結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年05月08日(金曜日)

「鍛えればすなわち衰えず」と”今だけ・ここだけ・自分だけ”症候群

「されど、死ぬのはいつも他人ばかり」
D’ailleurs, c’est toujours les autres qui meurent.

マルセル・デュシャンの墓碑の言葉。
〈artblogより〉
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デュシャンはフランスの画家・美術家。
印象派に影響を受けて油絵を描き、
その後、キュビズムから現代アートへ。

20世紀の美術界に決定的な影響を与えた。
「20世紀美術は、
デュシャンなしでは語れない」

「死ぬのはいつも他人ばかり」は、
寺山修司が好んで使った。
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古代ギリシャの哲学者。
エピクロス。
「あなたが
死をおそれるときは
死はまだきていない。
死がほんとうにきたとき
あなたは
そこにいない。
だから死は、
おそれるにあたらない」

ブレーズ・パスカル。
「死というものは、
そのことを考えずに、
突然それを受けるほうが
耐えやすいものである。
これに比べて、
死について考えることは、
たとえ
死の危険がなかったとしても

はるかに耐えがたいものである」
〈『パンセ』断章一六六〉

岡本行夫さんが亡くなった。
COVID-19に感染していた。
74歳だった。
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元首相補佐官。
それも橋本龍太郎、小泉純一郎、
二人の名首相を支えた。

ご冥福を祈りたい。

若くして鍛えれば、
すなわち
壮にして為すあり。

壮にして鍛えれば、
すなわち
老いて衰えず。

老にして鍛えれば、
すなわち
死して安らかなり。

江戸の儒学者・佐藤一斉をモジった。
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コロナ禍中は、
体を鍛えるときでもあるし、
それが免疫力を養うことになる。

さて、日経新聞経済コラム「大機小機」
「刹那的症候群」の危うさ
コラムニストは自律さん。

「新型コロナウイルスに
世界が苦悩している」

「このウイルスの恐ろしいところは、
無症状でも感染力が強いこと、
重症化すると短期間に
死に至るケースもあることだ」

岡本さんもそれだったし、
志村けんさん、岡江久美子さんも、
そうだった。

「感染すると隔離を余儀なくされ、
誰とも会うことはできない。
現状ではワクチンが存在せず、
既存の薬や点滴、
人工呼吸器が活用されるが、
究極的には自らの免疫力に
依存せざるを得ないという厳しさだ」

ここでコラムニストの指摘。
「死への恐怖感から、
今良ければいい、
ここだけ良ければいい、
自分さえ良ければいい、
という意識が多くの人たちに
芽生えつつあるとも伝えられる」

「今だけ・ここだけ・自分だけ」症候群。

2月17日のこのブログに書いた。
新型コロナウィルスに
「今日もお仕事
おまんまうまいよ」

中世のヨーロッパ。
ペストの大流行で何千万人も死んだ。

当時の閉塞感の中で、
人間たちに3つの心理的傾向が出た。

第1が刹那的な欲望の追求や浪費に走る。
第2に懺悔して神仏に頼る。
第3に犯人を仕立て上げて迫害する。

「今だけ・ここだけ・自分だけ」症候群は、
刹那的な欲望の追求や浪費である。

コラムニスト。
「感染症の脅威は経済問題に直結する」
国際通貨基金(IMF)の専務理事。
ゲオルギエバさんが警鐘を鳴らす。
「90年前の大恐慌以来の大不況に陥る」

日本についてもコメントしている。
「歴史的なマイナス成長に陥る」

しかし、「皮肉なことに
コロナ発生源の中国は例外で、
マイナス成長は回避できるとの見立て」
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「そもそも今回の感染症拡散は
中国・武漢から始まった。
世界の人々を死の恐怖に陥れ、
大恐慌以来の経済不況を
引き起こしつつあるだけに、
中国政府の初動が情報開示を含め
適切だったのかどうか
検証されてしかるべきだろう」

同感だ。

翻って大国のもう一方の極、
アメリカ合衆国。
「トランプ大統領からは
アメリカファーストの理念のもと、
感染症に関しては、
米疾病対策センター(CDC)の存在もあり、
強気の発言が繰り返されていた」
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「しかし現実には、
世界最大の感染者数に見舞われ、
極端な格差社会を背景に
多くの弱者が命を落としている」

そこでコラムの結論。
「中国も米国も、
“今だけ、ここだけ、自分だけ”という
謙虚さを欠いた視野の狭い
政権運営になってはいないか」

同感だ。

「コロナを契機とした
人々の刹那的症候群は、
実は米国、中国という
二大国家の反映とも考えられる」

うなずける。

ただしこれは二大国家を、
「犯人に仕立て上げる」言説ではないし、
世界が米中を迫害できるわけでもない。

私たち自身が、
「今だけ、ここだけ、自分だけ」に、
陥ってはならない。

〈結城義晴〉


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