「危機感の共有vs楽観バイアス」と「学習する組織」
2021年7月29日、夕方の西の空。
空はいつも変化している。
今日は風もある。
木々がそよぐ。
花も変わらず自分の季節に咲く。
つぼみが開きそう。
そんな小さなことにも目を向けると、
心が和んでくる。
それにしても、この人。
〈首相官邸ホームページより〉
夕方、ぶら下がり会見をした。
神奈川県・埼玉県・千葉県、
そして大阪府に、
緊急事態宣言を発するよう、
関係閣僚会議で決めた。
明日、専門家会議の諮問を受けて、
来週月曜日から発令する。
期間は8月2日から、
期限は8月31日まで。
東京都と沖縄県の緊急事態も、
8月末まで延期する。
しかし第1に、
東京・沖縄が緊急事態宣言中なのに、
新型コロナウイルス感染は急増している。
神奈川・埼玉・千葉・大阪に、
その宣言をしても感染はおさまらない。
ならば緊急事態宣言そのものの、
中身こそ改革しなければならない。
政府内部からの発言。
「もう、打つ手はない」
それは困る。
しかも第2に、
この発表の仕方が悪い。
同じパターン。
まず木曜日あたりに主要閣僚で話して、
それを事前に首相が発表。
「やってる感」だけ。
そのあと金曜あたりに、
専門家に諮問して、
翌週の月曜日から始める。
のんびりしたスケジュールだ。
しかも毎度、同じパターン。
「いま、すぐにやれよ!」
「週末から始めろよ!」
そう言いたくなる。
これこそ危機感の喪失だ。
朝日新聞がDIGITAL版で、
専門家の声として指摘した。
「楽観バイアス」
「人流は減っている」「治療薬がある」
こんな首相の言葉が、
感染防止の呼びかけに逆行する。
「バイアス」とは「偏(かたよ)り」のこと。
楽観への偏りである。
茹でガエルの会社に出る現象だ。
菅義偉。
「東京の感染者数は過去最高。
強い危機感を持って対応している」
そのくせ、
「ワクチンによって、
大幅に減少していることは事実だ。
そうしたことを示していくことも仕事だ」
東京都の新規感染者は3865人、
神奈川県は1164人。
最多記録を更新し続ける。
大阪府は932人、
沖縄県は392人。
全国で1万0699人。
首相の発言。
「人流は減っている」
これは嘘だ。
街を見ればわかる。
政府対策分科会の尾身茂会長。
参議院内閣委員会で発言した。
「今の最大の危機は、社会の中で
危機感が共有されていないことだ」
「このまま危機感が共有されなければ
この感染状況はさらに拡大する」
「危機感の共有」
そのために何をやるか。
いかに発言するか。
しかし、ワクチンを打った後も、
感染予防を徹底しなければならない。
マスク、手洗い。
ソーシャルディスタンシング。
オリンピックに加えて、
夏休みとお盆。
気が緩む条件は鉄壁の揃い踏み。
リスクマネジメントとは、
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。
これは絶対に変わらない。
全国で1日1万人を超える感染者が出ている。
これまでで最大の危機だ。
それでも、
オリンピック柔道。
男女ともに金メダル。
女子78キロ級の浜田尚里(しょうり)、
オール一本勝ち。
すべて固め技。
抑え込み技と締め技。
男子100キロ級のウルフ・アロン。
小内刈りの切れ味抜群。
そしてNHKの解説者の松本薫さんが、
素晴らしい。
ロンドン五輪で57キロ級の金メダル。
リオデジャネイロでは銅メダル。
柔道着を着せた人形を相手に、
技のポイントを示す。
語り口も率直で的確。
どこかの首相と大違い。
松本薫を見ていると、
日本の将来に期待が持てる。
今回のオリンピックに対して、
柔道界全体で学び続けたのだと思う。
さて商人舎流通スーパーニュース。
ウォルマートnews|
LBUで大学の授業料・書籍代を全額負担
「リブ・ベター・ユー」
“Live Better U”
略して「LBU」
大学に通うアソシエーツのために、
授業料と書籍代の全額を負担する。
ウォルマートはこれらを含めて、
アソシエーツのキャリア構築のために、
今後5年間で10億ドルを投資する。
LBUプログラムは 2018年6月、
米国内従業員約150万人のために設けられた。
SAT(大学能力評価試験)やACT(共通適性試験)の
無料の準備プログラム、
高校生への給付奨学金、
6つの非営利大学の学費補助、
無料の言語教育、
大学院の学費補助など。
今年2021年7月には、
学生は5万2000人以上、
卒業生は8000人を超えている。
奨学金が適用される大学も全米で10校となった。
コロナ禍キャズムが終わって、
ポスト・コロナ時代を迎えると、
小売業は日米欧ともに、
人材と人手の不足に陥る。
ウォルマートはそのために、
教育プログラムを準備して、
アソシエーツのキャリア充実を図る。
仕事のための訓練だけでない、
本人のキャリアが上がる教育。
それが人材確保につながる。
〈求人・待遇⇒人手確保〉ではない。
〈高等教育⇒人財確保〉である。
それはすなわち「学習する組織」づくりである。
日本の国にも、
柔道界やスポーツ界にも、
産業や企業にも、
学ぶ組織を志向することは必須である。
〈結城義晴〉