「コロナは時間を早める」のお礼状と「思へば遠く来たもんだ」
はじめに柳井正さんから、
丁寧なお礼状をいただいた。
「貴書『コロナは時間を早める』を
お送りいただきまして、
誠にありがとうございます」
さすがファーストリテイリング。
真っ先だった。
それに柳井さんには、
本の中で何度も登場していただいた。
感謝します。
川野幸夫さんは、
「まず、ヤオコーのところを読み、
そしてはじめにもどって読んでいます。
読みなれた文章ですし、
すいすいと読めます」
うれしい限りだ。
今回の本の著者としての裏テーマは、
実は、「巻措く能わず」
川野さんはそれを感じ取ってくださった。
岡田元也さんは、
「ご出版を心よりお祝い申し上げます。
また以前より、貴誌『月刊商人舎』も、
拝読しています」
これもうれしい限りだ。
イオンの皆さん、岡田さんは、
読んでますよ。
そして今日、小濵裕正さんから、
直接お電話をいただいた。
「あなたは文章家だねぇ」
これにも小躍りして喜んだ。
横山清さんは、
お取引先の会で配るということで、
大量の注文をくださった。
伊藤彰浩さんも、
大量注文を寄せてくださった。
義津屋主催の講演会は中止になったけれど、
かわりに本を配ってくださる。
もとはといえば加藤徹さんが、
大量注文をくださった。
それによって、
本を発刊することができた。
みなさん、本当に、
ありがとうございます。
お手紙の内容やこれまでの経緯を、
勝手に披露してしまいました。
2008年4月17日に、
商人舎発足の会を開催した。
その会の発起人となってくださった皆さんに、
『コロナは時間を早める』が刷り上がると、
すぐに贈呈した。
大量の注文が入って、
残りはわずか。
そこでもう増刷に入っているけれど、
1都2府1県に緊急事態宣言が発せられ、
しかもゴールデンウィークに突入して、
印刷物が立て込んでいるうえに、
連休に入って印刷所が、
製造業務を中断し始めた。
二刷りができるのは、
5月17日くらいです。
つまり発刊の1カ月後。
それでも、
気になるところなど、
若干訂正を入れて、
完璧な一冊となります。
本当にありがとうございます。
読んでいただくことが、
何よりの喜びです。
今日は月刊商人舎5月号の執筆と入稿。
疲れ切って写真。
今月号の広告は㈱伊藤園です。
その伊藤園の江島祥仁さんからは、
毎年の新茶が贈られてきた。
心から感謝します。
コロナが広がろうと、
新茶は摘まれ、商品となる。
2021年4月最後の日。
日経新聞巻頭コラム、
「春秋」
「2年前のきょうは
『平成』最後の日だった」
コラムは、
中原中也の詩を取り上げる。
「思えば遠く来たもんだ」
武田鉄矢の「思えば遠くへ来たもんだ」は、
この中也の詩からとられた。
中也の詩は「遠く」であって、
「へ」がない。
「頑是ない歌」
思えば遠く来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気(ゆげ)は今いづこ
雲の間に月はゐて
それな汽笛を耳にすると
竦然(しょうぜん)として身をすくめ
月はその時空にゐた
それから何年経つたことか
汽笛の湯気を茫然と
眼で追ひかなしくなつてゐた
あの頃の俺はいまいづこ
(中略)
さりとて生きてゆく限り
結局我ン張る僕の性質(さが)
とへばなんだか我ながら
いたはしいよなものですよ
考へてみればそれはまあ
結局我ン張るのだとして
昔恋しい時もあり そして
どうにかやつてはゆくのでせう
考へてみれば簡単だ
畢竟(ひつきやう)意志の問題だ
なんとかやるより仕方もない
やりさへすればよいのだと
思ふけれどもそれもそれ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気や今いづこ
〈『在りし日の歌』より〉
コラム。
「畢竟(ひっきょう)は『つまり』の意」
「『遠く来た』からこそ、
見えてきた景色もある」
昨日のブログで書いたけれど、
明治は遠くなりにけり。
昭和も遠くなりにけり。
遠く来たから明治が見えた。
遠く来たから昭和が見えた。
中也も言っているけれど、
「畢竟意志の問題だ」
われ、その意志をもたねばならぬ。
ワクチン接種のそのときまでは。
いやいや「キャズム」の終わりまでは。
われ、その意志を忘れてならず。
〈結城義晴〉