「大阪桐蔭は阪神より強い」とプーチンの「裸の王様」
第94回選抜高校野球大会。
あっという間に終わった。
決勝戦は、
大阪桐蔭高校が近江高校を、
18対1の大差で破って優勝。
大阪桐蔭は準々決勝、準決勝、
そして決勝まですべて二桁得点。
読売新聞デジタル編集部の古和康行記者。
「大阪桐蔭の強さが際立った大会だった」
強力打線は11本塁打を放って、
チーム大会通算最多本塁打記録を更新。
これまでは1984年のPL学園の8本塁打だった。
あの清原和博と桑田真澄の「KK時代」。
記者はTwitterの投稿を取り上げる。
「どう考えても阪神より
大阪桐蔭の方が強い」
今、プロ野球阪神タイガースは、
開幕5連敗の最下位だ。
野球に関しては、
読売新聞、面白い。
私はアンチ巨人だから、
ネットでつまみ食い的にしか読まないが。
さて、
ウクライナとロシア情勢。
日本の外務省は「キエフ」の表記を、
「キーウ」に変える。
キエフはロシア語読みで、
キーウはウクライナ語読みだ。
ウクライナ政府の要請で、
ウクライナ語にする。
いいだろう。
「チェルノブイリ」は「チョルノービリ」に、
「オデッサ」は「オデーサ」、
「ドニエプル川」は「ドニプロ川」に変わる。
長年、それに親しんだから、
ちょっと違和感はある。
1981年にソビエト連邦を旅した。
その時、レニングラードだった都市は、
1991年、サンクトペテルブルクに、
名称変更された。
戻されたと言ったほうがいいだろう。
共産党支配の時代は、
創始者レーニンの名前を都市名に使った。
共産主義体制を止めたら、
それがふさわしくなかった。
日本が封建主義にもどったら、
東京は「江戸」と呼ばれるかもしれない。
「キエフがキーウに変わった。
プーチンの戦争のときだよ」
子孫にそんなことを話す老人が出てくるだろう。
そのプーチン。
ホワイトハウスの広報部長。
ケイト・ベディングフィールド。
「プーチンが
ロシア軍に欺かれたと感じている、
との情報があり、その結果、
軍との間に緊張が生じている」
プーチンに対して、
「誤った情報がもたらされている」
側近たちは、
「怖くて真実を話せないからだ」
アントニー・ブリンケン。
第71代米国国務長官。
ハーバード大学で文学士、
コロンビア大学で法務博士をとった秀才。
アルジェリアの首都アルジェで記者会見。
「独裁国家のアキレスけんのひとつが
権力者に真実を語る人物がいないことだ。
それがロシアで表れている」
CNNがその一つの例を挙げる。
「プーチン氏が、
徴兵を使っていると知らなかった。
正確な情報の流れに明らかな断絶がある」
チェチェン紛争は2009年まで続いた。
シリア内戦は2015年。
その時代のプロの兵士が、
ウクライナに派兵されたと、
プーチンは思っていたのかもしれない。
それが徴兵された素人だった。
独裁国家のアキレス腱。
中国でも北朝鮮でも、
その他の国でも。
歴史上も。
そして独裁企業も。
権力者に真実を語る者がいない。
アンデルセンの「裸の王様」が、
今、ロシアで現象化している。
権力者の力が強すぎると、
その権力者の周りには、
イエスマンしか集まらない。
そして正確な情報は得られない。
結果として独裁者の判断は、
その独裁者自身にとっても、
有益な決断とはならない。
鈴木敏文氏を独裁者と言うつもりはない。
けれど絶大なる力を持っていた。
だから結末は意図しない方向に進んだ。
ミドルマネジメントが、
脱グライダーとならねば、
組織は正しく動かない。
ミドルこそが、
現場の情報をもっているからだ。
ピーター・ドラッカー亡き後、
マネジメントの世界のトップは、
82歳となったヘンリー・ミンツバーグだ。
そのミンツバーグが言っている。
「ミドルマネジャーこそが、
組織を変えていく力を持っている」
しかし日本やアメリカも含めて、
行政は本来、上意下達の組織体質で、
ミドルマネジメントが、
力を発揮する風土をもたない。
「大企業病」とは、
ミドルマネジメントの情報が、
正確に生かされない組織のことだ。
国家存亡のウクライナでは、
戦場のミドルクラスが活躍している。
チームワークが出来上がっている。
そんな印象がある。
ドラッカーやミンツバーグを、
そして正当なマネジメントを、
頭から否定する、
経営者やコンサルタントがいるとしたら、
彼らの組織原理はいずれ破綻するだろう。
ウクライナとロシアの戦役が、
それを示している。
〈結城義晴〉