小春日和の大阪出張の「広い体験と深い思索」
「小春日和」という。
晩秋から初冬の暖かい日。
日本の秋を実感することができる。
しかし、今日、
COVID-19新規感染者は1715人。
3日連続で過去最多を更新。
大阪、神奈川、千葉、茨城、静岡の5府県が、
1日当たり過去最多。
その神奈川から大阪へ。
新横浜から東海道新幹線のぞみ。
小田原を過ぎるころから富士が姿を現す。
三島を越えて、小春日和の富士。
今年は暖冬なのだろう。
頂のあたりにも雪が見えない。
富士市を見下ろす富士山。
煙突と富士。
頂上の左の雲はずっと移動しなかった。
しかし雄大なその姿を拝むと心は晴れる。
最後に富士川の鉄橋と富士。
今日もいい日だ。
2時間後の新大阪駅には、
夕暮れが迫る。
タクシーで大阪市庁舎を通り過ぎる。
今里新地の料亭久恵。
女将が表で出迎えてくれた。
今夜は万代知識商人大学講義前夜の食事会。
「今日はあしたのためにある」
そのとおり。
突き出しは5品。
金目鯛の土瓶蒸し。
ブリとエビのカルパッチョ。
そしてしゃぶしゃぶ。
コロナ禍で一人鍋。
トウミョウとレタスが絶品。
ウニとサーロインステーキ。
最後はエビと春雨。
今日は桝田保さんが参加してくれた。
万代知識商人大学三期生。
万代神戸北店の「部長店長」。
いわばスーパースター店長。
その持論を語ってくれた。
万代では今年4月から、
「部長店長」制度を設けた。
運営部部長と同じ部長の繁盛店店長制度。
「支配人」という位置づけか。
しかし、万代のこの人事、
人の心をとらえている。
デザートは牛乳寒天。
万代社長の阿部秀行さん(右)、
常務の芝純さん(左)、
後ろが津田睦人事部マネジャー(左)と、
桝田店長(右)。
料亭久恵は万代傘下の企業で、
女将は山下幸恵さん。
万代人事部秘書室からの出向。
次々にこの料亭の改革を進める。
最後の最後は阿部さんとツーショット。
明日から3日連続の知識商人大学講義。
朝日新聞「折々のことば」
第1990回は水曜日の言葉。
いったい私は
深い思索には、
広い体験が
不可欠であることを
信じている。
〈九鬼(くき)周造「書斎漫筆」から〉
「書斎の机にかじりつくだけでは
思索は深まらない。
必要なのは広い知識ではなく、
広い体験だ」
そう、「広い知識」ではなく、
「広い体験」が必要だ。
今日の久恵の席と、
阿部さんの人事からも、
そう思った。
編著者の鷲田清一さん。
「旅、観劇、散歩、一夕の宴……。
何だっていい」
そう一夕の宴。
そして哲学者・九鬼周造。
(1888年~1941年)
『「いき」の構造』が著名だ。
「自分の態度ひとつですべてが
思索の材料を提供してくれる」
「”職業”という枠で
それらが限られてはならない。
見ること、聴くこと、塗(まみ)れること。
哲学にもフィールドワークが必要だ」
商人という職業の枠の中で、
思索を続ける。
「考えて、考えて、考え抜く」
イオンの岡田卓也さんの口癖。
故渥美俊一先生。
私が㈱商業界社長を退任したときに、
アドバイスしてくださった。
「結城君、
フィールドワークを
欠かしてはいけないよ」
私はそれを貫いている。
「深い思索」には「広い体験」が、
不可欠だ。
広い体験だけでもいけない。
深い思索がなければ。
〈結城義晴〉