[日曜漫歩]コロナ禍の「花と雪」
私は無神論者だったと思う。
しかし今日は、
創造者を意識した。
旧約聖書の創世記が記す。
神は、一日目に、
天と地をつくった。
闇の中に光を生み出して、
昼と夜を分けた。
神は、二日目に
空をつくり、
三日目に海と地をつくって、
地に植物を茂らせた。
神は、四日目に、
太陽と月と星をつくり、
五日目に、魚と鳥をつくった。
六日目には、動物をつくり、
この日、神は自分に似せて、
男と女を創造した。
アダムとイブと名づけた。
そして七日目に神は、休んだ。
だから日曜日は安息の日となった。
その2020年3月最後の日曜日。
横浜にひどく遅い雪が降った。
青葉区の石原靖曠邸の庭にも。
川崎市中原区の家々の屋根にも。
東京・品川のベイサイドにも。
ベランダにも。
白い雪が植木鉢を覆った。
そして内庭にも。
3月末の雪は32年ぶり。
黒岩祐治神奈川県知事は、
新型コロナ感染者の急増を受けて、
週末の不要不急の外出自粛を呼びかけた。
小池百合子東京都知事も、
安倍晋三首相も。
その意を察したかのように、
全県民、全都民、全国民に、
行動の自粛を戒める如く、
創造主が日本の首都圏に雪を降らせた。
今日の安息日に、
全国で新たに167人の感染が確認された。
日本の感染者総数は2608人となった。
東京都は1日あたりの感染確認数68人。
最多記録を更新した。
「オーバーシュート」は、
爆発的に感染者が増える状態。
日本にもそれが近づきつつあるのか。
感染者の死亡は、
東京都内で90代男性が亡くなって、
合計66人となった。
日本時間29日午後5時現在で、
世界の死者数は3万857人に上った。
3月20日に1万人、26日に2万人を超え、
顕著な急増現象を示す。
最も死者が多いのはイタリアの1万23人、
スペインの5982人。
感染者が最多のアメリカでは、
12万4686人が陽性反応を示し、
死者は2000人を超えた。
この新型コロナウイルスの感染者は、
177の国と地域に広がって、
累計で66万人を超えた。
世界の創造者が存在すると仮定すると、
彼はいま人間に何を求めているのだろう。
金ばかり追い求める行為を、
諫(いさ)めているのか。
争いに明け暮れる習性を、
咎(とが)めているのか。
憎しみ合う心を、
嘆いているのか。
今日の雪はそれらを清めてくれる。
満開の桜の花に、
雪が降りかかる。
冬の雪と春の花。
それが融合する景色と同じように、
人間たちに真の和合を求めている。
神は安息の日に、
私たちに雪と花を贈った。
神は六日目に、
自分に似せて男と女を創造し、
アダムとイブと名づけた。
そして七日目に休息した。
人間の混沌を見つめつつ、
雪と花を愛でながら、
安息の日を静かに過ごしたに違いない。
〈結城義晴〉