高原豪久と松下幸之助とサム・ウォルトンの凡事徹底
みどりの日。
書に倦(う)めば水遣(や)りに出てみどりの日
〈宮岡計次〉
読書にあきたら、
庭の木々に水をやる。
そんなみどりの日。
昭和天皇が崩御された1989年から、
祝日法改正の2006年までは、
旧天皇誕生日がみどりの日だった。
つまり4月29日。
それが改正祝日法によって、
4月29日は昭和の日となって、
みどりの日は5月4日に移動した。
みどりの日風もみどりでありにけり
〈小林草吾〉
日経新聞電子版の経営者ブログ。
高原豪久ユニ・チャーム社長。
今回で200回を迎えた。
高原さんはのペースは、
1カ月に1本くらいだから、
16年以上の連載だ。
4月29日の唱和の日のテーマは、
「凡事徹底が非凡を生む」
その高原さんが今年の新入社員に行ったこと。
「成長しやすいひとの特徴」。
①しつこい
②可愛(かわい)げがある
③素直
わかる。
①の「しつこい」を高原さんは、
「凡事徹底」に置き換える。
「凡事徹底」は「凡事継続」ではない。
「徹底」とは「神は細部に宿るが如く」
こだわり尽くすこと。
「漫然と同じことを継続していても
それは単なる繰り返しであり、
“非凡”な成果には必ずしもつながりません」
「しっかりと具体的な計画を立て、
成果が出るまで試行錯誤を
地道にくり返す努力こそが、
“非凡な成果”につながるのです」
「しつこい」は、
継続すること。
できるまでやめないこと。
一番前に来ているほどに、
とても大切なことだ。
「凡事徹底」は、
平凡な仕事を日々、
徹底すること。
私は「徹底」を定義している。
詳細に、厳密に、継続すること。
こまかく、きびしく、しつこく。
サム・ウォルトンは言う。
「平凡な人間を集めて、
平凡な仕事をして、
非凡な成果を上げる」
人間はだれも、
平凡だ。
そんな人が、
平凡な仲間とともに、
平凡を徹底したら、
非凡になる。
そして②の「可愛げ」は、
松下幸之助に通じる。
「私は学歴がないから、
多くの人の知恵を借りる」
可愛げがあった。
③の「素直」には著者の注釈がある。
「斜に構えず、何事もポジティブにとらえる」
これも松下幸之助が言っている。
「私は学校に行けず幸運だった」
負け惜しみではない。
ある種のパラドックスである。
学校を出ていない幸之助は、
わからないことばかりだった。
それを補うためには、
人に聞く以外にない。
これが「素直」である。
しつこい。
可愛げがある。
素直。
高原豪久さんは、
幸之助やサムことを、
言っているように聞こえる。
その幸之助とサムは、
誰もできないことをやり遂げた。
みどりの日風もみどりでありにけり
〈結城義晴〉