商人舎ミドルマネジメント研修会のコペルニクス的転回
商人舎ミドルマネジメント研修会。
その2日目。
大阪の南港にインテック大阪がある。
大阪最大の展示会場。
首都圏で言えばビッグサイトか、
幕張メッセか。
そのインテック大阪に隣接して、
ホテルフクラシア大阪ベイがある。
研修に特化したホテル。
朝8時15分から、
恒例の理解度テスト開始。
商人舎の研修会では、
2日目と3日目の朝に、
理解度テストを行う。
どれだけ講義内容を理解しているのか。
それを自分自身で測るためのテストだ。
もし、わからなかったこと、
設問に解答を書けなかったことがあれば、
それを集中的に復習する。
テストはそのための指標である。
したがって前日の講義から出題される。
理解度テストのもう一つの特徴は、
記述式であること。
学んだことを記述すると同時に、
自分なりの考えも簡潔に述べる。
2年ぶりの開催で、
2年ぶりに見る全員の丸い背中。
そして2日目の講義が始まる。
午前中の3講座は、
白部和孝講師。
シラベ・リテイル・システム研究所代表。
計数管理の第一人者。
データを活用した仮説と検証、
在庫コントロール、
商品回転率と交叉比率、
そして人件費コントロールの計数。
その考え方を丁寧に講義。
応用編では、
実際に電卓を使わせて、
現場の計数の求め方を教える。
一人一人の理解度に合わせて、
指導してくれる。
3時間にわたる計数の基礎と応用。
受講生にとっても、
目からうろこの講義だったに違いない。
たとえば「商品回転率」は、
高ければ良いのか。
高すぎる場合の問題点と、
低すぎる場合の問題点が、
明快に示される。
回転率は高ければ良いわけではない。
次の講座を担当する、
鈴木哲男講師が来場。
㈱リテイル・エンジニアリング・アソシエイツ社長。
略称REA。
2年ぶりの再会に、
お二人はうれしそうだった。
昼食をはさんで、
午後は鈴木講師が3講座を受け持つ。
テーマは、
鈴木哲男の代名詞でもある「52週MD」。
そしてプロモーションと、
ストアコンパリゾン。
鈴木講師はパワーポイントを使わず、
テキストとペーパーの資料を基に、
一気呵成、やや早口で講義していく。
52週MD の考え方、
それを実践するために必須の、
重点商品の考え方と売り方、
作・演・調の仕組みづくり、
チラシ広告づくりなど、
実践的な内容を講義してくれた。
競合店対策のために、
ストアコンパリゾンは必須の技術。
受講生に店長やチーフが多いこともあって、
みな、必死にメモを取っている。
ありがとうございました。
鈴木哲男、巨匠はますます元気です。
さて2日目最後の講義は、
結城義晴。
理解度テストのおさらいをしつつ、
計数の補足講義として、
ミドルマネジメントが把握しておくべき、
経営数値の大原則を講義する。
簿記、会計、財務の違い。
貸借対照表(BS)と基本構造と
BSとPL(損益計算書)の関係を説明。
本題の講義は、
マネジメント理論の変遷と、
日本の戦後マネジメント教育、
そしてチェーンストアのマネジメントの課題。
「管理原則の父」と呼ばれたのが、
フランスのアンリ・ファヨール。
そのファヨールが定義したのが、
5つの管理原則。
計画・組織・指揮命令・調整・統制。
1900年代の前半から今日まで、
経営管理の原則として、
世界中の企業や組織に定着した。
しかしその管理プロセスは、
組織が大きくなるにしたがって、
機能しなくなり、結局は破綻を招く。
戦後の日本にGHQが持ち込んだのが、
このファヨールの経営管理論だった。
MTP、TWI、JSTと言われた。
しかしそれらが今や弊害となっている。
ドラッカーとヘンリー・ミンツバーグは、
厳しくファヨールを批判している。
私はチェーンストアのマネジメントを、
もっとイノベーティブにしたい。
だからついつい、力が入る。
講義後には受講生から拍手をいただいた。
心から感謝したい。
九州では阿蘇山が噴火した。
極端気象はますます顕著になる。
COVID-19パンデミックは、
日本ではやや沈静化の気配を見せるが、
欧米ではまた爆発的感染拡大をみせている。
しかしマネジメントに関しては、
100年前のファヨールから、
現代のドラッカー、ミンツバーグに至る、
コペルニクス的転回は、
間違いのない真実だ。
そしてこの改革を成し遂げるのは、
トップマネジメントをはじめとした、
ミドルマネジメントの集団である。
2年ぶりの商人舎研修会。
絶好調を堅持して3日目へ。
〈結城義晴〉