結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年02月13日(日曜日)

明日から「まん延防止等重点措置」延期の「トレード・オン」

小さき雪大きな雪のあとに雨
〈朝日俳壇より玉野市・北村和枝〉

高山れおな選評。
「”小さき””大きな”と素朴な語を重ねて
空模様の変化を的確に描き出す」

今週の関東の雪はまさにこれだった。

一方で、春も近づいている。

かはるがはる臘梅(ろうばい)へ顔近づけぬ
〈同じく朝日俳壇より本巣市・清水宏晏〉

蠟梅はロウバイ科の落葉低木。
高さ2〜4mくらいはある。
「唐梅(からうめ)」ともいう。
1月、2月のいまごろ、
葉より先に、香りのある花を咲かせる。
花被は外層が黄色で光沢があり、
内層が紫褐色。

かわるがわる顔を近づけて、
その蠟梅の香りを味わう。
〈長瀞町観光協会〉
蠟梅 

さて、まん延防止等重点措置。
13都県に明日から3月6日まで3週間延長。

日経新聞は一昨昨日の2月10日の社説。
「対策の効果検証し
説得力ある重点措置に」

毎日新聞は一昨日の11日の社説。
「まん延防止措置の延長 
高齢者守る体制の強化を」

読売新聞は昨日12日の社説。
「まん延防止継続 
接種加速への具体策を示せ」

輪唱のように岸田文雄首相に訴える。

聞く力を強調する内閣総理大臣。
だから新聞も雑誌も、
妙に総理に対する提言が多くなった。
〈首相官邸ホームページより〉
岸田総理

北京冬季五輪も開催されていて、
国民の関心はそちらに向いている。

だからあまり熱心には見られない。

明日から「まん防」延期の都県があるが、
一方で、先行した広島、沖縄などは、
徐々に感染拡大が減っている。

いったいどうなるのか。

読売の社説。
「新型コロナウイルスの感染”第6波”は、
行動制限だけでは乗り越えられない」

「ワクチン接種を加速させる
具体的な方策を示すことが重要だ」

問題は死者と重症患者だ。

その「重症患者が増え、
最近の1日あたりの死者数は、
昨夏の”第5波”のピーク時を超えた」

「救急患者の搬送先が
見つからないケースも最多を更新し、
コロナ感染以外の救急医療に及ぼす
影響も深刻になっている」

油断は禁物。

「今後、全体として
感染者数が減少に転じたとしても、
高齢者を中心に重症患者や死者は
しばらく増え続けるとみられている」

そしてどの社説も主張するのは、
「第6波への対策で肝心なのは、
入院や発症の予防効果が期待される
ワクチンの追加接種だ」

私のところへは、
ブースター接種の通知も来ない。
横浜は遅れているらしい。

「岸田首相は、今月中に
1日100万回の接種を目指すと表明した。
遅すぎる感は否めないが、
着実に実施してもらいたい」

掛け声だけで、実行は遅い。

「号令をかけるだけでなく、実態を把握し、
目詰まりの解消に努めることが大切だ」

「これまで司令塔の機能が弱く、
実務は厚生労働省に任せてきた」

この2年あまり、言われ続けてきたことだ。

「今後は堀内ワクチン相を支えるチームを増員し、
各省庁が情報を共有するという」

自民党のホームページ。
「河野大臣の後任に
堀内大臣が任命された際に、
ワクチンチームの部屋が
大臣室に隣接する場所から、
隣の建物の地下に移動したことで、
堀内大臣にワクチンに関する情報が
入りにくくなっていました」

「河野太郎前大臣時代に
大臣を支えたメンバーが
再びワクチンチームに異動するとともに、
ワクチンチームの部屋も
堀内大臣室の近くに移動します」

それじゃ、だめじゃん。
河野太郎を呼び戻せ。

合点して居ても寒いぞ貧しいぞ
〈小林一茶〉

一方、フィナンシャルタイムズ。
2月4日のレオ・ルイスの署名記事。
「日本は水際対策見直しを」

通称「FT」の英国経済紙。
2015年11月30日から、
日経新聞傘下にある。
フィナンシャルタイムズ
「日本政府は2020年3月以降、
観光や就労、研究、留学など目的に関係なく
外国人の新規入国を厳しく制限している」

在留資格の事前認定を受けながら、
来日できていない外国人は、
約37万人に上る。

「日本政府がこの厳しい水際規制を
一向に緩和しようとしないことについては、
ここへきて異例とも思えるほど
様々な分野から
強烈な批判の声が上がっている」

これをルイス記者は、
「新たな鎖国政策」と呼ぶ。

「日本には以前も似たことがあった。
17世紀中ごろから19世紀にかけて
日本は世界との接触をほとんど断った。
後に”鎖国”と呼ばれた時代だ」

「海外からの観光客を相手にする産業が
苦境に直面しようが、
外国人労働者への依存度が高い業界が
深刻な事態に陥ると予想できても、
厳しい水際対策は現在、
日本の有権者の圧倒的な支持を得ている」

「現状では、間違った政策だと
誰をも説得できるような
深刻な目に見える代償は生じていない」

結論。
「新型コロナによる今の鎖国政策は、
日本の強靱(きょうじん)さの証しなのか、
それとも脆弱さの証しなのかという問いだ」

国内では早急な感染対策が求められ、
国外からは鎖国政策だと批判される。

それでも国のトップは、
この問題に明確な指針を呈さねばならない。

トレード・オンの政策である。

政治だけではない。
経済も文化も、
企業も商売も。
そしてあなたも私も、
あちらを立てて、
こちらも立てる。
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対局にある難しい問題を、
両方とも解決に導く。
それがトレード・オンだ。

〈結城義晴〉


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