1998年vs2022年の「円安」の違いとトヨタの「なぜを5回繰り返せ」
中国地方・近畿地方・東海北陸地方、
一斉に梅雨入り。
中国・近畿・東海は平年よりも、
8日、遅かった。
梅雨前線は南から北進する。
それが常識だった。
しかしなぜか、
こういった逆転現象が多くなった。
月刊商人舎2020年1月号。
特集は極端気象。
あまりに的確に表現されていて、
この一言で問題が解決された気になる。
それが問題でもある。
木本昌秀先生は、
東京大学大気海洋研究所教授から、
昨2021年4月に、
国立環境研究所理事長に移られた。
極端気象を英語で表現すれば、
「Extreme(極端)Weather」。
気象庁が定義する「異常気象」は、
「統計的には30年に1回以下の出現率の現象」
「極端な気象現象と捉えてもらえば、
誰もが理解しやすいだろうと考えて、
あえて使っています」
30年に1回以下の異常気象が、
頻度高く現れる。
それが「極端気象」だと、
私は捉えている。
この特集号のまえがきで、
私は「リスクマネジメント」を提案した。
そうしたら、
COVID-19パンデミックが起こった。
「人間が生きていくことは結局、
必ず死ぬという”リスク”に対して、
マネジメントを貫徹することである」
「つまり人間が生きたということは
リスクマネジメントの成果である」
「いつ、どんな時に、
命は絶たれるかわからない。
だから人事を尽くして、
天命を待つのだ」
それしかない。
さて月刊商人舎6月号。
どんどん大口の注文が来ています。
ありがとうございます。
「惣菜の危機」も熟読してください。
在庫は減っています。
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一方で円安が進む。
日経新聞は一面トップで取り上げた。
6月13日の外国為替市場で、
円相場は1ドル135円台に下落。
1998年10月以来の円安水準。
24年ぶり。
1997年11月3日、
準大手証券会社の三洋証券が、
会社更生法の適用を申請。
17日には北海道拓殖銀行が破綻。
さらに24日に、山一証券が自主廃業。
1998年には日本長期信用銀行が破綻。
そんなときの1ドル135円だった。
今は、ウクライナ戦争やコロナ禍はあるが、
24年前の国内経済危機による切迫感はない。
1998年と2022年の円安の違い。
1998年はデフレが始まる時だった。
対して2022年は値上げと物価高と、
インフレが懸念されるときだ。
その間に失われた20年があって、
日本の産業競争力が減じている。
国内産業の空洞化が進んでいる。
その意味では、
小売業・サービス業・消費産業の役割が、
あの当時よりも重くなっている。
1997年は、
総合スーパーのピークのときだった。
外食産業も頂点にあった。
それらが衰退していった。
今、値上げと物価高のなかで、
何衰え、何が伸びるか。
今日は、
第一屋製パン㈱会長の細貝理榮さんから、
佐藤至さんを紹介してもらった。
昭和24年生まれで、
私より3つ上だ。
トヨタ自動車で「カイゼン」の専門家となり、
さまざまな企業の現場改革をコンサルティングする。
アメリカのケンタッキー州の工場開設の苦労や、
第一パンのカイゼンのエピソードなど、
「現場・現物」主義の話を聞かせてもらった。
佐藤さんはかつて、
ダイエーの「カイゼン」にかかわった。
そのときはあまりうまくはいかなかったが、
カイゼンと会社の風土、
トップマネジメントの考え方など、
私もずいぶん勉強になった。
故大野耐一さんは、
「トヨタ生産方式」の著者で、
トヨタの副社長を務めたが、
「カイゼン」の元祖だ。
「オペレーションマネジメント」の講義のとき、
私は必ず大野さんの「カンバン方式」の話をする。
大野さんはジャストインタイム生産方式を、
米国スーパーマーケットにヒントを得た。
そのトヨタ生産方式の2本柱が、
第1のジャストインタイムであり、
第2の自働化(ニンベンのある自働化)である。
さらにその精神は、
「”なぜ”と五回繰り返せ」だ。
一つの事象に5回の「なぜ」をぶつけてみる。
すると結論が見えてくる。
佐藤至さんは、
問題の起こる工程をじっと見続ける。
なぜを5回繰り返しながら。
今の日本にも、
「なぜ」を五回繰り返すことが求められている。
佐藤至さんと話しながら、
つくづくと、そう思った。
〈結城義晴〉