オリックス宮内義彦の「ポストコロナ」と「コロナ敗戦」の検証
何も書くことがない日がある。
小林一茶など手に取る。
大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
〈文化十年〉
そろそろ夏も終わる。
今年の夏の最後のあがきのように、
猛暑日が続く。
それでも夏の終わりの淋しさよ。
日本経済新聞電子版「経営者ブログ」
宮内義彦さん。
オリックスシニア・チェアマン。
ソフトな語り口ながら、
実に手厳しい。
今日のテーマは、
「コロナ敗戦」の検証、
政治の責任で
新型コロナウイルス感染症は今後、
「半年から1年くらいかけて、
世間はゆっくり落ち着きを
取り戻していくのではないか」
きっと、そうだろう。
動的均衡のなかで、
コロナと共生していく。
宮内さんの読み。
「コロナ終息後には
世界で空前の消費ブームが
起きているかもしれません」
コロナ禍前とは異なる、
空前の消費ブーム。
イギリスは共生を目指して、
経済再開を決めている。
「日本は例によって、
前後左右の国々を見、
世論の動向に気を配り、
最も慎重な政策をとるように思います」
残念なことではあるが、同感。
二つ目の視点。
新型コロナをきっかけに浮き彫りになった、
日本の社会システムの欠点。
「欠点は何か、どこかを、
具体的に検証した上でなければ
次に備えて変えるべきものが判りません」
まず一つ目の指摘。
「新型コロナ禍のような非常時には
中央集権的に物事を進める」
非常時と平常時は、
組織マネジメントは異なる。
「しかし今回も縦割りで、
厚生労働省のキャパシティーの中で
取り組もうとしていた」
「結果的にワクチンの輸入が遅れ
承認も進まず、
先進国の中でも明らかに
接種が遅れました」
ワクチン注射の担い手など、
非常時には医師以外の手を借りる。
非常時に即応した法の改正ができなければ、
リスクマネジメントとは言えない。
ワクチンのサプライチェーンや在庫管理には、
メーカーの専門家を巻き込めば
効率よく進められた。
ワクチンの接種状況は、
地方の山村や離島で接種率が高い一方、
大都市が低いなどムラが出ている。
「最も必要とする所を優先する」
「優先順位を十分につけないまま進めた結果、
働き手や若い世代が取り残されてしまった」
「太平洋戦争のときも
食糧配給ができなかったのですが、
それと同じように感じます」
宮内さんはずっと指摘しているが、
「都道府県の縦割りも問題」
首都圏であれば東京だけなく、
神奈川、千葉、埼玉を加えた、
「グレーター東京」
関西でいえば、
「グレーター大阪」
そして、
「知事や市長の上に臨時に特命大臣を設ける」
都道府県を跨ぐエリア設定と、
一本化された司令塔。
これは大地震などの災害時でも役立つ。
もちろんチェーンストアは、
これを日常的にやっている。
イオンのリージョナルシフトは、
この構想と同じだ。
そして最後に、
「何がコロナ敗戦をもたらしたか」の検証。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のごとく、
「日本では大きな問題でも
十分に検証されないまま
やり過ごされがちです」
原子力発電所の事故も然り。
「まさに政治の責任において
これを行うべきです」
河野太郎あたりが、
きちんと検証すべきだろう。
そして次の非常事態は何か、
と考える。
「大地震、大雨洪水、地域紛争、
新しいパンデミック等、
何があるかわかりません」
その意味で、
「リスクマネジメント」こそが、
国にも産業にも企業にも必須のものだ。
これこそコロナから学ぶことの、
最大のテーマだ。
喫緊の政策は、
「新型コロナとの共生をどうとるか」
長期的には、
「日本の欠陥はどこかを調べ、
次に備えるべき長期的な課題に
取り組まねばなりません」
宮内義彦さんは、
いつも冷静な大局観をもつ。
しかしこうやって考えていくと、
日本国をチェーンストアと見立てて、
それを経営、運営するように、
政治や行政を司っていけば、
上手くいくのではないか。
ウォルマートには、
「ビジネスコンティニュイティ」がある。
イオンにもBCMがある。
(Business Continuity Management)
緊急事態対策チームだ。
もちろんチェーンストアにも、
大企業病が潜む。
悪しき官僚化が潜在している。
政治とはまったく、
それらの塊のような存在だ。
そして日本の国や社会全体に、
大企業病化と官僚化がはびこる。
日々、それとの闘いを決意したい。
大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
〈結城義晴〉