似鳥昭雄「会社が始まって以来の失敗」と「自分の情報と勘」
似鳥昭雄さんの発言。
㈱ニトリホールディングス会長。
「会社が始まって以来の失敗だ」
商人舎流通SuperNews。
ニトリnews |
第1Q売上高2166億円0.6%増・経常15%減/原価対策及ばず
第1四半期決算発表の記者会見。
微増収減益。
ニトリは通期決算では、
35期連続増収増益を誇っている。
しかし36期連続を目指す今期の、
第1四半期は減益となった。
似鳥さん。
「為替の予想が外れたことが一番大きい」
円安の影響である。
9月分まで為替予約をしていた。
1ドル114円90銭。
しかしそれが現在、136円前後で推移。
「せめて期末まで予約すべきだったと
反省している」
「為替予約」は、
外国通貨を購入または売却する際、
ある時点までの価格と数量を、
予約的に契約する取引きのことだ。
日経新聞によると、
「これまで似鳥会長は、
自身の情報や勘を頼りに
2~3年先まで為替予約をしていた」
似鳥さんらしい。
「ただ約2年前から為替予約の期間を短くし、
金融関係者の意見を聞く手法に改めた」
似鳥さん。
「責任を転嫁するつもりはないが、
私が間違っていた」
このきっぱりと言い切るのも、
似鳥さん独特のものだ。
商人舎発足の会では、
発起人に名を連ねていただいた。
ヤオコーの33期連続増収増益と、
ニトリの35期連続増収増益。
二つの金字塔だ。
途切れては欲しくない。
「もう二度とこんな失敗はしたくない。
チャンスがあれば長期の為替予約をしたい」
ニトリのようなプライベートブランド中心で、
しかも海外生産を主力とする企業にとって、
「円安」は実に大きな痛手となる。
同じ商品を同じ量、海外生産したら、
それがドル建てであれば高くなる。
そして大抵、ドル建てだ。
同じ商品を同じ量、国内で販売しても、
原価が高くなっているから、
利益は減ってしまう。
「会社始まって以来の失敗」は、
自身の情報と勘を捨てて、
専門家の意見を採用することで生じた。
ただし、この第1四半期は、
3月から5月までの決算である。
この間は114円90銭の為替予約の期間にあたる。
それでも減益となった。
第2四半期の6月から8月も、
まだ為替予約期間中だ。
だから9月・10月・11月の第3四半期以降が、
大いに心配になるところだ。
そのころの為替相場はどうなっているか。
35期連続の記録が途絶えるのか。
しかし似鳥さんには強い運がある。
何かが起こるかもしれない。
それは日本全体にとっても、
いいことであるはずなのだが。
さて、マスク論争。
毎日新聞の「余禄」が取り上げた。
「屋外では人と距離を取り、
あるいは会話がなければ外しても可」
政府見解が示されてひと月以上が経過する。
しかし「外マスク」は健在だ。
「ここ数日、多くの地域で
最高35度を超すうだるような熱暑が続く。
それでもきのう道ですれ違った人たちは
安心感からか、なお大多数が着用していた」
横浜でも同じだ。
長い街道をジョギングしている女性が、
マスクをしながらハアハア言っている。
あれなどすぐにマスクをとったほうがいい。
ちばてつやの漫画「おれは鉄平」で、
剣道の強豪校・東台寺学園が、
マスクをつけて練習するシーンが出てくる。
心肺機能を鍛えるためだ。
しかしそれはあくまでも漫画で、
一般の人にとっては危険である。
コラム。
「屋内などでは、まだマスクは必要だ」
「ただし、炎天下でのマスクは
やはり息苦しく、つらいものだ」
「この夏、意識的に、
外歩き時にはマスクを外し、
素顔で歩くことに
慣れていってはどうか」
賛成だ。
私はもう、外歩きのときは、
マスクをポケットにしまって、
素顔である。
気持ちがいい。
もちろん店の中で、
顧客を迎えるときには、
マスクは必須である。
しかしその分、
外で人との接触がないときなど、
マスクは外したほうがいい。
絶対にそのほうが自由だ。
そして人間は自由でなければいけない。
商人も本来、自由だ。
似鳥昭雄さんも今は、
自分の情報と自分の勘を、
信じることにしているに違いない。
〈結城義晴〉