平松正嗣平和堂社長のon-line決算説明と「今までなかったこと」
桜の季節が終わろうとしている。
しかし次々に花は移っていく。
昨年のちょうど今日、
私の古巣の㈱商業界が自己破産した。
それから1年。
多くの皆さんにご迷惑をおかけし、
それでも残った社員たちはほぼ、
それぞれに行き場が決まったようだ。
誤解のないように書いておくと、
私が社長をやっていた2007年までは、
きちんと経常利益を出していた。
今日は横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎4月号の原稿執筆と入稿。
午後2時から、
オンラインの決算説明会。
㈱平和堂社長の平松正嗣さん。
商人舎流通スーパーニュース。
平和堂news|
コロナ特需で年商4393億円1.3%増・経常利益32.3%増
2021年2月期決算は増収増益で、
しかも過去最高。
平松さんはちょっと緊張していたが、
52枚のパワーポイントを使って、
丁寧にメッセージを発した。
上手だったし、とても聞きやすかった。
商人舎でも今度、講演を頼もうか。
平松さんが提示した中長期ビジョン。
「地域になくてはならない存在」となる。
その実現に向けて目指すのが、
「地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」だ。
その中長期ビジョンの世界を、
短い文章でまとめた。
そのための企業行動の基準。
それがサステナビリティの推進。
そして事業基盤を構築するのが、
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進だ。
いずれも社長直轄で取り組む。
平松さんの意気込みが伝わってきた。
さて糸井重里の「ほぼ日刊イトイ新聞」
その巻頭エッセイは、
今日のダーリン。
「いままでになかったことをするのは、
簡単じゃない」
「どうしても、
いままであったことに似せて、
一歩ずつ進んでいる”確かさ”が
ほしくなってしまう」
「しかし、それは
いままでの枠組みを利用することなので、
その枠にはめ込まれ、
いままでにあったものに似てくる」
「似てくるだけでなく、
劣化コピーにも
なりかねない」
これが実に多い。
だから商業界の倉本長治先生は言い残した。
「創意を尊びつつ良いことは真似ろ」
イノベーションの極意だ。
「良いことを真似る」だけではだめだ。
「創意を尊びつつ」でなければいけない。
糸井は例を示す。
iPhoneは、電話でもなければ、
小型コンピューターでもない。
「いままでになかった”もの”でもあるし、
いままでになかった”こと”なのである」
ここで重要なこと。
「ふつうに”電話”の改良を
していこうとすると、
どんどん”電話のいいやつ”の方向に
向かうことになる」
そして「電話のいいやつ」は、
「たぶんそれほど人を惹きつけない」
そして、いつまでも、
「”これまでの電話”と競争して、
新しい世界を生み出したりすることも
なかったろう」
同感。
総合スーパーの「いいやつ」は、
たぶんそれほど顧客を惹きつけない。
「いままでになかった
ことをするというのは、
いままでになかった
人の集まりを創り出すことだ」
これが大事だ。
「だれも見たこともないし、
やったこともないから、
どういうおもしろさがあるかだとか、
どんなふうに壁にぶつかるかだとか、
どんな速度で進んでいくかとか、
知ってる人もいない」
先月の商人舎で取り上げたDXの本質は、
そういったことだ。
糸井の分析。
「確かそうに見せているものとは、
過去の似たものを寄せ集めた
類推のかたまりなのだから」
「わからないからおもしろいし、
いままでになかったから難しいし、
どきどきもする」
イノベーションには、
勇気がいるのだ。
〈結城義晴〉