米Speedway買収/セブン&アイの「もったいない」と水際の勇気」
Everybody! Good Monday!
[2020vol㉛]
2020年第32週。
8月第2週。
梅雨が明けて、
カーッとした日差し。
そのなかに蝉の声が響く。
夏らしい季節がやってきた。
横浜ランドマークタワー。
梅雨明けして、
蜃気楼かと思うほど近くなった。
横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。
木々の緑が深くなった。
今日も商人舎8月号の原稿執筆と入稿。
夏なのでアロハで失礼します。
新型コロナウイルス感染が始まってから、
験(げん)を担いで髭を生やしている。
早く、ウイルス感染が収まりますように。
COVID-19と危うい共生をするにしても、
ワクチンや治療薬が間に合いますように。
今週は本来ならば、
東京オリンピックの真っ最中だった。
そして私は海外を、
飛び回っているはずだった。
海外と言えば、
セブン&アイが、
米国「スピードウェイ」を
買収することになった。
来年の3月までに買収は完了する。
石油精製会社マラソン・ペトロリアム。
この日本で言う石油元売り会社が、
ガソリンスタンド併設型コンビニを展開。
全米第3位の約3800店。
買収額は210億ドル。
1ドル100円換算ならば2.1兆円、
現在レートならば2兆2280億円。
この案件に関しては、
今年の2月と3月に、
このブログで話題にした。
横浜港に豪華客船が停泊していた。
ダイヤモンド・プリンセス号。
まず2月20日版で書いた。
「消費税の呪縛」とセブン&アイの「スピードウェイ買収」
米国セブン-イレブンインクが、
この時点で220億ドルを投資して、
スピードウェイを買収するという話。
私はピーター・ドラッカーを引用して、
高く評価した。
「経済活動とは、
現在の資源を未来に、
すなわち不確実な期待に
賭けることである」
「経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」
「消費増税の翌年、
東京オリンピックの年に、
米国で2兆円を超える投資をした。
その勇気は記憶に留められるだろう」。
しかし、それは断念された。
そこで3月5日版でまた書いた。
セブン&アイの[米国コンビニ買収断念]を考察する
アメリカのコンビニランキング。
第1位がセブン-イレブン・インク。
セブン&アイ傘下の9802店。
第2位アリメンテーション・カウチタード。
カナダ資本で約6000店。
そして第3位スピードウェイが約3900店。
このトップ3の構図は米国小売業では、
よくあるパターンだ。
トップ3は明確なものの、
約8割がローカルチェーンや個人経営だ。
寡占化は進んでいない。
人口も増えているので、
コンビニ市場は成長を続けている。
M&Aも加速している。
米国セブン-イレブンも、
2018年1月に、スノコLPから、
約3500億円で1030店を買収した。
今回の1位による3位の買収で、
約1万4000店になるところだった。
もったいない。
理由は買収額の高さ。
約220億ドル。
100円換算ならば2兆2000億円。
現在のレートの1ドル106円ならば、
2兆3320億円。
米国コンビニ業界は、
これから寡占化に向かう。
もったいない買収案件だった。
もしかしたら、
アリメンテーション・カウチタードが、
スピードウェイを買うかもしれない。
「経営陣の勇気が問われたが、
残念ながらそれが欠けていた」
「ああ、もったいない」
私は3回も「もったいない」といいつつ、
このブログを終わらせた。
しかし米国セブン-イレブンCEOが奮闘。
ジョセフ・デピントCEO。
そして再び買収にこぎつけた。
セブン&アイ井阪隆一社長。
「コンビニを軸とした
グローバルリテーラーの一歩を
踏み出す歴史的な節目だ」
その通り。
コロナ禍の今、
セブン&アイホールディングスには、
この勇気が必要だった。
戦略的には、
水際で踏みとどまった。
COVID-19パンデミックが、
その勇気を引き出す一助となった。
私にはそう思えて仕方がない。
では、みなさん、今週も、
水際の勇気を。
Good Monday!
〈結城義晴〉