「ワクチン後もコロナは消えない」とツルヤの「自主的PCR検査」
「いまの時季の気候を表すのに
ぴったりの言葉に
“春風踏脚”がある」
「しゅんぷうとうきゃく」と読んで、
「三寒四温」と同義の漢語。
「春風」は春の風。
「踏脚」は四股を踏む、足踏みするといった意味。
山陽新聞巻頭コラム「滴一滴」で知った。
暖かくなったり、
急に寒くなったり。
しかし私たちの気分も、
三寒四温だ。
コロナワクチン接種が近づいたり、
東京五輪が遠のいたり。
それでも気を取り直して、
仕事に邁進しよう。
何度も書いているけれど、
仕事があるから頑張れる。
私は。
同じ気持ちの人も多いに違いない。
今日は横浜商人舎オフィスで、
一日中、執筆。
それからレジュメとパワポづくり。
本を見直して、確認する。
原稿やレジュメ、パワポには、
もっともっとたくさんの資料を使う。
それでも明後日の講演では、
これらの本を持って行って、
ご披露する。
原稿書きに集中していると、
やや日が長くなったとは言うものの、
あっという間に夕方になる。
日経新聞「オピニオン」の「The Economist」
イギリスのエコノミスト誌の記事。
「ワクチン後もコロナは消えない」
「奇跡にも限界がある」
おう!
新型コロナウイルスのワクチンは
期待以上に早く実用化された。
「ワクチンがなければ、
パンデミックの死者は
1億5000万人を超える恐れがあった」
「それでも、世界で接種が進む一方で、
ワクチンがコロナを根絶してくれると
期待するのは誤りだということが
明らかになっている」
そう、誤解してはいけない。
「むしろ、
新型コロナの流行は何年も続き、
恒常的に社会に存在する
“エンデミック”になりそうだ」
「エンデミック(endemic)」は、
特定の地理的区域内の、
集団での感染症の日常的な流行、
もしくは感染性病原体の
恒常的な存在を意味する。
日常的に感染症と共生することだ。
これに対して、
「ハイパーエンデミック(hyperendemic)」は、
特定の地理的区域もしくは集団における
持続的な「高レベル」の感染症の発生を意味する。
そして「エピデミック(epidemic)」は、
特定の区域や特定の集団において
「通常予測される以上の症例数の増加」を意味する。
一昨年の暮れに中国武漢で起こったのが、
エピデミックだ。
それはしばしば、突然発生する。
エピデミックは、
病原体および感受性宿主が
十分な数で存在しているときに発生する。
つまり人間が多いときに発生しやすい。
「アウトブレイク(outbreak)」という言葉も、
エピデミックと同じ定義だが、
「限定された地理的区域で発生している」
もしくは、
「公共のパニックを引き起こしにくい」
というニュアンスで使われて、
エピデミックと区別される。
おなじみとなった「クラスター(cluster)」は、
予測数よりも多いことが疑われる
「時および場所で集団化された症例の集合体」のこと。
狭い範囲での集団感染のこと。
そして「パンデミック(pandemic)」は、
複数の国や大陸に拡散したエピデミックを意味する。
エコノミスト誌の記事。
「ワクチンの接種を奇跡と呼ぶのは
決して大げさではない」
「最初に確認されてから1年余りで、
すでに1億4800万回分のワクチンが接種された」
2年くらいはかかるだろうと見られていた。
世界で最も接種が進んでいるイスラエル。
「まだワクチンを接種していない
60歳未満の入院者数が
過去最高に達しているのに対し、
大半が接種を終えた60歳以上では
1月半ばのピークよりも40%近く少なく、
さらに減る見通しだ」
「ワクチンは軽症や無症状の感染を
完全に防ぐことはできず、
主に死に至ったり、
入院が必要なほど重症化したりするのを
食い止めるようだが、
そこが実に重要な点だ」
その通り。
「一部のワクチンには、
感染自体も阻止する効果があることを
示唆した初期のエビデンスもある」
「それが事実なら、
感染拡大の速度は大幅に緩やかになり、
集中治療室(ICU)があふれるほど
重症者が急増する事態を招くことなく、
ロックダウンを緩和できるようになる」
「だが、これだけの朗報にもかかわらず、
新型コロナの感染はまだ収まっていない」
「今後も広く流行するだろう」とコラム。
春風踏脚である。
「新型コロナは、人間界に、
常に存在するウイルスになりそうだ」
この認識が広がりつつある。
つまりエンデミックである。
新型コロナの感染長期化の理由は3点。
第1は、
世界の人口78億人を守るのに
十分なワクチンを生産し、
供給するのが至難の業だからだ。
他の主要国よりも速いペースの英国でさえ、
50代以上へのワクチン接種は5月までかかる。
先進国以外ではまだ
ワクチン接種を開始していない国が、
85%に上る。
こうした国々に住む何十億人もの人々が
接種を終えるまで、感染拡大は続く。
「それは2023年までかかりそうだ」
それまでの期間が「キャズム」である。
第2の理由。
「新たな変異ウイルスによって
効果が一部帳消しにされている」
例えば「変異ウイルス」。
従来のものよりも感染力が強い。
英国の変異ウイルスの感染率は、
25~40%高い。
第3の理由は、
多くの人がワクチン接種を拒み、
ウイルスの標的とされ続けることを選ぶからだ。
国民のわずか10%でも、
ワクチン接種を拒み、
社会的距離も保たれない場合には、
感染者と死者は激増する。
だから収束の基準は、
「全人口の約8割が免疫を持ち、
1人の感染者が平均して感染させる人数を
1未満にとどめること」となる。
これは実現困難だ。
「こうした理由から、
各国政府は新型コロナを
エンデミックとして対応する計画を
立て始めなくてはならない」
つまりインフルエンザと同レベルにすること。
これが難しい。
現時点では、
「一過性の緊急事態として扱っている」
たとえばニュージーランド。
国境を閉じて、
感染ゼロの状態を目指してきた。
そしてこのやり方で死者を、
わずか25人に抑えている。
だが、この極めて厳しい政策は
逆に恒常的な防御策としては、
妥当ではないのだ。
「ニュージーランドは
北朝鮮ではないからだ」
なるほど。
「重症化リスクの高い層が
ワクチンを接種すれば、
ニュージーランドは国境を開き、
エンデミックとなった
新型コロナの感染者や死者を
ある程度は容認していくことを
迫られるだろう」
エンデミックとはそういった状況だ。
世界各国の政府も政策を変えねばならない。
つまり現在の「緊急手段」から、
「経済的、社会的に持続可能な政策」へと、
切り替える。
その時期や方法を、
見定めなくてはならない。
コロナと共生するには、
これまでと反対の政策をとらねばならない。
「最たる例は、
ワクチン接種が遅れている中国だ」
「中国共産党は
コロナ感染を一切許容せず、
感染拡大は堕落した西側の
民主主義の証拠だと、
決めてかかっている」
これを改めなくてはならないが、
それはない。
したがって、
重篤な症状が出たり、
慢性化したり、
患者を衰弱させる”後遺症”を伴ったりする
新型コロナの流行は長期化する。
つまり、次の局面は、
「暗たんとした状況に思える」
しかしエコノミストは悲観はしない。
「流行は完全に収束していなくても、
状況は最悪の事態よりも
かなりましだといえる」
「これはひとえに医学のおかげだ」
最悪よりも、マシな状況。
それがポスト・コロナ時代だ。
商人舎流通スーパーニュース。
ツルヤNews|
公式サイトで定期PCR自主検査の結果を発表
長野県の㈱ツルヤ。
全従業員にPCR検査を始めた。
5010名。
そしてその結果を公開している。
素晴らしい。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。
ツルヤの視点は、
キャズムの先の、
ポスト・コロナ時代に向いている。
〈結城義晴〉