菅義偉首相の所信表明と「大阪有志の会」講演・「ロピア尼崎」開店
アメリカでは、
大統領選挙まで1週間。
エイミー・バレット最高裁判所判事が、
上院で承認された。
トランプ大統領ご指名の保守派と言われる。
しかし最高裁判事は、
誰が何と言おうと、
「ジャスティス」を貫くはずだ。
しかも司法と行政は、
互いに独立している。
モンテスキューの三権分立。
1787年のアメリカ合衆国憲法で実現したものだ。
世界的にこの近代化の哲学が薄れている。
日本では臨時国会。
菅義偉首相の所信表明がなされた。
「私が目指す社会像は、
“自助・共助・公助”
そして”絆”です」
ビジョンらしきものは、
この一行。
その説明は、
「自分でできることは、
まず、自分でやってみる」
「そして、家族、地域で
互いに助け合う」
「その上で、政府が
セーフティネットでお守りする」
「そうした国民から
信頼される政府を目指します」
「そのため、行政の縦割り、既得権益、
そして、悪しき前例主義を打破し、
規制改革を全力で進めます」
「”国民のために働く内閣”として
改革を実現し、新しい時代を、
つくり上げてまいります」
読売新聞社説。
「最低賃金引き上げや観光促進など
首相が関心を持つ施策が並んだが、
実現に向けた手順が
曖昧なものも少なくない」
「人口減少対策や社会保障制度改革には
踏み込まず、物足りなかった」
読売は具体的な政策提案に注文を出す。
朝日新聞社説。
「内政・外交全般にわたり、
ひととおりの言及はあるものの、
全体を貫く理念や社会像の提示は
十分とはいえない」
毎日新聞社説。
「首相は”自助・共助・公助”と”絆”を掲げた。
しかし、”そのために規制改革を進める”と
言われても、首相が目指す社会像と
どう結びつくのか分からない」
「社会像」を問題にした。
私は何でも経営に結び付ける。
だから菅首相のビジョンを、
会社に置き換えてみる。
「自分でできることは自分でやる」
「そして仲間で職場で互いに助け合う」
「そのうえで会社が守る」
会社がうまくいっているときには、
これでもいいだろう。
もともとのビジョンが明白で、
その実現の仕方もわかっていれば、
「社員一人一人が自分の役目を果たす。
仲間や職場で助け合う。
会社がそれを支える」
これでいい。
アメリカのトレーダー・ジョーは、
これでもいい。
しかし日本はいま、どんな状況か。
それほどうまくいっている会社ではない。
コロナ禍は世界的な問題だ。
経済もかつてのようではない。
「ジャパンアズナンバー1」ではない。
国際問題も防衛問題も、
環境とエネルギーの問題も、
少子高齢化や社会保障の問題も、
難問山積だ。
そんなときに、
「自助」から始めていていいのか。
そのあたりは国会論戦で、
はっきりさせてほしいものだ。
さて私は今日も大阪。
午前中は、
「大阪有志の会」から招かれて、
1時間半の講演。
メーカー・卸の経営幹部の皆さん。
赤いジャンパーを着た、
万代幹部の皆さんも参加。
テーマはここのところ持論としている
「コロナは時間を早める」
パラダイムシフトから、
講演を始めた。
Paradigmとは
ある時代や分野において
支配的規範となる
「物の見方や捉え方」
ウィズコロナ、アフターコロナ、
ポストコロナ。
どのような状況でも、
時間軸が早まるなか、
経営にも仕事にも、
スピードアップが必要になる。
その順序は
第1が、デジタル、
第2に、モノ・商品、
その後に、コト・サービス。
小売業は変化している。
メーカー・卸もその変化に合わせて、
スピードを上げなければならない。
そしてコロナによって、
時間軸が短縮化されると、
私が言い続けていることも、
実現が早まる。
この辺りは我田引水。
しかし米国小売業で起こっていることは、
日本の小売業でも現象化する。
アメリカは「実験」の場として、
ふさわしい特性をもっている。
規制が少ない。
したがって理論通りの結果が生じる。
日本でも理論通りの結果となる。
その時間が早まる。
だからといって、
アメリカの真似をすればいい、
とばかりは言えない。
「変化の時代に選びうるのは、
確実な損失か、不確実な利益かの
いずれかである」
最後はマイケル・オークショットの言葉。
大きな拍手をいただいて
講演会を終了。
ご清聴に感謝。
その後、有志の会の幹部の皆さんと、
会場の近くの木曽路で、
情報交換を兼ねたランチ。
あっという間に時間が過ぎて、
急ぎ、車で尼崎へ。
ロピア尼崎島忠ホームズ店。
本日オープン。
9月29日にオープンした寝屋川店に続く、
関西2号店目になる。
3時過ぎにも関わらず、
外にまで伸びた入場待ちの列。
SNSでロピア寝屋川店の情報が発信され、
尼崎の人たちもオープンを心待ちしていた。
そんな状況で、
オープン初日は関東でも見られる
「ロピア渋滞」と「入場制限」。
楽しみな店である。
新店は企業のビジョンが、
具体的に表現されたものだ。
そのビジョンが、
尼崎の顧客に受け入れられるか。
ビジョンの表現はストレートで、
しかもポジティブでなければいけない。
〈結城義晴〉