最澄の「一燈照隅 万燈照国」と高倉照和の「NetMarket」
85年前の二・二六事件。
1936年、昭和11年。
雪の早朝、陸軍の青年将校たちが、
首相官邸や警視庁などを襲った。
高橋是清大蔵大臣、斎藤実内大臣ら、
政府要人が殺害された。
映画や小説で何度も描かれた。
彼らは「昭和維新」を唱えたが、
あまりに幼かった。
今朝、雪が降っていないと、
なぜかほっとする。
今日の中日新聞巻頭コラム、
「春秋」
天台宗の開祖最澄の言葉を紹介する。
最澄は平安時代の僧で比叡山延暦寺を建立した。
その言葉は、
「道心の中に衣食(えじき)あり、
衣食の中に道心なし」
「仏道を究める心があって、
その後に着物や食べ物は付いてくるもの、
逆ではありません」
コラムニスト。
「衣食に気を取られて、
大切な道を見失う人への
戒めと受け取れよう」
コラムは総務省と農林水産省の、
高級な食事の接待の話につながる。
「綱紀か倫理か、
緩みが同時に別の場所に
現れているようにみえる」
「不祥事が多い。
政権の指揮官の道は荒れているようだ」
最澄に言わせれば、
「道」を究める心のあり方が、
なっていない。
これ以外の最澄の言葉。
一燈照隅 万燈照国
(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこく)
一つの灯火は一隅を照らす。
それも最澄は「道心ある人」と言う。
しかし、一燈は一隅を照らすが、
その一燈が万となれば、
国中を照らすことができる。
そして、
「忘己利他」
(もうこりた)
己を忘れて、
他の利を考える。
これが慈悲の極みである。
以て自戒とすべし。
今日は午後から横浜商人舎オフィス。
来客あり。
その人は高倉照和さん。
スーパーサンシ㈱常務取締役。
そしてNetMarket事業本部長、
兼システム部/開発部統括。
ネットスーパーの話で盛り上がった。
高倉さん。
「5年分の変化が起こりました」
結城。
「コロナは時間を早める」
「スーパーとネットスーパーは、
似ているようで違うビジネスです」
私はテスコ・コムやダークストアの話をした。
ウォルマートのピックアップも、
クローガーのクリック・リストも。
アマゾンのピックアップステーションも、
ホールフーズのピックアップサービスも、
コロナ前に起こり、
コロナのキャズムで進化した。
ピーター・ドラッカーは語っている。
「未来において実現されることは、
いきなり現れるのではなく、
一つの例外もなくリードタイムをもつ」
昨日、高倉さんは、
オンラインセミナーを開催した。
「ローカルスーパーの未来を考える!」
大久保恒夫さんと三科雅嗣さんが、
高倉さんとともに語った。
大久保さんは3月から西友CEO、
三科さんは㈱いちやまマート社長。
私は昨日、オンラインデーだったが、
このセミナーは見なかった。
しかし今日は高倉さんが来社してくれて、
その内容は十二分に把握できた。
イオンのネットスーパー、
セブン&アイのネットスーパー、
ライフとヤオコーのネットスーパー。
ベルクの取り組み、万代の挑戦。
高倉さんはNetMarketの商標で、
フランチャイズ展開を始めている。
高倉さんの名前は照和。
最澄の「一燈照隅 万燈照国」に通じるか。
そうしなければいけないだろう。
そのためにもフランチャイズを、
パブリックなシステムととらえるべきだ。
一燈はフランチャイズによって、
万燈となりうる。
しかしその主体者は、
「忘己利他」でなければならない。
〈結城義晴〉