今月の標語「見えないものを見る。」と独メトロの日本撤退
暑かろうが、涼しかろうが。
日が照ろうが、雨が降ろうが。
木々は茂り、花は咲く。
「歩く姿は百合の花」
今月の商人舎標語。
商人舎8月号の[Message of August]
見えないものを見る。
目に見えるものは変えやすい。
目に見えないものは変えにくい。
人間の性(さが)か、商人の業(ごう)か。
私の欠点か、あなたの弱点か。
目に見える売場はすぐに直す。
目に見えないバックヤードはいつまでも汚い。
目に見える廃棄ロスは許せない。
しかし目に見えない機会損失は関知しない。
もちろん目に見えるものさえ、
手が付けられないほど忙しい。
だから目に見えないものなど、
いっさいお構いなし。
それが小売り現場の実態かもしれない。
競争激化がそれを助長させたかもしれない。
人手不足がその言い訳となったかもしれない。
コロナ禍がそれを許してくれたかもしれない。
世界中のフードロス。
目には見えない。
しかしそこに思いを致す。
ジョン・レノンのごとく想像してみる。
頻繁に現場で生まれる不明な損失。
これも目に見えない。
けれどそれを見える化し、探求する。
全体最適のなかで好循環を生み出す。
目に見えないものを、
見えるようにする。
隠されたものを、
みんながわかるようにする。
「とても簡単なことだ。
心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、
目に見えない」(星の王子様)
最後の言葉は、
サンテグジュペリの「星の王子様」から。
そして『コロナは時間を早める』の、
実は重要なキーワード。
高知から帰って、
高知新聞を覗く。
社会面コラム「地空」
報道部・吉良憲彦記者が書く「選択」
「いつもの夏なら、今ごろ…。
高知市の街中には鳴子の音が響き、
踊り子たちの笑顔があふれている」
「よさこい祭り」のことだ。
8月9日が前夜祭、
8月10日と今日の8月11日が本祭、
8月12日が全国大会と後夜祭。
4日間で延べ100万人が集まるし、
経済効果は100億円と言われる。
そして後夜祭の12日から今度は、
徳島の阿波踊りが始まる。
昨年、今年と、
どちらも中止された。
高知新聞コラム。
「例年よさこいが終われば、秋が来る。
台風一過の夜風は涼しかった。
選ぶ秋はもうすぐ―」
そのとおり。
よさこいが終わるころ、
甲子園高校野球が始まっている。
そして東京2020オリンピックは、
潮が引くように去っていって、
コロナ禍[キャズム]が残る。
今日の全国新規感染者1万5812人。
過去最多を更新。
9府県でも過去最多を更新。
東京都は4200人。
重症の患者は197人で、
これも過去最多を更新。
朝日新聞「折々のことば」
第2110回。
貧しい言葉で
豊かな明日を語るくらい、
人びとを
シラケさせるものはない。
(天野祐吉)
編著者の鷲田清一さん。
「昨今の政治家や官僚は
ほとんどが書き言葉で語る。
用意した原稿を読み上げて終わり。
伝えたいという熱がこもらない」
「たまに芝居っけたっぷりに
熱く語る例外があっても、
“改革”や”安心”という語が
呪文のようにまき散らされるだけ」
「こういう空虚や熱狂を介さずに
〈声〉が聞ける政治家の言葉を
編集者・コラムニストは求めた」
鷲田さんは公明正大な哲学者。
大阪大学総長などを歴任し、
大阪大学名誉教授、
京都市立芸術大学名誉教授。
その鷲田さんが、
天野さんの言葉を借りて、
〈声〉が聞ける政治家の言葉を求めた。
いや〈心〉が伝わる政治家かもしれない。
ここまでくると逆に政治家こそが、
この難関を突破できる存在だとも思う。
さて商人舎流通スーパーニュース。
新型コロナ感染news |
8/11発表の新型コロナ感染状況
全国の新規感染者が増えるほどに、
店頭での感染者も増える。
クリックして、ページを開き、
ざっと見てほしい。
それから、
メトロnews|
日本市場から2021年10月末に撤退
結城義晴の述懐を書いておいた。
「フランス第一のカルフールが早々と退散し、
イギリス首位のテスコが撤退し、
アメリカ第一で世界第一のウォルマートが
結局、15%の株式を所有するものの、
フェードアウトしていきそうだ。
そしてドイツでトップだったメトロも、
コロナ禍のあおりを受けて、
撤退を決定した」
ジョン・ダニングの「OLIパラダイム」。
海外直接投資の総合的なフレームワーク。
この理屈を使って、
メトロやカルフール、テスコの撤退が、
説明できる。
[述懐]では簡略化して解説した。
しかしいかに論理的に説明しても、
実は経営の本質は、
目に見えないところにある。
だからコストコの日本での成功も、
目に見えないところにある。
顧客だけがそれを知っている。
だからコストコの熱烈な顧客となって、
あの店を楽しまねば理解はできない。
「いちばんたいせつなことは、
目に見えない」のだから。
〈結城義晴〉