全日食チェーン60周年記念大会の「ポストモダンの商業」
東京湾。
レインボーブリッジ。
お台場のグランドニッコー東京。
全日食チェーン大会。
その全日食は創立60周年を迎える。
感慨深い。
記念講演は渋澤健さん。
渋沢栄一の玄孫だとか。
「げんそん」と読むが、「やしゃご」とも言う。
子、孫、ひ孫、玄孫。
つまり孫の孫。
テーマはやはり、
「渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く」
全国のチェーン加盟店と取引先、
報道陣などが参集した。
記念講演のあとはチェーン大会。
冒頭で大会会長の演説。
㈱全日本食品代表取締役社長の平野実さん。
9月からスタートした、
第12期中期3カ年計画を、
丁寧に語った。
テーマは「全日食Re-born(再生)」。
7つの柱が打ち立てられた。
⑴VC再確認
⑵DX推進
⑶拠点拡大
⑷店頭改革
⑸商品力追求
⑹物流改革
⑺地域社会への貢献そして地球環境への配慮
いずれも必須の柱となる命題である。
堂々としていて、素晴らしい話だった。
ただしこの会場に、
齋藤充弘さんはいない。
それが淋しかった。
会長スピーチの次は、
来賓者の挨拶。
まずは政治家。
衆議院議員平将明さんの後は、
小泉進次郎さん。
歯切れのよいスピーチに会場は沸いた。
しかしちょっと元気はなかった。
取引先代表の挨拶は、
雪印メグミルク㈱社長の西尾啓治さん。
全日食の歴史をたどって、
いい挨拶だった。
毎回、必ず出席するのが甘利明さん。
自民党幹事長。
しかし今回は祝電で参加。
ジュニアボードの嶋津剛一さんが、
甘利さんの文面を読み上げた。
そして最後の名物「大会宣言」。
ジュニアボード全国会議元会長。
高野好一朗さん。
力強く、高らかに大会宣言を読み上げた。
いつもながらよかった。
シンプルなチェーン大会は、
ソーシャルディスタンシングを堅持して開催された。
最後に幹部が並んで、
参会者を送った。
ちょっとだけマスクをとって、
いつものように記念写真。
全日食の「顔」田中彰さん(右)と、
木村建造さん、平野実さん。
木村さんは、
全日食チェーン商業協同組合連合会理事長。
ここでも思った。
齋藤充弘さんがいない。
それでも全日食チェーンは大丈夫です。
平野さん、木村さんがその遺志を継ぎます。
もちろん田中さんは、
全日食の象徴として、
いつまでもお元気です。
60年を経過して、
平野さんは「90年を目指す」と言った。
企業の30年サイクルを2巡して、
3巡目に入った全日食チェーン。
中小小売店の集まりだが、
その将来は決して暗くない。
私は「ポストモダニズムVC」と、
高く評価している。
ボランタリーチェーンは、
ポストモダンの商業だ。
1979年発刊の故堤清二著『変革の透視図』
「流通産業の本質は、
“資本の論理”と“人間の論理”の境界に
位置しているというところにある」
「したがって
ここまでは工業化するべきであり、
ここからは工業化してはならない、
といった2つの性格をもった産業」である。
つまり商業の改革は、
商業と工業の間で行われる。
工業化し過ぎた商業には破綻が来る。
それがつまり商業の現代化である。
ボランタリーチェーンは、
その現代化において必須のピースである。
グランドニッコーの隣は、
フジテレビ本社。
その向かいにアクアシティ。
残った4人で食事。
白鳥和生さん、松井康彦さん、
亀谷しづえさん。
アクアシティのゆるキャラの前で写真。
白鳥さんは日経新聞調査部次長、
松井さんは商人舎特別プロデューサー。
ポーズをとって、
全日食チェーンの豊かな未来を願った。
フジテレビ本社はカラフルに変わっていた。
ポストモダンの商業は、
ポストコロナ時代に、
再び大テーマとなる。
ボランタリーチェーンは、
そこに欠かせない機能である。
〈結城義晴〉