2020Xmas Presentは「経済と健康は両立する」指摘
2020Xmas。
故緒方知行さんは、
私の人生の最初の上司だ。
その緒方さんが1983年に、
㈱商業界取締役を退任して創刊したのが、
月刊『2020AIM』という雑誌だった。
2020というネーミングは、
「オレは2020年まで流通を見続けるぞ」
という心意気を示していた。
その2020年が終わろうとしている。
その緒方さんも2015年の5月に亡くなって、
2020年を見ることはできなかった。
まさかコロナパンデミックが起ころうとは、
緒方さんですら想像しなかっただろう。
2020Xmas。
私の㈱商人舎も今年は、
今日で休業となる。
そこでみんなでランチ。
人形町今半の「すき焼」弁当。
お弁当だけれど、美味。
以前は横浜高島屋の今半に行って、
全員でたっぷり食べた。
しかしコロナ禍でそれもできず、
しかも今日は最終責了の日と重なって、
なおさら猫の手も借りたいほどの忙しさ。
そのうえスタッフの倉内綾子さんが、
今日で退職する。
花束を贈って、感謝の意を示した。
3年間、ありがとうございました。
幸せな生活を送ってください。
ランチが終わってから、
怒涛の執筆と入稿で、
何とか商人舎新年1月号を責了した。
もうへとへと。
私はCoverMessageから、
Message of January、
特集のまえがきとあとがき、
特別企画のまえがき、
店舗スタディを2本執筆した。
そして座談会と対談で語った。
この号の広告は㈱寺岡精工。
ありがとうございました。
今年もなんとか、
12冊の月刊誌を発刊できた。
デザインの七海真理さん、
編集スタッフ、校正スタッフの皆さん、
印刷所や製本所の皆さん、
ありがとうございました。
もちろん執筆者のみなさん、
そして取材を受けてくださった皆さん、
心から感謝します。
発刊している限りは、
鮮明に時代を切り取って、
その切り口の斬新さをご覧入れたい。
その評価は、
読者の皆さんに委ねることになる。
よろしくお願いします。
さて日経新聞「大機小機」
看板の経済コラムは、
各界で活躍する人が匿名で書く。
今日のコラムニストは魔笛さん。
タイトルは、
「経済と健康は両立する」
「新型コロナ感染症の急拡大に、
世の中は”経済か健康か”で
右往左往している」
「しかし、両立は可能だ」
結城義晴が言い続けている、
「トレード・オン」
あちらも立てて、
こちらも立てる。
そしてそれは可能だ。
「コロナ禍で外出自粛圧力が高まり、
需要が抑えられて
経済が大きく落ち込んでいる」
「それを回復させようと、
政府は”Go Toトラベル”や”イート”で
旅費や飲食費を大幅に割り引いた」
「だが感染が再拡大し、
一部地域を外したり
年末年始に全面停止したりと、
混乱を招いている」
魔笛さん、実に文章がうまい。
国民の生活には経済も健康も重要だ。
しかし新型コロナ感染症は
両立を難しくしている。
「健康を優先すれば
需要を抑えて経済が冷え込むし、
経済を優先すれば
感染が広がって健康が脅かされる」
「政府は調整に四苦八苦し、
一方で自粛を呼びかけながら、
他方でGoToキャンペーン維持を
表明している」
「これではアクセルとブレーキを
同時に踏むのと同じで、
国民は混乱するばかりだ」
「この政策対応には、
購買意欲の抑制か刺激か
という1次元の発想しかない」
「これでは視野が狭すぎる」
同感だ。
一次元発想は、
「トレード・オフ」である。
ここから重要な指摘がある。
「旅行や外食需要が減ったのは、
消費者が貧しくなったからではない」
「行ってはいけない雰囲気が
充満しているからだ」
「GoToキャンペーンに
需要刺激効果があるのも、
政府が自粛不要のお墨付きを
与えているからだ」
「自粛圧力や懸念が和らげば、
値引きがなくても
旅行や外食はすぐに回復する」
だからそこに税金を投与するのは、
まったくのナンセンスだ。
「重要なのは安心安全の確保だ」
「コロナ禍が
経済に及ぼしている影響とは
需要全体への抑圧ではなく、
需要構造の急激な変化だ」
「マスクやアルコール消毒液など、
感染対策関連商品は大きく売れている。
医療も人手が足りないほど逼迫している」
「自宅勤務が増え、
オンライン会議が広がって
通信関係は活況であり、
宅配需要も旺盛だ」
「外食や旅行業でも
感染症対策に対応した
新たな需要があるはずだ」
その通り。
ニーズとウォンツをつかめば、
コロナ禍でも需要はつくれる。
「ところが今は
需要構造が変化しているのに、
もとの産業構造を何とか
保持しようとしている」
菅義偉首相も官僚も、
この旧態依然とした考えを変えられない。
「感染症対策は業者任せで、
お金は広く消費者にばらまくだけだ」
その通り。
Nonsense!
「これでは感染は広がり、
経済回復は遠のき、
財政破綻が迫る」
「需要変革期には、
業態の変容や
資本・人材の産業間移動を促し、
新需要への対処に
政策資金を集中すべきだ」
良いこと言うねえ。
「それにより経済も拡大し、
経済と健康が両立する」
この魔笛さんの指摘こそ、
2020のクリスマスプレゼントだ。
コロナ禍が経済に及ぼしている影響。
それは需要構造の急激な変化だ。
小売業では業態地殻変動である。
〈結城義晴〉