10月1日「中秋の名月」を愛でつつ酒税変更「ビール↓ワイン↑」
10月1日。
今日から変わるものがある。
酒税だ。
では、クイズ。
「酒類」とは税法上、どう定義されているか。
答えは、
「アルコール分が1%以上含まれる飲料」
日本のその酒類は、
酒税法によって4分類されている。
これも知っておかねばならない知識だ。
⑴発泡性酒類:ビール・発泡酒・その他の発泡性酒類
⑵醸造酒類:清酒・果実酒(ワインなど)・その他
⑶蒸留酒類:ウイスキー・ブランデー・スピリッツ
⑷混成酒類:合成清酒・みりん・甘味果実酒・リキュール・粉末酒・雑酒
⑴の発泡性酒類が新しいジャンルだ。
ビールは麦芽の使用量が50%以上の発泡酒類だ。
一番税率が高い。
発泡酒は麦芽比率が25~50%未満と、
25%未満のものとで税率が変わる。
その他の発泡性酒類では、
新ジャンル(第3のビール)は、
麦芽比率50%未満の発泡酒に、
スピリッツなどを加えた酒類。
または糖類・ホップ・水及び麦芽以外の原料を、
発酵させた酒類など。
チューハイやサワーも、
その他の発泡酒に含まれる。
ビール系飲料は簡単に言えば、
主原料の麦芽の配合比率に応じて、
税率が異なる。
ビール、発泡酒、新ジャンルの順に、
税率が高い。
国税庁は段階的にそれらを上げ下げして、
最後は統一する。
今日はその第1弾。
税収は平成6年(1994年)がピークだった。
2兆1200万円。
その後、下がり続けている。
1989年4月に消費税が導入された。
税率は3%だった。
さらに1994年11月に、
税制改革関連法が成立して、
消費税率4%、地方消費税1%となる。
施行は1997年4月。
この消費税導入と税率引き上げで、
相対的に酒税の負担が減った。
そこで1994年が酒税収入のピークとなった。
私はこのころ㈱商業界で、
食品商業編集長だった。
別冊号で「明日を切り開く酒販店」など、
毎年発刊していた。
だからこの酒税の問題は大テーマだった。
今回の酒税法改正は、
酒類の税収を確保する目的を持つ。
そして税率改定はゆるやかに、
3年ごとに3段階で実行される。
①2020年10月
②2023年10月
③2026年10月
また、増税になる種類もあれば、
減税になる種類もある。
国民の目を、
税率アップに集中させないための、
操作だと見ることもできる。
昨日まで3分類それぞれに、
課税される酒税は、
350ml当たりでビールが77円、
発泡酒が46.99円、
新ジャンルやチューハイなどは28円だった。
これが、3段階で変わる。
ビールは77円から、
①70円⇒②63.35円⇒③54.25円
発泡酒は46.99円から、
①46.99円⇒②46.99円⇒③54.25円
新ジャンルは28円から、
①37.8円⇒②46.99円⇒54.25円
かくて2026年には350mlあたり54.25円で、
ビール系飲料のすべての税率が一本化される。
また、チューハイやサワー、
低アルコールのリキュール類などは、
現在の28円から、
①28円⇒②28円と据え置かれて、
③35円と増税される。
もう一つの税率変更は②の醸造酒類。
つまり清酒やワインだ。
こちらは1kl当たりで、
清酒は下がり、ワイン(果実酒)は上がる。
そして2026年に統一される。
清酒は現在の1kl当たり12万円が、
①11万円⇒②10万円⇒③10万円
1kl10万円は350ml換算で35円。
ワインは現状の8万円が、
①9万円⇒②10万円⇒③10万円
清酒とワインの税率は2026年には、
チューハイなどと同レベルになり、
それはビール類の65%ほどになる。
つまりはシンプルでわかりやすくはなるが、
それでもその酒類の消費伸び率と相まって、
税収は増えていくことになる。
ビールに関しては、
メーカーの価格設定によって、
店頭価格が7円程度安くなる。
第3のビールの酒税は9.8円の増税で、
これらは高くなる。
しかしイオンはこれに対して、
PBの第三のビールの値上げをせず、
増税分を負担して価格を据え置く。
ついでに、
紙巻きたばこは、
1本あたり1円、増税される。
日本たばこ産業は1箱50円値上げする。
今日は商人舎web会議。
商人舎のwebサイトのための会議。
もちろんリモートミーティング。
猪股信吾さんが中心。
webコンサルタントで、
商人舎広告営業マネジャー。
月刊商人舎とwebサイトとの連携で、
ユニークなメディアを提供します。
夕方には高野保男さん、
来社。
レイバースケジューリングの第一人者。
元サミット㈱取締役。
全国の小売業トップにとっても、
貴重な相談役だ。
大阪・寝屋川の激闘なども、
今日の話題に上った。
ライフコーポレーション、平和堂、
万代とロピア。
そして関西スーパー。
さらに首都圏のヤオコー、サミット。
トップマネジメント層の厚さの問題、
その育て方や集め方。
また、ミドルマネジメント層の問題。
高野さんのものの見方や考え方は、
私にとっても、実に有益だ。
まったくブレることがない。
ありがとうございました。
今夜は中秋の名月。
〈撮影は商人舎編集スタッフの倉内綾子さん〉
アメリカの10月の満月は、
ハンターズムーン。
「Hunter’s Moon」つまり狩猟月。
地球が温暖化しようが、
地震や津波、台風が来ようが、
ペストやCOVID-19が流行ろうが、
トランプが居座ろうが、
バイデンが勝とうが、
月はびくともしない。
もちろん地球もびくともしない。
温暖化も人間にとって、
生態系にとっての問題であって、
地球自体にとっては、
痛くも痒くもない些細な問題なのだ。
そんな壮大な気分になって、
中秋の名月を愛でつつ、
さて、どの酒を飲もうか。
〈結城義晴〉