グローバルダイニングの通常営業とメルケル首相の所信表明
日本列島にすごい寒波来襲。
日本海側には大雪が降ったが、
太平洋側は意外に晴れた。
日中はそれほど寒くはなかった。
今日1月8日から2月7日まで、
1都3県は「緊急事態宣言」。
とはいっても、
欧米の戒厳令並みのロックダウンとは、
まったく異なる緩い内容だ。
その「対処方針」。
⑴ 飲食店の午後8時までの時短営業
⑵午後8時以降の外出自粛の要請
⑶企業へのテレワークの要請(7割削減)
⑷イベントの開催規模の制限
正当な理由がないにもかかわらず、
要請に応じない場合には、
特別措置法に基づく指示を行って公表する。
要請に応じた飲食店に対しては、
協力金の支払いを行う都道府県を支援する。
その宣言発令の翌日の緊急事態本番の今日、
東京の新型コロナウイルス感染は、
2392人と2000人の大台を超えた。
昨日に次ぐ2番目の多さ。
そして神奈川県は838人で過去最多。
このままでは1000人を越えそうだ。
大阪府も654人で過去最多、
埼玉県496人、千葉県455人も最多。
過去最多が15府県となった。
1日の新規陽性反応者数は、
全国的に増えている。
1都3県の百貨店は次々に、
飲食店に準じて営業時間を、
午後8時までに短縮すると発表した。
しかし政府の方針に、
真っ向から反対する外食企業がある。
㈱グローバルダイニングだ。
長谷川耕造社長は、
神奈川の湘南高校から早稲田大学商学部へ。
中退してシベリアからヨーロッパを放浪。
帰国してレストランビジネスを始めた。
1999年に東証2部上場。
2019年12月期で年商91億255万円、
2020年12月期は52億1848万円に激減。
もちろんCOVID-19の影響。
マルチバナーで46店舗を展開。
上場後の絶好調のころ、
一度会って食事をした覚えがある。
2000年4月に、
東京・台場アクアシティーに、
グリエンパサージュという
複合店舗を出したときだ。
「カフェ ラ・ボエム」、
「ゼスト キャンティーナ」、
「モンスーンカフェ」、
そして和食「権八」。
一本芯の通った反骨の経営者だ。
緊急事態宣言が発令されても、
通常通り営業を行うと発表した。
これはこれで勇気ある行動かもしれない。
時短営業の要請に応じない理由と考え方を、
長谷川さん自身が表明している。
⑴現在「緊急事態」であるのか?
私はそう思えません。
新型コロナによる死者数は
米国と比べると約40分の1と極端に少ない。
⑵ロックダウンを徹底している国々で、
感染が下火にならず、
「時短」や「休業」が感染コントロールに
効果がないことは世界規模で証明されている。
⑶医療崩壊、本当なのか疑問に思っています。
⑷今の行政からの協力金やサポートでは、
時短要請に応えられません。
飲食で19時までの飲食の提供、
20時までの営業では
事業の維持、雇用の維持は無理です。
「以上の理由により、
当社は緊急事態が発令された後も、
平常通り営業を続ける所存です」
社名が公表される前に、
自ら宣言してしまった。
しかし通常通りに営業しても、
グローバルダイニングの客数は、
大幅に減じることになるだろう。
「事業の維持、雇用の維持は無理」
この表明は強気の長谷川耕造の、
心からの悲鳴だ。
国と地方自治体が、
「公助」するしかないと思う。
そして人々を勇気づけるメッセージを
発するしかないとも思う。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相。
66歳。
大晦日に恒例の所信表明演説をした。
ちょっとだけ割愛して、
そのメッセージを紹介しよう。
「今年はなんという1年だったのでしょう!」
「コロナパンデミックは、
100年に一度の政治的、社会的、
経済的な困難でした」
「これは歴史的な危機であり、
私たち全員に多くのことが求められました」
「一部の人たちは非常に苦しい状況を
受け止めなければいけませんでした」
「この歴史的な危機に立ち向かうには、
私たち皆が長い期間信頼し合い、
忍耐を重ねて行かなければなりません」
「だからこそ、私は
みなさんに心から感謝します」
「息をつくこともできない年の終わりに、
私たちは立ち止まり、大きく息をし、
死を弔うことが必要です」
「社会として、
どれだけ多くの人が愛する人を失ったか、
そして愛する人の最期の時にも
寄り添うことができなかったか。
私たちはそれを忘れてはいけません」
「私にはその痛みを
和らげることはできませんが、
でも今夜、そんな人々に、
想いを馳せています」
「ウィルスの存在に異議を唱え、
否定する人々がいます」
「しかし、陰謀論は間違っています、
危険なだけでなく、
ウィルスに苦しめられている人たちを
侮辱し、苦しめるものです」
「2020年は心配と不確実性の年でした」
「しかし同時に、多くの人々が
見返りも求めず、献身的に、
動いてくれた年でもありました」
「まずは病院や老人ホームなどの施設で働く
医師や看護師、介護職員です」
「そして、保健所の職員たちは、
ウイルスとの戦いにおいて
中心的な役割を担い続けています」
「パンデミックにもかかわらず、
私たちの生活が成り立ったのは、
数え切れないほどの人々のおかげです」
「スーパーマーケットや運送会社、
郵便局、バスや電車、警察署、
学校や保育園、教会、出版社などで
働く人々が支えてくれました」
「また、ほとんどの人がマスクをつけ、
人との距離を保つというルールを守って
行動してくれていることに
感謝しています」
「このような態度が、
人を大切にする社会の実現を
可能にしているのだと思います」
「他者を思いやる心、
一歩引くべき時を見定める力、
そして公共心の表れです」
「何百万人もの市民が
このような姿勢を取ったことで、
パンデミックをここまで
乗り越えることができました」
「そして、このような態度は
新しい年にも必要とされるでしょう」
「でも、私は希望を見出しています」
「ここ数日ですでに、
ワクチンの接種が始まりました」
「ワクチン接種数は日々増加しています。
そして最終的にはワクチンを希望する
すべての人が接種できるようになるでしょう」
「とはいえ、パンデミックによって、
私たちにはいまだ非常に困難な事態が、
突きつけられています」
「多くの企業経営者、従業員、
フリーランス、アーティストが
生活に対する不安を抱えています」
「その苦しい状況は
彼らの責任ではありませんし、
連邦政府はそのような人々を
見捨てることもありません」
「政府による支援は
過去に例を見ない規模に達しています」
「みなさん、
困難な日々はわが国において
しばらく続くでしょう」
「このパンデミックを今後、
どう乗り切るかは私たち次第です」
「大変な冬はまだ終わりません」
「私たちはウイルスと戦う方法を
知っています」
「ワクチンの他に最も効果的なのは、
私たち自身の行動です。
一人ひとりがルールを守ることです。
私たち全員が共に」
「この年は、私が在任した過去15年間で
最も困難な年だったと言えます」
「まだ不安や疑いはあるものの、
これほどまでに願いを込めて、
新年を迎えたこともありません」
「2021年の新年は、
みなさんとご家族が
健康で自信を持って過ごせること、
幸あるものとなることを
心よりお祈り申し上げます」
このメルケル首相のメッセージは、
長谷川耕造さんの心にも届くだろう。
〈結城義晴〉