ソーシャルディスタンシングと「利他性・ナッジ手法」
Everybody! Good Monday!
[2020vol⑭]
2020年第15週。
4月第2週。
安倍晋三首相が明日7日、
緊急事態宣言を発令する。
対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、
そして大阪、兵庫、福岡の7都府県。
期間は1カ月程度、
つまりゴールデンウィーク明けまで。
呑気な気分でいてはいけない。
具体的な措置は、
都道府県知事が決める。
ただし日本の法律では、
「ロックダウン(都市封鎖)」はできない。
鉄道や道路、港湾などの強制的な封鎖や、
外出禁止の強制などはされない。
JRや私鉄、地下鉄のダイヤなどは、
通常通り運行される。
スーパーマーケットとコンビニ、
ドラッグストアなどは、
ライフラインとして、
通常通り営業される。
この機に乗じて高売りをする店など、
出てこないことを願うものだ。
いつも通りの営業を続ける。
そしてソーシャルディスタンシング。
このブログで何度も報告してきた。
「social distancing」
直訳すれば「社会的な距離」。
感染予防のために、
他者との物理的な距離を空けること。
世界保健機関(WHO)は勧告している。
「Maintain at least 1 metre (3 feet) distance between yourself and anyone who is coughing or sneezing」
「咳やくしゃみをしている人との間で
少なくとも1m(3フィート)の距離を保つ」
アメリカでは6フィート(約1.8m)、
イギリスは2m。
国が目安を示している。
日本ではsocial distancingの目安はない。
しかし、この距離を保ったうえで、
消毒を頻繁に行う。
個々の企業や店舗で検討する必要がある。
手洗い、うがい、マスク、
不要不急の外出は控える。
密閉・密集・密接の「三密」を避ける。
そしてsocial distancing。
これを徹底すれば、
絶対に感染しない、感染させないと、
自信をもつこと。
日経新聞「オピニオン欄・核心」。
西條都夫上級論説委員執筆。
「社会の免疫力高めよう」
コロナウイルスの目に見えない脅威に
どう対処するか。
究極の解決策は治療薬やワクチンの開発。
これはずっと言われていることだ。
もう一つが、
「感染症への耐性の強い社会をつくる」
きわめて抽象的な表現だが、
「耐性の強い社会」。
西條さん。
「そのために鍵を握るのは、
国民一人ひとりの行動変容である」
どう変容させる必要があるのか。
「頭では”危険””やめたほうがいい”と
分かっていることを往々にして
人はやってしまう」
背景にあるのは根拠のない思い込み。
これを社会心理学では、
「正常性バイアス」という。
「自分に都合の悪い情報を
過小に評価する認識のゆがみ」
このバイアスは、
ときに大きな悲劇を生む。
そこで大竹文雄大阪大学教授が登場する。
行動経済学が専門。
政府の新型コロナ専門家会議臨時メンバー。
調査研究の結果、
行動変容を促すキーワードは、
「利他性」であることを突き止めた。
自分だけでなく、
他人のためにもなるという
“利他性”を軸にしたメッセージのほうが
はるかに効き目があったのだ。
大竹教授の見解。
「ちょっとした気づきを与えて
人の行動を変える”ナッジ”の手法が
ウイルスの感染防止にも有効だ」
「ナッジ」(nudge)は、
「肘(ひじ)で軽く突っつく」こと。
行動経済学や行動科学分野において、
人々が強制によってではなく
自発的に望ましい行動を選択するよう
促す仕掛けや手法を示す。
西條さんは書く。
「とりわけ感染しても
症状が軽微ですむことの多い若者に
“あなたが『3密』状態を避けることが、
周囲の人の命を助けます”
というメッセージをSNS経由などで
届ける意味は大きい」
大竹教授。
「人のことをあまり考えてない人にこそ、
この種の呼びかけはインパクトがある。
普段から他人を気遣っている人は
はじめから利他的に行動する」
都会の若者の行動変容につながる洞察だ。
「利他性」と「ナッジ」の手法。
すぐれた指摘だ。
これは個人でも、
店や会社でも、
取り入れることができる。
商人舎に届けられた季刊誌。
「明治マーケティングレビュー」
私の連載は第47回。
「小売業のスーパーマーケティング」
今回のタイトルは、
「安い=良い」のマーケティング。
私の今週のスケジュールは、
すべてがキャンセルとなった。
ふつうに生活し、
深くものを考える1週間としよう。
では、みなさん、
今週も「利他と無私」。
そしてナッジを。
Good Monday!
〈結城義晴〉