「可処分時間・時間経済」と「幸せの”時間管理”」
アメリカのCOVID-19感染者数。
完全に第二波を迎えている。
ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、
25日(木曜日)の1日で、
過去最多の約4万人が新規感染。
全米50州のうち、
カリフォルニア州やフロリダ州など、
29州で感染が拡大している。
重要なことだが、
「経済再開を急いだ州で拡大が目立つ」
日経新聞の野村優子さんが、
ニューヨークから報告している。
米国疾病対策センターのレッドフィールド所長。
「米国は新型コロナ感染者の
10%しかカウントしていない」
テキサス州のグレッグ・アボット知事は、
「経済再開の計画を一旦停止する」と発表。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、
「我々は依然として、
パンデミックの第1の波にいる」
ドナルド・トランプの集会など見ていても、
誰ひとりマスクをしていない。
甘~い。
一方、日本国内の感染者は、
午後9時時点で新たに92人。
死者は1人。
アメリカと比べると、
沈静化しているかに見えるが、
まだまだ油断はできない。
全国の感染者数は累計1万8471人、
死者は計972人。
東京都は57人、神奈川県は4人。
大阪府は2人。
東京は5月の緊急事態宣言とその解除、
そして東京アラートとその解除と、
営業自粛のステップ2から3へと、
都民を揺らしてきた。
人々の心が揺れてはいけない。
揺らしてはいけない。
さて日経新聞の「Deep Insight」
「時間経済」は商機か受難か
中山淳史コメンテーターが書く。
パーソル総合研究所が、
6月2日までの5日間に、
就業者2万人に調査。
在宅勤務の実施率は全国で約26%、
しかし継続希望者はそのうち、
7割近くにも達した。
そこでコメンテーター。
可処分所得ならぬ、
“可処分時間”
情報技術が発達し、
何時間もかかってやってきた煩雑な仕事を
コンピューターが代替する。
時間は絞り出され、
自由に使えるようになった。
月刊商人舎 2019年2月号特集は、
幸せの「時間管理」
タイムマネジメントとMHコントロール
コロナ禍がそれをさらに顕著にした。
コメンテーターは移動の時間を推計する。
総務省の調査。
就業者の往復の通勤時間は
全国平均で1日約60分、
首都圏では90分。
会社に着いたあとも、
交通機関で移動する。
例えばタクシーの利用は、
首都圏は1人当たり平均30分前後。
これに会議など社内での移動時間がある。
すべて総計すると、
他の仕事に回せるようになる移動時間は、
2~3時間に上る可能性がある。
チェーンストアの本部スタッフやバイヤーも、
移動時間をどう活用するか。
さらにインターネットでのデータ交換で、
飛躍的に時間が節約された。
米アカマイ・テクノロジーズによると、
「日本国内の4月のデータ通信量は
前年同月に比べて58%増えた」
コロナがそれを助長した。
「地殻変動のけん引役は”時間”だ」
「長さや用途で多様な時間が生まれた」
つまり「細切れ時間」が生まれた。
そこで新産業が誕生する。
主役に躍り出た企業は、
Zoomのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ。
さらにマイクロソフト、
ネットフリックス、
ウーバーテクノロジーズ、
アマゾン。
「時間経済」あるいは、
「時間資本主義」などと、
勝手に名づけられているが、
つまりは「細切れ時間」に、
1時間単位の「かたまり時間」も加わる。
ピーター・ドラッカーは言っている。
「時間をまとめよ。
かたまりにせよ」
それが可能となる。
ただしコメンテーター。
「時間経済がもたらすのは
福音だけではないかもしれない」
「便利な技術は今後も進歩し、
可処分時間が増える。
だが、その時間は
人間をより忙しくする可能性もある」
その通り。
それが、
「コロナは時間を早める」正体だ。
ここでコメンテーター。
「エクセルを思い出そう」。
計算業務は簡略化され、
可処分時間も増えたが、
人は計算から解放された一方で、
今まで問われることのなかった能力を
別の場所で発揮するよう、
求められることになった。
社会学者リチャード・フロリダ。
「ホワイトカラーは陳腐化し、
“クリエイティブ・クラス”という
新知的労働者層が台頭する時代が来た」
ここでいう「クリエイティブ」とは、
「機械や陳腐化に負けない能力」という意味だ。
「増える可処分時間を使って
人は創造性をどう高めるか。
それが見えないと、
仕事をどんどんのみ込む情報技術革新の荒波を
生き残るのは難しい」
だからこそますます必須となるのは、
「タイムマネジメント」と、
「マンアワーコントロール」である。
「幸せの”時間管理”」である。
最後に[Message of February]
時間よ、止まれ!
“Time is money”
〈アメリカ建国の父/ベンジャミン・フランクリン〉
「賢い人間は
時間を無駄にすることに
最も腹が立つ」
〈イタリアの詩人・哲学者/ダンテ・アリギエーリ〉
しかし、こんな言葉もある。
「珠玉の時間を無為に過ごさないようにと、
注意を受けたことがあるだろう。
そうなのだが、
無為に過ごすからこそ
珠玉の時間となるときもある」
〈イギリスの劇作家/ジェームス・マシュー・バリー〉
時間はなぜか二面性を持つ。
それが時間の特徴だ。
「労働は適時にはじめること。
享楽は適時に切り上げること」
〈ドイツの詩人/エマヌエル・ガイベル〉
「一番多忙な人間が、
一番多くの時間をもつ」
〈スイスの神学者/アレクサンドル・ビネ〉
これは真理だ。
私たちは誰もが、
「時間」の中で働き、学ぶ。
「時間」の中で休み、眠る。
「時間」で生きて、
「時間」で死ぬ。
「幻でかまわない
時間よ とまれ
生命のめまいの中で」
〈作詞家/山川啓介・作曲家/矢沢永吉〉
時間とは一生、付き合わねばならない。
その時間が止まった瞬間、
死が待っている。
だからこそ時間との向き合い方に、
ある種の決着をつけておきたい。
自分なりの羅針盤を携えておきたい。
仕事の時にもプライベートの時にも、
時間に対するマネジメント哲学をもって、
生きていきたい。
〈結城義晴〉