プーチンの「アゾフスタリ宣言」と3月の業態別営業統計
日本電産の永守重信会長がCEOに復帰する。
日産自動車からスカウトした関潤社長は、
CEOを外れてCOOに。
2020年4月1日、
永守さんは述懐した。
「集団指導体制への移行は、
創業以来最大の間違いだった!」
「(集団指導体制は)呼び名はいいが、
強いリーダーがいないとだめ。
5、6人で決めていたのではだめだ」
そこで日産のナンバー3の関さんをスカウトして、
COO兼社長にした。
さらに昨21年6月、関社長はCEOに就任。
しかしそれでもコロナ禍とウクライナ戦争。
永守会長による経営指導体制で、
「スピード感のある経営」を取り戻す。
その永守信条は、
すぐやる、
必ずやる、
できるまでやる。
同時に日本電産は社名を変える。
「ニデック」(NIDEC CORPORATION)
あんまりいい社名とは思えないが、
グローバル企業としてイメージ刷新。
「コロナは時間を早める」と言い続けているが、
最速の意思決定や迅速な行動変容は、
ほんとうに難しいということだ。
永守重信、77歳。
もう、後継者はいないかもしれない。
さて、
ロシアの「マリウポリ制圧宣言」。
プーチンとショイグが、
ファミレスの席に向かい合うようにして、
報告を受け、指示を受けた。
ポール・セザンヌの絵を思い出した。
「カード遊びをする男たち」
ウラジーミル・プーチンは大統領、69歳。
セルゲイ・ショイグは国防相、66歳。
ショイグの報告では、
アゾフスタリ製鉄所には、
まだ2000人以上の兵士が中にいる。
作戦は「3~4日で完了する」
しかしプーチンは、
マリウポリ制圧の成功を祝福しつつ、
アゾフスタリへの攻撃を止め、
「ハエも通れぬ封鎖」を命じた。
テレビでは二人のやり取りを、
同時通訳でずっと流した。
結局、アゾフスタリを、
陥落させることはできなかった。
プーチンの失敗。
それを出来損ないの小芝居で、
国内と世界に露出した。
こんなに重要なことを、
小さな正方形のメモをめくりながら、
延々と報告するショイグ。
右手でテーブルの端を握りながら、
身体の揺れを抑えるように、
内外に嘘を重ねるプーチン。
まだまだウクライナでの闘いは終わらない。
これからウクライナの平原を舞台に、
正念場の「戦争」が起こるのだろう。
それでもロシアの行き詰まりは見えた気がした。
プーチンにも、
その意志を継ぐ後継者はいない。
ロシアはどうなるのだろうか。
ケインズの「平和の経済的帰結」も、
視野に入ったのかもしれない。
さて、商人舎流通スーパーニュース。
29本のニュースが並んだ。
そのなかで3月の統計。
3月チェーンストア統計|
総販売額1兆1123億円2.0%増/食料品・住関堅調
全体の売上高は前年同月比102.0%、
既存店売上高は101.9%。
対象企業数は56社、店舗数は1万1808店。
食料品は102.1%(既存店101.2%)。
衣料品は94.8%(同99.2%)、
住関品は104.9%(同105.9%)。
サービスは額は少ないが180.6%(同182.0%)。
衣料品はさらに悪くなっているが、
それ以外は回復基調だ。
3月スーパーマーケット統計|
既存店0.9%増/総売上高9962億円2.3%増
総売上高は前年同月比102.3%。
食品合計は102.5%。
青果105.4%、水産100.1%、畜産100.8%。
惣菜106.6%、日配101.8%、一般食品101.5%。
非食品も100.3%。
チェーンストア協会と類似している。
企業数270社、8308店舗。
1店舗平均月商は1億1629万円。
単純12倍すると13億9548万円。
平均14億円となる。
意外に見えるかもしれないが、
1店年商が上がってきている。
つまり良い店が残っている。
弱い店は閉鎖したか、
改装している。
270社の結果がそれを物語っている。
売場1㎡当たり売上高は7万円。
これも1年にし、坪当たりにすると277万円。
地域別では近畿地方だけが前年同月を下回った。
また店舗規模別では10店舗以下の企業が、
前年同月を下回って、苦戦している。
3月コンビニ統計|
既存店売上高8754億円1.2%増/天候不良で客数は1.5%減
店舗売上高は既存店ベースが前年同月比101.2%、
全店ベースで101.7%。
4カ月連続のプラス。
全店舗数は5万5912店、前年比0.2%増。
しかし客数は既存店で1.5%減、全店で1.1%減。
平均客単価は、既存店2.7%増、全店2.8%増。
コンビニも完全に飽和だ。
かくて業態間競争も激化する。
商人舎4月号の巻頭言。
[Message of April]
カットスロートコンペティションへ。
争うこと。
競うこと。
闘うこと。
生死を分けること。
コロナパンデミックが往って、
ポストコロナの時代がやってくる。
競争のあり様は変わる。
強い者同士のより厳しい競争となる。
カットスロートコンペティションは、
喉を掻き切る競争。
激しくて途切れない競争。
消耗と革新の連続。
「戦争における行動は、
重たい液体の中で運動するようなもの。
ただ前進することも水中では、
敏捷、正確には行えない」(クラウゼヴィッツ『戦争論』)
プロイセン王国の軍人クラウゼヴィッツは、
ロシアに侵攻したナポレオン軍が消耗し、
敗退するさまを目の当たりにした。
そして「戦争論」にまとめた。
戦場で軍の動きを拘束し、
その計画を台無しにするもの。
予想外の偶然や事故の連鎖を、
クラウゼヴィッツは「摩擦」と呼んだ。
会社の経営や店の運営も、
「重たい液体の中の運動」になることがある。
すると敏捷さと正確さが失われる。
それが「摩擦」であり、摩擦が生まれると負ける。
カットスロートコンペティションでは、
強敵ばかりの少数の闘いが展開される。
それは「重たい液体の中の運動」に似る。
その覚悟をし、腹を決めた者だけが生き残る。
カットスロートコンペティションでは、
現実を正確に認め、
夢を計画化した者だけが勝ち残る。
分析力と創造力、行動力だけが味方である。
ただし激しい競争であっても、
カットスロートコンペティションは、
戦争ではないし、殺し合いではない。
正々堂々の腕と知恵の競い合いである。
だからかならず、
それに参画する者にご利益がもたらされる。
勝利した者にも惨敗した者にも、
成長の証を示してくれる。
ただし、そこから逃走した者には、
大きな罰が下される。
参画しなかった者には、
なんのご利益も与えられない。
コロナパンデミックが往って、
ポストコロナの時代がやってくる。
競争のあり様は変わる。
強い者同士のより厳しい競争となる。
ウクライナの闘いは、
もっともっと悲惨だ。
それは一刻も早く終わらせねばならない。
〈結城義晴〉