がない場合、
あるいは不十分なときに限って、
使用は認められる。

ただし、新型コロナは、
高齢者が死に至るケースが多い。
「胎児の副作用」は問題がない。

首相はもうひとつ、
膵炎(すいえん)の治療薬「フサン」も、
観察研究する考え方を表明した。

これもいい。

直接的な経済対策も大切だ。
しかし新型コロナの抑制と、
治療薬とワクチンの開発こそ、
最大の経済対策である。

それを国民に告知して、
みんなで希望をもつことこそ、
いま、重要だと思う。

「論語」の「泰伯編」にある。
「民は之(これ)に由(よ)らしむ可(べ)し、
之を知らしむ可からず」
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「民」は人民、国民、人々、
「之」は「法律」「規範」など、
「由る」は「従う」「頼る」を意味する。
「可し」はここでは「可能」であること。

その意味するところは、
「為政者が定めた法律によって、
人民を従わせることはできるが、
その法律の道理を、
理解させるのは難しい」

一方、
「人民は従わせておけばよいもので、
その道理を理解させる必要はない」
と考えるのは間違いだ。

さらに、
「従わせよ、知らせるな」
孔子を生み出した中国が、
今、これだ。

この考えを経営に適用すると、
また誤る。

さらに商売や顧客に使うと、
さらにさらに誤る。

以て自戒とすべし。

〈結城義晴〉


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