「大きな街の私だけの店」と第2四半期決算三者三様
今月の商人舎標語。
それは月刊商人舎の10月号の、
[Message of October]
大きな街の私だけの店
小さな島に、
たった一店。
その店がとてもよく考えて、
お客さまをよく知って、
いつもその要望に応えてくれたら、
それはとても幸せな島だ。
しかしその店がちょっと迷って、
お客さまの期待に背を向けて、
儲けしか見えなくなったら、
すぐに不幸な島となる。
小さな島の、
たった一店は、
とても、
責任が重い。
しかし大きな街の、
たくさんの店はどうしたらいいか。
どうすれば幸せなお客さまをつくれるか。
幸せな街になれるか。
大きな街のすべてのお客さまの心を、
小さな島のたった一店のように、
ぜんぶとらえようとしたら、
それはできるのか。いやそれはできない。
だから大きな街の、
お客さまをよく知る店は、
それぞれに私のお客さまを見つけて、
その私のお客さまを喜ばせる。
大きな街の、
私のお客さまのための、
たった一店になろうとする。
ほかにない一店であろうとする。
しかし大きな街の、
たくさんの店がみんな、
同じような商売をしたら、
それは幸せな街なのか。
そして大きな街の、
たくさんの店がみんな、
価格だけで競うとしたら、
それでお客さまは喜ぶのか。
これは小さな島の
たった一店が、
儲けしか考えないのと
同じだ。
かくて、大きな街で、
お客さまをよく知る店は、
私のお客さまを見つけて、
そのお客さまのための店になろうとする。
大きな街で、
小さな島の悪い一店になったら、
すぐにお客さまから見放されて、
消えてなくなる。
だから大きな街で、
私のお客さまのための、
たった一店でなければならない。
ほかにない一店でなければならない。
〈結城義晴〉
雑誌の責了が、
今日まで伸びてしまった。
しかも今日は、
5000字ほど書いた原稿が、
一瞬にして消えてしまった。
スタッフ総がかりで、
私のパソコンを探してくれたが、
見つからず。
これは気分が落ち込む。
しかし、そこで気を取り直して、
全部、はじめから書き直して、
何とか完成させた。
こんな時の心構え。
気持ちの奮い立たせ方。
書き直したら絶対に、
前よりもいい原稿が書ける。
そう信じることだ。
それしかない。
今日もそうして、
書き直した。
しかし紙の原稿用紙に、
万年筆で原稿を書いていた時代は、
こんなことはなかった。
アナログにもいいところがある。
それも忘れたくはない。
さて商人舎流通SuperNews。
上場各社の上期決算が発表されている。
イオンモールnews|
営業収益1261億円21.7%減・純損失109億円
第2四半期までの累計連結決算。
ショッピングセンター事業の3月~8月。
新型コロナウイルス感染に直撃されて、
営業収益は対前年同期比78.3%、
営業利益は40.3%、経常利益は35.7%。
純損失109億円。
それでも、
営業利益率9.3%、経常利益率7.1%。
高収益体質は変わらない。
一方、
サンエーnews|
営業収益1030億円2.8%増・経常利益2割減
沖縄のサンエーの上半期は、
営業収益1030億で2.8%増。
しかし営業利益は14.5%減、
経常利益は21.3%減。
6割を占める食品は好調だったが、
衣料品や外食が減収で減益となった。
総合スーパー業態や、
ショッピングセンターは、
この半年、苦戦した。
それでも営業利益率4.8%、
経常利益率5.0%。
よく踏ん張ったと評価できる。
さらに、
オークワnews|
営業収益1401億円・7.3%増/営業利益470%増
和歌山に本拠を置くオークワ。
上半期営業収益は1401億円で7.3%増。
営業利益はなんと470.4%増、
経常利益も385.4%増。
こちらはコロナ禍の巣ごもり特需。
営業利益率3.0%、
経常利益率3.1%。
水準に達してきた。
オークワは今、
何をやるか、何に投資するか。
余計なお世話だろうが、
この原資を前向きに使うべきだ。
イオンモールは減収・減益・純損失。
サンエーは増収・減益。
オークワは増収・増益。
三者三様だった。
COVID-19禍の緊急事態宣言などは、
業態ごとの成果に、
大きな格差を生んだ。
しかしコロナは商人を鍛える。
だからこそ、
私のお客さまのための、
たった一店でなければならない。
ほかにない一店でなければならない。
〈結城義晴〉