東京2020パラリンピックの「多様性」と「未来」
東京2020パラリンピック。
明日9月5日、最終日を迎える。
閉会式は20時から22時30分まで、
オリンピックスタジアムで行われる。
開会式が8月24日だったから、
2週間に満たない13日間。
あっという間だった。
商人舎9月号の編集期間と重なって、
あまり観戦することができなかった。
今日も一日、
私は原稿執筆。
それでもゴールボールやボッチャ、
ブラインドサッカーなど、
独特の競技には興味をひかれた。
それからもちろん陸上も水泳も、
各種の球技や団体競技も、
スリリングだった。
日本代表選手団も、
世界のパラリンピアンも、
感動的だった。
自国開催がなければ、
こんなに様々な競技を知ることも、
見ることもできなかった。
実際に前回の2016年リオ大会や、
前々回の2012年ロンドン大会は、
パラリンピック競技は、
こんなに丁寧に放映されなかった。
その意味でも東京での開催は、
われわれにとってよかったと思う――。
頭の中で考えていることと、
目や耳で知ること、感じることは、
まったく異なる。
それを思い知らされた。
どんな人にも、
打ち込むべきことが必要だ。
それが生きる力となる。
仕事でもボランティアでも、
スポーツでも芸術でも。
商売でも、経営でも。
そして打ち込む姿は、
とても美しい。
東京パラリンピック。
「3つの基本コンセプト」
・全員が自己ベスト
・多様性と調和
・未来への継承
谷川俊太郎。
「三十億六千万」
六十一億二千万本の手は
いまこの瞬間
それぞれに勝手なことをしている
旗を引き裂く手
無明の闇に合わされる手
あざむくために合図する手
愛する手 殺す手 まひした手
いかなる詩人の創造力をも超えて
六十一億二千万本の手は
いそぎんちゃくの触手のように
餓えて ふるえて――
それらは決してひとつの輪に
手をつないだりはしない
〈『地球へのピクニック』より〉
地球の人口は1961年に30億人を超えた。
そのころにつくられた谷川の詩。
人間は多様だけれど、
バラバラだけれど、
その多様でバラバラであることを、
認めることこそ、
調和の本質である。
そしてパラリンピックは、
私たちに未来を見せてくれた。
同じく谷川俊太郎。
「未来」
青空にむかって
僕は竹竿をたてた
それは未来のようだった
きまっている長さをこえて
どこまでもどこまでも
青空にとけこむようだった
青空の底には
無限の歴史が昇華している
僕もまたそれに加わろうと――
青空の底には
とこしえの勝利がある
僕もまたそれを目指して――
青空にむかって
僕はまっすぐ竹竿をたてた
それは未来のようだった
〈同じく『地球へのピクニック』より〉
パラリンピアン、
ひとりひとりが、
青空にむかって
まっすぐ竹竿を立てた。
ありがとう。
〈結城義晴〉