天皇誕生日に思う「二元マトリックス」の限界と有益性
天皇誕生日の祝日。
宮内庁から写真が公開されている。
令和になって三度目を迎えるが、
まだピンとこない。
「令和」は大化の改新の「大化」以来、
248番目の元号である。
昭和23年までは「天長節」といった。
昭和23年の祝日法で、
「象徴天皇」の誕生日が祝日とされた。
それ以来、昭和天皇の誕生日4月29日、
平成天皇の誕生日12月23日、
令和となって2月23日。
イギリスおよび英連邦王国では、
Queen’s Official Birthday。
女王公式誕生日で祝賀行事が行われる。
6月第2土曜日。
タイやブータンは国王誕生日が祝日となっている。
カンボジアではシアヌーク前国王の誕生日が祝日だ。
日本は祝日が多い国で、
年間に17日もある。
逆にスイスなどは、
国の祝日は1年にたった1日である。
祝日が多いというのは、
国民が祝日を喜ぶからだ。
総じてアジアの国々は、
国家の決めた祝日が多くて、
欧米はそれが少ない。
欧米では祝日以上に、
自分でとる休暇が多いからだろう。
どちらがいいという問題ではない。
どちらが進んでいるという問題でもない。
商売にとっては、
国民の祝日が多いほうが、
販促企画を立てやすくてありがたい。
月曜日の朝日新聞「折々のことば」
第2299回。
存在感をきちんと
捉えていなければ、
歴史も歪(ゆが)んじゃうと
思うんですよ。
(森崎和江)
「あきらかに被害者と目される人が
別の局面では加害者となりうる。
ある歴史観に沿って人の行為を単純に
正/不正、加害/被害の観点から仕分けていると、
その狭間(はざま)であえぐ人々の
苦しみが歪(ひず)み、
ついには見えなくなる」
森崎は「からゆきさん」の著で知られる、
ノンフィクション作家。
このことばは、
評論家・中島岳志との共著『日本断層論』から。
正/不正、
加害/被害。
「書き手のまなざしも、
そうした二元の枠に収まらない
生身の感覚を掘り起こしていかねば」
同感だ。
二元と二元で4つの象限に分けて考える。
SWOT分析は、
強み(Strengths)/弱み(Weaknesses)、
機会(Opportunities)/脅威(Threats)。
PPM分析は、
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント。
横軸に相対的市場シェアが多いか少ないか、
縦軸に市場成長性が高いか低いか。
この二元と二元を掛け合わせて、
4つの象限をつくる。
1.スター。
2.クエッション(問題児)
3.金のなる木
4.ドッグ(負け犬)
戦略分析などで、
これらの基本的な考え方を講義するが、
しかしこれらの二次元マトリックスにも、
限界はある。
ケン・ブランチャードの、
4つのリーダーシップスタイルも、
指示・命令的行動と、
支持・援助的行動との二次元マトリックスだ。
それによって、4つのスタイルを分類する。
スタイル1 指示型
スタイル2 コーチ型
スタイル3 援助型
スタイル4 委任型
これも基礎的なマトリックス分類で、
自分の考え方を整理することに大いに役立つ。
けれどもその上に、
二元の枠だけに収まらない、
生身の人間の感覚を掘り起こすことは、
ことさらに重要だ。
何もないところで、
混沌の中で、
何かを導き出そうとすると、
論理性を欠くことになる。
論理性の上に立って、
生身の感覚を追及する。
これこそ、「考える」ということだ。
ただし、この方法も、
論理と感覚の二元論と見えるかもしれない。
しかしその狭間にあるものを、
見出すために有益なのだと思う。
天皇誕生日の祝日も、
二元発想で決めつけてはいけない。
微妙な言い方で、
誤解を招きたくはないが、
存在感をきちんと捉えなければ、
歴史も歪んでしまう。
〈結城義晴〉