「災害級の豪雨・災害級の感染」と「二つの無知」
災害級の大雨。
西日本の豪雨。
お見舞い申し上げたい。
そしてCOVID-19第五波も、
災害級の感染。
菅義偉首相が夜9時に記者会見をして、
一昨日発表したことをなぞった。
これで緊急事態は13都府県に宣言された。
効果が薄いまん延防止等重点措置は16道県。
しかも9月12日まで延期される。
残念ながら新鮮味もなかったし、
国民に訴えるものもなかった。
私にはそう見えた。
解除のめどは立たない。
そのなかで東京パラリンピックも、
1週間後の8月24日に開幕する。
私はパラリンピックに対して、
反対しているわけではない。
しかしそのあたりは記者会見などで、
きちんと説明されなければならない。
一国の総理大臣はリーダーであり、
国の指導者だ。
「指導者」という言葉に使われている、
「導く」の意味は、
1.道案内をする。
2.正しい方向に手引きをする。
3.物事がそうなるように働きかける。
4.答えや結論を引き出す。
「国民の命を守ること」を繰り返し、
「緊急事態宣言の出口に向かって、
最大限の努力をする」と発言しても、
残念ながら「導く」がない。
残念ながら「空気」に、
忖度している首相だからである。
気になることが一つ。
これまでも緊急事態宣言発出のときに、
百貨店やショッピングセンターの、
休業、営業時間短縮、入場制限などが要請された。
そのときにの対象となった店舗は、
「1000㎡以上」
1000㎡は300坪である。
日本のスーパーマーケットの平均的な面積だ。
全国には数多の300坪以下の店があるし、
現在も都市部で盛んに開発されている。
百貨店や総合スーパー、
そしてショッピングセンターは、
1000㎡と比べると超巨大な商業施設である。
人が集まること、
人が流れてくること、
人が密になること。
これらを規制したいのならば、
デパ地下など致し方ないとも思うが、
1000㎡以下の店舗という、
一律の基準の定め方は、
いかがなものだろう。
『コロナは時間を早める』にも書いた。
ここに「業態」の概念は、
取り入れられないものかと思う。
最近は空を見上げることが多い。
今日の横浜の空。
西日本の豪雨の影響もあって、
雲がさまざまな形をつくる。
そして東から青空がやってくる。
これは私たちにとって、
ちいさな希望かもしれない。
ちいさな喜び
ささやかな幸せ
あすへの希望
人が生きるには、
この三つが必要だ。
そして商業は人々に、
この三つを提供する生業(なりわい)だ。
ブレーズ・パスカルの『パンセ抄』
断章三二七「二種類の無知」
「世間はものごとを正しく判断する」
世間を甘く見てはいけない。
「というのも、
生まれついての無知のなかにあるからだ」
「この無知こそが
人間の真の本拠地である」
同感したい。
「知識というものには二つの端があり、
その二つの端は互いに触れ合っている」
鋭い考察だ。
「最初の端は生まれついての純粋な無知である」
「すべての人間は生まれたときには
この無知のなかにある」
純粋な無知。
「もう一方の端とは、偉大なる魂が、
人間の知りうるすべての過程を
経巡ったのちにそこに辿りついて
自分は何一つ知っていないということを
発見する無知である」
発見する無知。
「彼らは自分たちが出発した
その無知に戻って、
自らに出会うのである」
「だが、これはおのれ自信を知っている
賢明な無知である」
賢明な無知。
「一方、この二つの無知の中間にある人たち、
すなわち生まれついての無知から出発しながら、
もう一方の無知には辿りつけないでいる人たちは、
これで十分と判断した
釉薬(うわぐすり)のような知識しかもっておらずに、
知ったかぶりをする」
中間の無知。
「こうした人たちこそ世を迷わし、
すべてを誤って判断する」
「民衆と真の識者が
世間の動力を成しているが、
中間の連中はこの動きを軽蔑し、
それによって軽蔑される」
指導者は真の識者であってほしいし、
そうあらねばいけない。
しかし指導者となった人が、
中間の無知にしか達していなかったら、
「世間」は不幸なことになる。
「彼らはありとあらゆることを
誤って判断するが、
世間は正しく判断する」
発見する無知と賢明な無知を、
誰もが目指さねばならない。
中間にありながら、
世間を甘く見てはいけない。
〈結城義晴〉