スーパーピンクムーンとクオモ知事と「コロナ軍との戦い方」
2020年最大のスーパームーン。
月が地球に近づいている。
だから1年でもっとも、
大きくて明るい。
しかも4月の満月は、
アメリカの農業暦では、
「ピンクムーン」という。
ツルハナシノブの開花の時期の満月。
ピンク色の花をつけるから、
ピンクムーン。
このピンクムーンは、
幸せをもたらしてくれる。
今日、安倍晋三首相が、
緊急事態宣言。
国民が一丸となって、
新型コロナに取り組まねばならない。
対象とされたのは7都府県。
東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏と、
大阪・兵庫の関西圏、そして福岡。
期間は、
明日4月8日午前0時から、
5月6日まで。
この宣言を受けて、
7都府県の知事は、
外出自粛・営業休止などを、
都府県民や企業に要請する。
「ほぼ日」の糸井重里さん。
今日のダーリンで、
コロナとの戦い方のあらすじを書いた。
「もともと、ほんとうは
人類の60%にまで感染させて、
そこまでは戦いをやめないという
とんでもない敵だった」
「こういう戦いで、
敵側のコロナウイルス軍だったら、
人類軍に、
なにをされたらいちばん困るか、
それを考えて、
専門家の方々は
メッセージを出している」
「コロナ軍は、
人間に乗っかることでしか繁殖できない。
ひとりひとりの人間は、
敵であり獲物であり乗り物だ」
「結局、コロナのやつらは、
人間に頼りっきりなのである」
「人間の身体が活発に動けば動くほど、
人間の身体が集まれば集まるほど、
そして、
人間が身体的に交流すればするほど、
コロナの戦いは易易と
勝利していくというわけだ」
「ぼくらが止まれば、
ウイルスは止まる」
「そういう単純な法則で、
今日からを過ごすことにしよう」
「そして、コロナ軍は
ぼくらの心や頭には入り込めないのだ!」
避けるべき基本は三密。
密閉空間、
密集場所、
密接場面。
そのための緊急事態宣言。
手洗いを励行する。
正しい手洗いの手順。
消毒もする。
そして咳エチケット。
四の五の言う前に、
自分の責任を果たそう。
そうは思うが、しかしそれでも、
日経新聞巻頭コラム。
「春秋」
この新聞にしては珍しく辛口。
「ちぐはぐ」の語源は、
「鎮具破具」
俗説ではあるが。
「鎮具(ちぐ)は金づち、
破具(はぐ)はクギ抜き。
この2つをあべこべに使うような仕事を
“ちぐはぐ”と呼ぶようになった……」
「1月下旬から始まったコロナ危機は、
政府も世間も、道具の使い分けを
間違えてばかりだった」
金づちとクギ抜きの使い方を間違えたら、
大工仕事はまともにならない。
具体的に列挙する。
「ごく当初は、
人から人への感染は起きない
と高をくくっていた。
中国で災禍が広がったあとも
往来は続いた」
これが根本的な判断ミスだ。
「それが2月の末には、
唐突に全国一律休校へと急転換。
3月は自粛と緩みが交錯して過ぎ、
ついに緊急事態宣言が出る」
「くだんの”布マスク2枚”の
がっかり感といったらない。
かの”30万円給付”も、
大きな数字が目を引くわりには
中身がややこしい」
同感だ。
コラムは警告する。
「国や自治体は、
道具の使い方を誤るなかれ」
アメリカやイギリスにも学ぶ。
イタリアやスペインの失敗にも、
ドイツや台湾の一応の成果にも、
学び続ける。
「わたしたちも心を平静に保ちたい」
その通り。
日本の感染数や死者数が少ないとすると、
総体的に見れば日本国民の成果だ。
コロナは例外なく科学的にやって来る。
われわれも科学的・合理的・論理的に闘う。
「誰かが誰かを
非難するなら、
私を非難せよ。
他に責任のある者はいない」
ニューヨーク州アンドリュー・クオモ知事。
ロックダウン(都市封鎖)のときの発言。
毎日午前中に「Daily briefing」をする。
新型コロナウィルスについて、
最新の情報を語り、
州民への具体的な要請をする。
その鮮明なメッセージによって、
圧倒的な支持を得ている。
「卓越したコミュニケーション力で、
州民のみならず全米の信頼を集めている」
毎日新聞「余禄」が評価する。
今日の安倍首相の会見と質疑を、
初めから終わりまで丁寧に見た。
話し方、受け答えでわかる。
クオモ知事とは、
残念ながら、違う。
内容が乏しい。
言い訳が多い。
訴えるものがない。
質問にまともに答えない。
生中継は、
人物を浮き彫りにする。
しかしそれも現実であるし、
結局は私たちが選んだ総理だ。
すぐに替えることもできない。
こんなことでがっかりしては、
コロナ軍には勝てない。
都府県知事たちに頑張ってもらおう。
この構図はアメリカと同じだ。
「ぼくらが止まれば、
ウイルスは止まる」
私はそう考えて、
自分のやるべきことに、
専念し、邁進することにした。
スーパーピンクムーンが、
幸せをもたらしてくれるに違いない。
〈結城義晴〉