G7の東京五輪後押しと「ノブレス・オブリージュ」
G7が開催されている。
G7は「Group of Seven」。
先進国首脳会議。
あるいは主要国首脳会議。
そのトップが集まることから、
サミットSummitと呼ばれる。
「頂上」の意味。
フランス、アメリカ、イギリス、
ドイツ、日本、イタリア、
そしてカナダ。
国際連合安全保障常任理事国とは違う。
常任理事国は第二次世界大戦後に、
その戦勝国で構成されたが、
G7は終戦から30年を経過した段階で、
世界のサミットに立つ国で構成された。
結果として、第二次大戦の敗戦国が、
三国ともメンバーに入った。
1回目は1975年11月、
フランスのランブイエで開かれた。
このときはG6。
カナダが未参加だった。
近代オリンピックもそうだが、
フランスはこういった時に、
何かと面倒を見たり、
主導権を採ったりする。
面白い国だ。
第2回は翌1976年6月で、
アメリカ・サンフアン。
カナダが参加してG7となった。
アメリカは最初からG7を先導する。
世界のリーダー国である。
第3回(1977年5月)はイギリス・ロンドン、
第4回(1978年7月)は西ドイツのボン、
そして第5回(1979年6月)が日本の東京。
G7を表現するときには、
開催順に国名が並べられる。
第6回(1980年6月)は、
イタリア・ヴェネツィア開催。
第7回がカナダ・オタワで、
その後は、順に開催国が回ってきた。
その間、ロシアが1回開催国となって、
G8の期間もあった。
日本は5度の開催国となっている。
今、開かれている第46回の場は、
イギリスのコーンウォール。
主役はこの人。
ボリス・ジョンソン英国首相。
オーストラリアとインド、韓国が、
ゲスト国として招かれている。
ゲスト国はみなアジア・オセアニアの国。
中国問題が最大の課題だから、
これらの国が招致された。
テーマは、
COVID-19パンデミック問題、
中国の「一帯一路」対策、
そして東京オリンピック。
地球環境問題や温暖化問題、
民族問題や難民問題、
食糧危機問題など、
テーマは山積しているはずだ。
しかし東京五輪に関しては本来、
最初から決定しているはずだが、
G7各国首脳が賛同してくれたから、
これで最終的に確定したという感じだ。
それはそれでよかったのだろうが、
主催国としてもうちょっと、
自らの強い意志で開催を表明したかった。
自分の国のなかの反対意見を、
G7の外圧を利用して抑えた。
自分では決められず、
周りに後押しして決めてもらった。
そんな印象が私には残った。
もっと凛とした態度が欲しい。
G7では自分の国のことよりも、
世界のために何ができるかを、
熟考し、議論して、表明したい。
私はそう思う。
だから先進国首脳会議であり、
サミットなのだ。
こういった国際的な会議体はもとより、
国内の産業のなかの会議体、
さらに会社の中の会議体などでは、
自分の国や自分の会社、自分の部署を、
全体会議によって助けてもらうのは、
できるだけ避けたい。
私はずっとそう考え、
そう実行してきた。
自分のことは自分で解決する。
ここでこそ自助、共助、公助である。
サミットの国々には、
その心意気がなければいけない。
欧米各国首脳には、
ノブレス・オブリージュの精神がある。
フランス語の「noblesse oblige」。
直訳すれば「高貴さは強制する」
何を強制するか、
義務である。
つまり持てる者には義務が生じる。
古代ローマ時代には、
ユリウス・カエサルもアウグストゥスも、
このノブレス・オブリージュを実践した。
街道をつくり、公共物をつくった。
イギリスでもフランスでも、
ボランティアはこの考え方に則っている。
現在はビル・ゲイツもジェフ・ベゾスも
この考え方を持つ。
金儲けをしたら月に行くだとか、
イイネしてくれたら1億円をばら撒くだとか。
そんなことは断じてしない。
国とても、持てる者には義務が生まれる。
だからサミットであり、G7なのである。
だから凛としていなければならない。
一帯一路には、
ノブレス・オブリージュで立ち向かう。
もう忘れかけていたが、
この人にはそれがなかった。
G7の映像を眺めながら、
持てる国の在り方を思った。
そしてノブレス・オブリージュは、
リーダーに求められる最低の教養である。
〈結城義晴〉